
ツレヅレハナコさんが休日課長を揚げものでおもてなし vol.3 (恋バナあり)

揚げもの3品目 「揚げ鶏とれんこんのヤンニョムだれ」

最後に登場する揚げものは、「揚げ鶏とれんこんのヤンニョムだれ」(ページ下にレシピあり!)。カリッと揚げた手羽中とれんこんを、甘辛のコチュジャンだれでからめた韓国風の一品です。「食」にまつわる二人の楽しいおしゃべりも今回が最終回。さあ、どんなエピソードが飛び出すでしょうか……?
「じゅわ~」「パチパチ」
揚げものの音は、すばらしい
ツレヅレハナコさん(以下ツ)さあ、これが最後の揚げものです。手羽中とれんこんを揚げて、ヤンニョムだれであえました。手羽は、手でいっちゃってください。
休日課長さん(以下課) これまた魅力的なメニューが! 甘辛だれのいい香り……。うーん、カリッと揚がっててうまいですねえ。これは間違いなくビールに合う味!

ツ もちろんビールも用意してありますよ(笑)。課長さんは、料理するときも音楽をかけたりするんですか?
課 いや、音楽はあまり聴かなくて、ドラマを横目で見ながら料理することのほうが多いですね。恋愛ドラマの中の登場人物に感情移入してみたり(笑)。
ツ 課長さんの日常生活には、妄想がつきものなんですね(笑)。
課 この料理を〈未来の彼女〉に作ってあげたらなんて言うかなあ……とか(笑)。でも、揚げものをするときには、揚げている音に耳を澄ませてますよ。あ、音が変わった、なんて。

ツ わかります! 私、揚げものの音をスマホの着信音にしたいぐらい好きなんです(笑)。
課 最初は「シュワシュワ」、中盤は「チリチリ」、最後は「パチパチ」って、高い音に変わっていくのがいいですよね。僕、漫画の『美味しんぼ』(※)の「天ぷら職人」の回がめちゃくちゃ好きで(笑)。揚げる音を録音したものを職人に聞かせて、「揚げる音が変わったと思うところで手をあげろ」っていう……。
ツ 私も知ってます(笑)。ある意味、あの漫画が日本人の天ぷらへのハードルを上げたんじゃないかと。粉も水も冷蔵庫で冷やしておくとか、衣は混ぜすぎたらいけないとか。天ぷらって、市販の「天ぷら粉」を使えば、どんなに適当に揚げても絶対カリッと揚がるんです。天ぷら粉を使って、家でじゃんじゃん揚げてほしい!
※『美味しんぼ』……原作・雁屋哲、作画・花咲アキラによる名作グルメ漫画。『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて1983年より連載開始。コミック単行本は111巻まで発売されている。

「食」にまつわる
せつない恋バナは続く……
課 自宅でホムパは開いたことないんですが、前にカレーパーティに呼ばれたことがあったんですね。その会に気になっていた女性もきていたんです。その女性がお米を強めにといでいたので、「そんなに力入れてとがなくてもいいよ」って、つい言ってしまったことがあって。嫌だったと思うんですよね、だったら自分でやれよって話で(笑)。
ツ うまくいかず?
課 はい。
ツ エピソードが尽きないですねえ~。
課 うまくいかない話ばかりですけどね。この間も、行きつけのバーにふらっと寄ったら、すごいタイプの子がひとりで座ってたんです。マスターと話しているのを聞いてたら、声も好みで、音楽の趣味も僕とぴったり。これは運命だ……と、意を決して話しかけようとしたら、トイレから彼氏が戻ってきたんです。20分もトイレに行っていたのかよっていう(笑)。
ツ その20分返せって感じですよね(笑)。
課 そうなんですよ。せつない恋バナなら山ほど持ってますよ。
ツ 恋バナと言えば、課長さんのレシピ本はドラマ化(※)されましたよね。
課 はい、僕の妄想話がドラマになるなんて、ホントに夢のような出来事で。しかも、僕の役を高杉真宙さんが演じているのですが、それ自体が妄想のようでした(笑)。
※ドラマ「ホメられたい僕の妄想ごはん」……休日課長によるレシピ本を原案に、モテない主人公・理生(高杉真宙)が、妄想の世界に登場する理想の彼女に料理を振る舞う姿を描く。

(おわり)
\ハナコさんちの揚げものホムパレシピ/



ツレヅレハナコさん
旅と酒をこよなく愛する文筆家・料理研究家。雑誌や書籍、WEB、料理講座などで活躍中。週2~3度は家で揚げものを作るほどの揚げもの好きで、初心者でも失敗しない揚げ方に定評がある。著書に『ツレヅレハナコの揚げもの天国』(PHP研究所)、料理レシピ本大賞のママ賞を受賞した『女ひとりの夜つまみ』(幻冬舎)など。近著は『47歳、ゆる晩酌はじめました』(KADOKAWA)。
休日課長さん
1987年生まれ、埼玉県出身。「ゲスの極み乙女」「DADARAY」「ichikoro」「礼賛」の4バンドのベーシストとして活躍。日々の自炊写真を〈妄想の彼女〉へのメッセージとともにSNSにアップして話題に。著書に『ホメられるとまた作りたくなる! 妄想ごはん』(マガジンハウス)。自身が自炊のバイブルとして崇拝する『The基本200』(小社)から、毎月1品を深掘りする連載、「休日課長の『The基本200』を極める。」をオレンジページnetで配信中。



撮影/鈴木泰介 文/太田順子