56歳、コレステロール再検査。習慣を変えられない悩みへ、専門家が現実的なアドバイスを回答
頭ではわかっていても、不健康な習慣を変えられません。

健康診断の結果で、血糖値が「要経過観察」、コレステロール値が「要再検査」でした。医師からは、「すぐに治療を必要とする状態ではないが、生活習慣を改めたほうがいい」とのこと。このままではいけないと頭ではわかりつつも、毎日の晩酌はやめられませんし、運動も長続きしません。忙しくて疲れているとなおさら不健康な生活になりがちです。どうしたら今の悪い習慣を断ち切って、健康的な生活を送れるようになるでしょうか。
(56歳・男性)
駒村多恵さんの回答
体を鍛えることは本当に大事!完璧をめざさず、できるところから取り組んでいきましょう。

私はもともと筋トレが大嫌いで、しかも甘いものが大好き。だから相談者のかたの気持ちはよくわかります。これまで体を鍛えたこともなければ、ジムに通ったこともなかったのですが、一昨年のある日、テレビを見ながら座りなおそうとおしりを動かした瞬間、激痛が走って……。股関節まわりの軟骨と半月板の損傷と診断され、リハビリで筋肉を鍛えれば、手術は避けられるかもしれないとのこと。母を自宅介護している身としては、長期間家は空けられないと、一念発起してリハビリ=運動療法に取り組むことに。
トレーニングに励んだ結果、1年後には趣味のタップダンスができるまでに。そのうえ、健康診断の数値もすごくよくなっていたんです。病院の先生に「何かしましたか?」と驚かれ、体を鍛えることの重要性を身をもって実感。そんな私をぜひ反面教師にしていただきたい(苦笑)。今は椅子代わりにバランスボールに座ったり、なるべくラクに鍛えられる方法を探して日々実践しています。
食べ物やアルコールに関しては、まず誘惑となるものを家に置かないようにするのはどうでしょう? そして健康的な「代替案」を考えてみる。私の場合なら、大好きなケーキの代わりに干し柿を食べるとか。でもストイックになりすぎるとストレスがたまるので、1カ月に1回、すごくおいしい高級ケーキをいただいてます。続けていくコツは、完璧をめざさないこと。できそうなことから少しずつ変えていきましょう!
お悩み回答者 駒村多恵さん
フリーキャスター。1975 年、大阪府生まれ、奈良県育ち。大学卒業後、フリーキャスターとして活躍。現在、NHKの情報番組「あさイチ」のサブキャスターとして、料理コーナーを担当。実母の介護を15 年以上続けており、仕事をするかたわら、介護福祉士と介護食士の資格を取得。
菅原道仁さんの回答
先のビジョンを明確にしないと、行動は変えられません。病気についての理解を深め、「どう生きたいか」を考えて。

血圧や血糖値が高めだったり、コレステロールや中性脂肪が基準値を超えていても、今は痛くもかゆくもありませんよね。これが虫歯だったり、腰やひざの痛みだったらすぐに対策を講じるはず。いわゆる生活習慣病※1というのは、初期段階は自覚症状がないがゆえに、行動を変えるのはかなりむずかしいんです。楽しいこと、ラクなことをやめなければいけませんから。
しかし、「サイレントキラー」と呼ばれる生活習慣病は、知らず知らずのうちに体をむしばんでいきます。生活習慣病を放置することで動脈硬化が進行し、脳梗塞や心筋梗塞の原因となることは研究で明らかになっていますし、日本人の死因※2の50%以上が生活習慣病と深くかかわっています。まずは病気について深く理解し、「習慣を変えないことで起こりうる最悪の未来」をイメージしてみてください。そのうえで自分が70〜80歳になったときに、どう生きていたいかを考えましょう。健康で自立した生活を送りたいですよね? 旅行や趣味を楽しみたいですよね? そうやって自分の望む未来から逆算して考えると、おのずと今やるべきことが見えてきます。
「血糖値やコレステロール値を下げる」ことだけを目的にしてしまうと、行動するのがおっくうになります。「病気を予防することで何をしたいのか、どんな老後を送りたいのか」、先のビジョンを明確にすることで、モチベーションが上がり、行動が変わってくるはずです。
※1 生活習慣病
食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が、発症・進行に関与する疾患群。具体的には糖尿病、肥満症、脂質異常症、高血圧症、高尿酸血症(痛風)など(いずれも先天性、家族性のものは除く)が挙げられ、がん、脳卒中、心臓病、肺炎の発症にも深く関係していることがわかっている。
※2 日本人の死因
死因のトップは「悪性新生物(がん)」で24.6%。次に多いのは「心疾患」で14.8%、以下「老衰」11.4%、「脳血管疾患」6.8%と続く。全体で見ると、悪性新生物(がん)、心疾患、脳血管疾患、肺炎と生活習慣病に起因する死因が5割を超えている。
お悩み回答者 菅原道仁さん
脳神経外科医。1970 年生まれ。杏林大学医学部卒業後、国立国際医療研究センターに勤務。2015 年に菅原脳神経外科クリニック、19 年に菅原クリニック東京脳ドックを開院。現在は、頭痛、めまい、もの忘れ、脳の病気予防の診療を中心に行う。著書に『すぐやる脳』(サンマーク出版)など多数。
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取材・文/太田順子 イラスト/松元まり子







