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どうする?どうなる?老後の4K

浪費癖のある夫。貯蓄を増やすにはどうしたらいい?【荻上チキさんが回答】

超高齢社会を迎え、「人生100年時代」といわれる現代。
だからこそ、考えだしたら不安でたまらない、家族や自分の老後の生活。
各分野のスペシャリストが、そんなあなたの不安にそっと寄り添います。

今回のお悩み/お金

夫の浪費癖を直したい。このままでは老後破産してしまう!?

夫と大学生の娘と3人で暮らしています。世帯年収自体はそれほど低くなく、3人家族であれば充分貯蓄ができるはずなのですが、一向にお金がたまりません。その理由は夫。仕事柄、飲み会やゴルフなどの接待が多く、交際費もかさみがち。加えて、洋服や時計、趣味のものなど、欲しいと思うものはすぐに買ってしまうタイプです。何度注意しても、「貯めるだけでは、何のために働いているのかわからない」と開き直る始末。お小遣い制にしても、すぐに足りないと言ってくるので意味なし。パートで家計を支え、一生懸命やりくりしても貯蓄が増えないことに、ストレスを感じています。
(44歳・女性)

荻上チキさんの回答

「長期的」「短期的」の両面から家計や資産を〈可視化〉し、夫婦で共有することが大事。

ふきだし
お悩み回答者

荻上チキさん

まず、10年後、20年後のライフプランを踏まえた「長期的展望」を夫側に提示するのは有効な手段だと思います。60代からは収入が大きく減少する傾向にありますから、現在のペースで使っていくと、老後はこれくらいの金額で生活せざるをえなくなる、というような具体的な見通しですね。

ただし、長期目標に対して現実味を感じなかったり、目の前の快楽を優先してしまうタイプの人もいます。その場合は、資産管理アプリでお金の流れを把握してもらうのがいいと思います。僕も実際に使っているのですが、アプリひとつで銀行口座の出入金、金融商品や保険などの資産状況をリアルタイムでチェックできますので、使いすぎの歯止めにもなりますし、「いつまでにいくら貯めよう」という短期目標が立てやすくなります。

そんなふうに長期的、短期的の両面からお金を〈可視化〉して、今までどおり趣味などを楽しみつつ、より充実した人生を送るにはどうしたらいいか話し合ってみてください。そのとき、「無駄使いをやめてほしい」「我慢してほしい」と言うより、「毎月これくらい積み立てよう」「これくらいは使っても大丈夫」といった前向きな提案のほうが、円滑に話を進められると思います。

コミュニケーション不足もストレスの原因になっていると思うので、財産を共有しているパートナーとして、今のお金の使い方に疑問を持っていることもちゃんと伝えましょう。

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※1 60歳以降の平均年収

国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、50代までは年齢とともに平均年収が上がる傾向にあるが、60代になると100万円以上減少。さらに60代後半になると、ピークである50代より約200万円も平均年収が下がる。

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※ 資産管理アプリ

毎月の収支や預貯金、有価証券などの資産を一括管理。銀行や証券口座の残高や明細を個別に確認しなくても、ひとつのアプリで簡単に資産状況を把握できる。アプリによってはクレジットカードや電子マネー、各種ポイントサービスとも連携可能。

荻上チキさん
評論家。1981年、兵庫県生まれ。一般社団法人「社会調査支援機構チキラボ」所長。NPO法人「ストップいじめ! ナビ」代表。TBSラジオ「荻上チキ・Session」(月~金曜)メインパーソナリティ。最新刊『社会問題のつくり方』(翔泳社)をはじめ著書多数。

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『オレンジページ』2024年6月17日号より)

取材・文/太田順子 イラスト/松元まり子