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3月28日(日)、JR新大久保駅ビルの3階・4階に、食と文化を通じて人々が交流できるフードラボ「Kimchi, Durian, Cardamom,,,(キムチ, ドリアン, カルダモン,,,)」 が、誕生しました! ここ「K, D, C,,,」は、時代のニーズに合わせ、シェアダイニング、コワーキングスペース、ファクトリーキッチンなどを備えた画期的な施設となっています。
「K, D, C,,,」って何?
「K, D, C,,,」こと「Kimchi, Durian, Cardamom,,,」は、その名が示すとおり、各国の食文化が交流する古今東西無数の食材と文化が、個性を損なうことなく混在するというカオスを表現。そこから新たなライフスタイルを提案する場所、というコンセプトから名づけられました。

新大久保駅といえば、多様性にあふれ、国際的交流が盛んな街としてにぎわいを見せるなか、ユニークで豊かな食文化が育っています。そんな場所にオープンした「K, D, C,,,」は、食を通じて人々が集えるという新しい交流拠点となりそうです。くわしくはこちら↓
3月28日(日)のオープンに先立ち、3月26日(金)に内覧会と「K, D, C,,,」の世界観を表現した試食会が開催されました。今回ふるまわれたのは、新進気鋭の料理人3人による、アイヌ料理からインスパイアされた“モダンアイヌ”料理。 まずは3階のシェアダイニングで、「K, D, C,,,」の設備やコンセプトについてのプレゼンテーションが行われました。「K, D, C,,,」の大きな特徴として興味深かったのは、食にかかわる挑戦へのハードルを下げていることと、気軽に参加したいと思える生活者との接点をつくることでした。

調理器具から食器までが完備されたキッチンでは、食に関する学びの場が展開されるし、スタートアップ企業が、パートナー企業からのサポートを受けられたり、食にかかわる人々のネットワークを構築できたりと活動を支援するしくみも整っています。また、ビジネス街ではない新大久保という立地なので、生活者目線から、暮らしのなかで取り入れたくなるような新しい食の提案をしてくれるという点も、大いに期待できそうです。今回ふるまわれた料理も、古くから受け継がれてきたアイヌのスピリットを入れつつ、そこに新しい解釈も与えた「モダンアイヌ料理」ということで興味津々です。

今回、この新しい料理に挑戦してくれたのは、東京・日本橋馬喰町で昆虫を食材として用いる レストラン「ANTCICADA(アントシカダ)」のシェフを務める白鳥翔大さん、東京「Pâtisserie Chocolaterie Recit(秋頃オープン予定)」パティシエの佐川優さん、フードプロデューサーの古谷知華さんの3人です。

大きな窓から心地よい日ざしが入るコミュニティキッチンでは、白鳥さんたちが調理中で、その手もとはモニターに映し出されていました。料理が完成し、1品ずつテーブルに運ばれたあとは、それぞれの料理人が、自分たちが作り上げたモダンアイヌ料理にこめた思いを語っていきます。
3名の料理人が作ったモダンアイヌ料理が完成! 料理にこめた思いとは...?!シェフの白鳥翔大さん 「モダンアイヌのチマキ」 (写真右上)
「今回は、もしも古代のアイヌ民族のかたが新大久保でストリートフードを作ったらというテーマで作りました。チマキは、シカの骨と干し貝柱でだしをとって炊いたもち米に、具はシカの舌、松の実、発酵させたスグリ、あぶった干し氷下魚(こまい)などが笹に包まれて入っています。先人たちの保存技術や素材を生かし、力強いがやさしい味にしました」「モダンアイヌのくまさんクレープ」 (写真左下)
「北海道のそば粉を使ったクレープには、ヒグマの肉や春の野菜を巻いています。昔、アイヌが、ヒグマを神様のように祭った儀式をされ、そのときにお酒も飲まれていたとお聞きしたので、雑穀のIPAビールでヒグマを煮込みました。また、アイヌ料理のチタタプ風に、フキノトウや発酵させたアスパラ、行者ニンニクなどを切り刻んだものと、清涼感を加えるため、蝦夷ワサビをピクルスにしたものを巻きました」「モダンアイヌのスイーツ」
「アイヌ料理にある、シャガイモやカボチャを使ったイモシトをアレンジしてデザートにしました。ユリネのスープや、ユリネのシロップ漬けに、ハスカップとローゼルのジュレ、ヨモギとクマザサのアイス、鬼クルミのキャラメリゼ、シャガイモのチップスなどが入っています。ローゼルは沖縄の植物ですが、アイヌと琉球民族の共通点などをお聞きしたので、今回合わせてみました。ジャガイモのチップスは、アイヌ文様になっています。狩猟採集民族だったアイヌは野草や木の実やユリネなど野生に生息しているものを食べていました。その食材を組み合わせて作りました」 「日本と中東の森のカクテル」 (写真左)
「アイヌピニャコラーダ」 (写真右)
「食前酒として出したのは、発酵リンゴジュースに、モミやスギの樹液から作ったシロップを混ぜて、上に新大久保で手に入るスパイスを使ったクリームをのせたカクテルです。もう1つは、北海道のどぶろくとハチミツ、キハダ、パイナップルなどを使ったピニャコラーダです。グラスではなくおちょこで出しましたが、キハダの苦みがアクセントになっています」 3人の料理人が、モダンアイヌ料理を作るまで↓ 参加者から感激の声!
「新大久保はいろんな文化を受容してきた街なので、異文化をアレンジして発信していくというコンセプトがいいなと思いました。ふだんは接しない文化の料理をアレンジして食べられた点が楽しかったです」
Scrum Ventures 早嶋諒さん
 
「駅のすぐ真上で、とても居心地がいい場所だなと思いました。また、料理人のかたが直接目の前で料理について語ってくださったので、よりいっそうおいしさを感じました」
シグマクシス 福世明子さん
「駅からすぐ近くて便利なので、また来たいと思いました。また、今回食べた料理は、高級レストランで食べるようなおいしさでした」
オイシックス・ラ・大地 内田洋子さん(右)

「スタートアップとして、こういう施設で食に挑戦できるのは素晴らしいことですね。料理についても、アイヌ料理をイノベーションして、新大久保のスパイスを加えるなんて素敵だなと思いました」
Future Food Fund ジェニファーぺレスさん(左)
 
「K, D, C,,,」でできること3階は、3つの厨房とドリンクカウンター、客席を備えたシェアダイニング

世界中の異食材や人々のアイディアが集まってくるという新しいフードラボ「K, D, C,,,」は、未知なる料理にチャレンジしたいというかたや、いろんなかたとコラボレーションしたいという若手料理人やプランナーのかたがたの背中を押してくれる“実験場”です。

プロ仕様の3つの個別厨房スペースと、出店者どうしが共有できる客席などを備えているので、独立を志す料理人が自らの腕を振るう場や、新たな食体験を生み出したいという企業が、テストマーケティングをする場として活用できます。

毎週定期的に、食材の生産者やシェフとの食事会、食への知見を深める講座などのイベントも実施予定で、食について、いろいろなチャレンジができる場所になりそうです。 4階は、チャレンジの場となるコワーキングスペースやファクトリーキッチン
クローズな打ち合わせもできる撮影ブース スタートアップ向けのプライベートオフィスはデスクワークも可能 会議室も完備
4階は、シェフや生産者、ライター、研究機関、ベンチャー企業、調理機器・食品メーカー など「食」に携わるかたがたや、今後携わっていきたいかたがたが利用できる会員制のコワーキングスペースです。さまざまな人材育成や起業支援のプログラムも展開予定。フリーワークスペースには、コミュニティキッチンが併設され、簡単な調理・実験も行えます 。

また、各種製造許可を取得予定の厨房つき作業スペースとしてファクトリーキッチンも備えているので、新商品開発や食品製造にかかわるかたがたが、自らが開発した商品を試作、提供できる場としても使えます。

現在は、オープニング企画として、5月末まで3階シェアダイニングにて、さまざまなポップアップショップも展開中。ここに来れば、ワクワクするような食文化を体験できること、間違いなしです。
「K, D, C,,,」公式サイトはこちら>>
3名の料理人が、モダンアイヌ料理を作るまで今回、3人は「K, D, C,,,」の内覧会兼試食会でアイヌ料理からインスパイアされた新しいアレンジメニューを作るため、新大久保のアイヌ料理店「ハルコ」の店主・宇佐照代さんからアイヌ料理にまつわるレクチャー を受けていました。 訪れたのは、緊急事態宣言中の2月22日で、徹底した感染対策のもと、白鳥さんたちと撮影スタッフ陣が「ハルコ」におじゃましました。宇佐さんが解説してくれたのは、アイヌ料理の食材や基本的なレシピだけではなく、アイヌのバックグラウンドやヒストリーの数々で、3人は熱心に耳を傾けていました。

アイヌ料理の入門編として教えてくれたメニューは、マッシュしたカボチャ、金時豆、トウモロコシ、キハダの実などを混ぜ込む「ラタシケ」や、それを形成した「シト」、イクラとマッシュしたジャガイモを使う「チポイモ」、煮込み料理の「オハウ(汁もの)」など。これらは、実際に調理場で、作り方を伝授してもらうことに。白鳥さんたちも混ぜたり、つぶしたりする作業をいっしょに行いました。シケレベ、氷下魚(こまい)、行者ニンニク、クマザサなど、宇佐さんが北海道から取り寄せているという食材については、それぞれが素材の特性や入手方法についてそのつど、宇佐さんにたずね、前のめりの姿勢で、いろいろなことを吸収していきます。
北海道から取り寄せているという氷下魚(こまい)〈左〉 行者ニンニクはさまざまな料理に使われる〈右〉


アイヌ料理の味つけは、調味料に頼らず、基本は塩ベースで、素材のよさを最大限に引き出したものが多いとか。「オハウ」なども昆布だしの旨みがポイントになるそう。宇佐さんによると「子どものころ、北海道で『ポネオハウ』も食べたことがあります。豚骨スープのようですが、においがきつくて、私は苦手でした」とのこと。

「チポイモ」については、「アイヌ語でイクラのことをチポと言います。ちなみにイクラはロシア語です。イモは日本から入ったので日本語ですね。今はバターを入れたりしま すが、昔はクマやトド、シカやクマの脂を使っていたようです」と解説。イクラたっぷりのチポイモ

また、ジャガイモ関連の料理については、その昔、ユリネを使っていた時代もあったとか。 「ユリネは天ぷらにしてもおいしいし、つぶして粉状にしたり、乾燥させてひもでつるしたりして、いろんな料理に使います」という宇佐さん。こういった料理のルーツやトリビアネタにも取材陣は興味津々でした。

宇佐さんの指導のもと、でき上がった料理を全員で試食することに。「おいしい! やさしい味ですね」「素材が生きてます」と、滋味深い料理の数々に皆が感動しきりの様子でした。 宇佐さんは、ほかにもハスカップのシロップや、シケレベ、キハダなどを漬けた焼酎なども紹介してくれました。イモシトは揚げたてが美味

また、今では途絶えてしまったそうですが、北海道で50年以上前に行われていたというヒグマの霊魂を神の国に送り返す「イオマンテの儀式」のエピソードをはじめ、アイヌの歴史についても、非常にわかりやすく教えてくれた宇佐さん。その話からは、アイヌで長年受け継がれてきた食への感謝と敬いの精神が感じられ、シェフたちも大いに刺激を受けた様子。

さらに野田サトルの人気コミックでアニメ化もされた『ゴールデンカムイ』によって、アイヌ文化がフィーチャーされたことで、若者たちが“聖地巡礼”として「ハルコ」を訪れているという昨今のムーブメントについても話してくれました。

宇佐さんからアイヌ料理の豊かな食文化と、熱いスピリットを伝授してもらった白鳥さん、 佐川さん、古谷さん。多くのものを吸収したであろう3人は、アイヌ料理をどうアレンジし、どんな新作料理を生み出してくれるのでしょうか。期待を胸に、ハルコを後にしました。

ハルコ
東京都新宿区百人町1-10-1
03-3368-4677
https://harukoro.owst.jp/

撮影/宮川久 取材・文/山崎伸子 取材協力/東日本旅客鉄道株式会社

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