東日本大震災から10年の節目を迎える今、オレンジページでは、非常時の料理と食事についてあらためて考えてみました。
たとえば、もしものときのために食料を備える「ローリングストック」という手法。缶詰やレトルト食品を備蓄するのが一般的ですが、オレンジページがおすすめしたいのは乾燥野菜も取り入れること。災害時に不足しがちな野菜を手軽に補うことができる食材なのです。さらに、限られた資源でもできる「お湯ポチャレシピ」という調理法をご紹介。非常時の温かいごはんは、何よりもほっとさせてくれるもの。いざというときにも料理ができるように、ふだんから慣れておくことも大切です。
常温保存ができる食材をいつもの食事に取り入れ、買いたす備蓄法のこと。備蓄食の賞味期限切れを防げるとともに、日ごろから防災食に慣れておくことができるというメリットがあります。また、ふだんの料理に備蓄食材を使っていると、自然と、自分の口に合う食材を備えておけるようになります。いざというとき、いつもと同じものを食べられるというだけでも、心にゆとりが生まれるものですよ。
詳しくはこちら管理栄養士、防災士、災害食専門員。防災食アドバイザーとして各地で講演などを行う。レトルトの女王とも呼ばれ、メディア出演多数。2011年3月11日の東日本大震災がきっかけで、防災食を研究するようになる。二児の母親として、子どもにはどんなときでも衛生的に温かいものが食べられるようにしてあげたいという思いから、「即食レシピ」「お湯ポチャレシピ」などを考案する。著書に『災害時でもおいしく食べたい!簡単「みそ汁」&「スープ」レシピ』(清流出版)ほか。
常温保存可能で日もちのする乾燥野菜は、ローリングストックに適した食材です。非常時にも、栄養バランスのよい食事を作るのに役立ちます。たとえば、カップ麺などにそのまま混ぜるだけ、といった使い方もOK。
乾燥野菜には、皮むき、カット、アク抜きなど、めんどうな調理の下ごしらえが不要という特徴があります。調理中に生ゴミが出ないのも乾燥野菜ならでは。もちろん、ふだんも時短調理食材として大活躍してくれます。
乾燥野菜は、熱湯に約5分間つけるだけでもどすことができます。水でもどす場合には20分以上かかりますが、みそ汁やスープ、炊き込みご飯などの具材として使う場合には、もどさず、そのまま入れて大丈夫。湿気を嫌うので、保存の際は「ジップロック」や密閉容器などに入れ、冷暗所に置きましょう。
「お湯ポチャレシピ」とは、水や火を節水、節約しながら調理できる方法。熱に強い半透明のポリ袋に食材を入れ、1/2程度の高さまで水をはった鍋に入れて、カセットコンロで湯せんします。温かいものを、鍋を汚さずに調理できるうえ、袋ごとに違う材料を入れて、一度に複数の料理を作ることもできます。
ポリ袋に材料を入れて空気を抜いて口を結び、水をはった鍋に入れて湯せんします。ポリ袋が鍋底につかないように、ざるや皿を鍋の中に敷いてください。
まずは、ポリ袋の表示をチェック、熱で穴があくおそれがあるため、耐熱性のある「高密度ポリエチレン製」タイプを選びましょう。中くらいのサイズ(縦35×横25㎝くらい)のものが使いやすいです。ポリ袋をそのまま器に敷いて食事をすれば、洗いものも少なくすみますが、汁ものはスプーンなどでいただくことをおすすめします。
1.高密度ポリエチレン製のポリ袋に、材料を入れて混ぜる。空気を抜きながら袋をねじり上げ、袋の口のほうを結ぶ。
2.鍋の底に皿を敷いて鍋の半分の高さまで水を入れ、1を入れる。ふたをして火にかけ、沸騰したら弱めの中火にして約5分加熱する。
乾燥野菜(白菜と小松菜、にんじん)…大さじ2(約3g)
削り節…1g
和風だしの素(顆粒)…小さじ1/3(約1g)
みそ…小さじ2(12g)
水…1カップ
乾燥野菜(白菜と小松菜、にんじん)
30g×2袋 756円/ポケットマルシェ
とても柔らかいので、そのまま食べることもでき、かむと野菜本来の味が広がります。野菜不足を感じたときにも手軽にちょいたしできて大活躍。洗う、切るなどの下ごしらえが不要で生ゴミも出ないのもいいところ。素材そのものの味と食感を楽しむことができます。常温で1年間保存できます。
乾燥野菜(白菜と小松菜、にんじん)…大さじ1(約1.5g)
黒(または白)いりごま…小さじ1(約2g)
塩…ひとつまみ
ごま油…小さじ1/2(約2g)
材料をすべて混ぜ合わせる。
※家にある食材、調味料をたしてみるのもおすすめです。(例)塩昆布、ゆかり、塩、削り節、七味唐辛子、粉山椒、ラー油、ふりかけなど
ご飯もおかゆも、ポリ袋を使ってふっくらおいしく炊くことができます。ふだんの食事で1人分のご飯を炊くときも便利。災害時に水は貴重なので、お米は洗う必要のない無洗米がおすすめです。
米(無洗米)...75g(1/2合)
水...1/2カップ
米(無洗米)...40g
水...1カップ
高密度ポリエチレン製のポリ袋に米と水を入れ、空気を抜く。
さらに空気を抜きながらねじり上げ、袋の口のほうを結ぶ。
鍋の底に皿を敷いて鍋の半分の高さまで水を入れ、【2】を入れる。
ふたをして火にかけ、沸騰したら中火にして約20分加熱する。火を止め、ふたをしたまま10分蒸らす。
汁をたっぷり含んだ油揚げがたまらない。
切り干し大根...5g
松山あげ...4g
白いりごま... 小さじ1
和風だしの素(顆粒)... 小さじ1/3
みそ... 小さじ2
水...1カップ
松山あげ きざみ45g
200円(編集部調べ)/程野商店
豆腐を圧縮し、水分を抜いて揚げた油揚げ。常温で約90日保存できる。油抜きをせずに使える点も便利。
[お問い合わせ]☎089-971-3233
火も水も包丁も使わずに完成する「即食レシピ」。材料をポリ袋に入れて混ぜるだけ、というシンプルな調理法です。乾燥野菜や乾物を、缶詰の缶汁や調味料と混ぜながらもどしたり、塩昆布などの味出し素材を利用したりと、少しの工夫でおいしい一品が作れます。非常時はもちろん、ふだんも、時間がないときや疲れているときのお助けレシピとしても大活躍。
材料をポリ袋に入れ、かるくもんで全体を混ぜる。
Point 切り干し大根は水でもどさず、ツナ缶の缶汁やジュースなど、合わせる食材の水分を利用して、調理しながらもどします。切り干し大根が長い場合は、混ぜる前に切り干し大根をキッチンばさみで切ったり、柔らかく仕上げたい場合は、混ぜたあとポリ袋のまま20~30分おいてみてください。
※切り干し大根の汚れが気になる場合には、さっと水で洗ってもよいでしょう。
ツナ缶+トマトジュースでサラダ風に。
切り干し大根...30g
ツナ缶詰(70g入り・缶汁ごと入れる)...1缶
トマトジュース(低塩タイプ)...1/2カップ
好みでオリーブオイル...少々
にんにくのすりおろし...少々
塩昆布+お茶で香りよく。塩昆布をゆかりに替えても美味。
切り干し大根...30g
塩昆布... 大さじ1
お茶(緑茶、麦茶、ウーロン茶 など好みのもの)...1/2カップ
今回、「お湯ポチャレシピ」をご紹介するにあたって、編集部では食の防災訓練を実施してみました。
非常時には、調理方法を知識としてわかっていても、なかなか思うように料理が作れないもの。水やガス、電気などが止まっているような場合には、なおさらです。ローリングストックの考え方と同じように、ふだんから「お湯ポチャレシピ」を練習しておき、いざというときに、自然と手が動くようにしておくと安心です。
乾燥野菜や無洗米を使った「お湯ポチャレシピ」は、食材の下ごしらえも不要なので、料理初心者でもすぐに挑戦できます。
実際、料理スキルが非常に乏しいスタッフも参加しましたが、このように食材を「ポチャッ」とつけるだけで、無事、ご飯をおいしく炊けました!
まず「お湯ポチャレシピ」は、食材をポリ袋に入れるところから始まります。食材によって湯せん時間が異なるので、時間がかかるお米から準備をするのがおすすめ。鍋でお米を炊いている間に、みそ汁やおかずを調理するのがよいでしょう。
無洗米を入れたポリ袋の口をクルクルとねじりながら、空気を抜いてきます。ポリ袋に穴があかないように、しっかりと、鍋の底に皿を敷いてから投入。 同じ鍋でみそ汁も作れてしまうのが、「お湯ポチャレシピ」のいいところ。ポリ袋にみそや乾燥野菜などお好みの具材と水を入れて、かるくもみ、「ポチャッ」と時間差で鍋の中に入れます。
「お湯ポチャレシピ」の湯せんを待つ間、切り干し大根の「即食レシピ」にも挑戦。トマトジュースやお茶の水分で、切り干し大根をもどすというアイディアには脱帽です。「和風」のレシピは、ジャスミン茶を入れてもさわやかな味わいになります。
完成したご飯とみそ汁、大根切り干しをさっそく試食。 しっかりと、つやつやのご飯が炊き上がっていることに目が奪われます。乾燥野菜で作った、パリパリとした食感のふりかけをかけるとこれだけで、一ぜんペロリ。
野菜が手に入りづらくなる災害直後も、乾燥野菜をストックしてあればやっぱり安心です。
今回は、この練習に合わせ、生産者のかたが手作りした乾燥野菜と無洗米を取り寄せてみました。直接送ってもらうというだけでも、つながりができたような気がして、その食材に自然と愛着がわいてきます。いただいているときも、生産者のかたたちの顔が浮かび、温かい気持ちに。
非常時も、こんな温かい食事を食べられたら、きっと、心が休まるぞと想像しながら、試食分を平らげて、食の防災訓練は無事終了。ぜひ、みなさまも、食の防災訓練にチャレンジしてみてください。
大型乾燥機を使うことで、野菜の品質低下を防ぐことに成功。うまみがきゅっと詰まった、高品質な乾燥野菜に。袋を開けた瞬間から切干大根が香り立ちます。
使用した野菜の産地は広島県三次市です。ここは昼と夜の寒暖差が激しく、野菜のうまみ、甘みを上げるのにとても適した土地になります。自然の恵みがつくり出したおいしさをおめしあがりください。
温泉地としても有名な福井県あわら市の自然豊かな風土の中、太陽の光をいっぱいに浴びて育ったお米です。丹精こめて作られたお米は、ふっくらモチモチっとした食感で、さめても堅くなりにくいので、おにぎりにぴったりです。かむほどに甘みとおいしさが口いっぱいに広がります。
ぜひ、皆さんにお米本来の味わいを食卓で楽しんでもらいたいです! 安心して食べられるおいしいお米を生産しつづけていきます。
料理・監修/今泉マユ子 撮影/安部まゆみ 文・撮影(実践レポート)/編集部・岡野
※商品の価格は、特に記載がない限り消費税込みの価格です。
記事検索
【2025年2月・無料オンラインイベント】長谷川あかりさん料理教室 参加者募集!
「はやいから、おいしい」って⁉ 約85秒でトーストが焼き上がる『東芝 オーブントースター』が凄い。
1月25日開催 老後資金を増やそう! かんたん お金の勉強会・参加者募集!
第12回ジュニア料理選手権 トライアル部門レシピ
【無料ご招待・リアル参加】 森野熊八さんとしょうゆを五感で楽しむ会Ⅱ
【無料ご招待】中国は家庭料理がおいしい! 魅惑の中国ごはんレッスン
【2025年2月・無料ご招待】小田真規子さんの基本の和ごはんレッスン
【無料ご招待】J-オイルミルズわくわく親子料理レッスン 参加者大募集!
第12回ジュニア料理選手権 開催!
ふだんごはんからおもてなしまで! 藤井さん直伝 Ninjaミキサー使いこなしレッスン
【無料ご招待】ティヤナさんのセルビアごはんレッスン
「ファンケル メノポーズアクション」って? みんなで学ぼう、更年期