40代に入って気になってくる不調。その変化に「更年期では……?」と不安を感じることもありますよね。
産婦人科医・高尾美穂先生によると、「
現代では更年期症状の治療法が確立されており、どの症状にも必ず対処法がある」とのこと。
今回は、実際に更年期の症状が出たときにどんな治療が受けられるのか、治療法や受診のタイミング、診断方法について話をうかがいました。
Q.更年期症状の治療法とは?
A.ホルモン補充療法(HRT)、漢方薬、エクオールなどです
更年期治療はおもに3種類あり、最も高い効果が期待できるのが、減少したエストロゲンを補うホルモン補充療法(HRT)です。更年期症状全般に効き、特にホットフラッシュや動悸、イライラなどの改善に高い効果があります。
また、漢方薬も不眠やめまい、イライラ、うつなどに特に効果的。そのほか、エストロゲンと似た働きをするエクオールという成分のサプリメントをとる方法もあります。
●更年期症状のおもな治療法
【ホルモン補充療法(HRT)】
エストロゲンを補う方法。のみ薬、貼り薬、塗り薬がある。保険適用で1カ月1000~3000 円程度。エストロゲンだけの補充によってリスクが高まる子宮体がんを防ぐため、プロゲステロン剤も併用。ただし、乳がん既往者や血栓症がある人など、ホルモン補充療法を受けられない場合も。まずは受診を。
【漢方】
更年期症状には、加味逍遙散(かみしようようさん) 、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) 、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などがよく用いられる。市販薬もあるが婦人科で体質や症状に 合わせて処方してもらうのがベター。保険適用で1カ月1000 ~2000 円程度。
【エクオール】
エストロゲンと似た働きをする、大豆由来の成分エクオールをサプリメントで補う方法。ホットフラッシュや肩こりの改善、骨密度の減少抑制などさまざまな効果を示すデータがある。価格は商品によって異なる。
Q.ホルモン補充療法はずっと続けていいの?
A. 問題ありません
ホルモン補充療法は、症状が改善したらやめてOKですが、ホルモン補充療法をしていると、骨を丈夫にする、血管の柔軟性を保つ、悪玉コレステロールの増加を抑えるなどといったエストロゲンの効果が得られます。定期的な検診を受けながら一生続けることも可能です。
Q.更年期の不調がいつまで続くのか不安……
A. 生理の変化とともに、つらい不調があれば受診を
45歳前後で生理にばらつきがあり、心身に気になる不調 があるなら迷わず婦人科を受診しましょう。〈我慢できる から〉と病院に行かない人も多いですが、更年期は、甲状腺の病気など、更年期症状と似た別の病気のリスクも高まる時期。そういった病気がないか見極めるためにも、早めの受診をおすすめします。
Q.自分の不調が更年期によるものかどうしたらわかるの?
A. 婦人科のホルモン検査である程度は診断できます
45歳前後で生理にばらつきがあれ ば、更年期に入っていると思ってほぼ間違いありませんが、婦人科の血液検査で女性ホルモンの数値を調べるのもひとつの方法。更年期になると、エストロゲンのなかでも最も体への作用が強いエストラジオール (E2)の値が低くなり、卵胞刺激ホルモン(FSH)の値は高くなります。ただし、ホルモンの値は常に大きく変動し、採血のタイミングによって変わるので、あくまで参考ととらえて。
●女性ホルモン値
対処法や治療内容を知っておくことで、いざその時が来ても気持ちを落ち着け、前向きに受け入れる助けになるはず。ぜひ、この機会に自分の体と向き合ってみてくださいね。
教えてくれたのは……
高尾美穂先生

イーク表参道副院長。産婦人科専門医・医学博士。婦人科の診療を通して女性の健康をサポート。テレビや雑誌などでのわかりやすいアドバイスが人気。近著は 『あしたはきっと大丈夫 心が晴れることば』(コスミック出版)。