49歳女性、豹変した母に涙。MCIの現実と向き合う方法を浜田敬子さんが回答
だからこそ、考えだしたら不安でたまらない、家族や自分の老後の生活。
各分野のスペシャリストが、そんなあなたの不安にそっと寄り添います。
今回のお悩み/介護
軽度認知障害の母。変わりゆく母の姿を見ると、今後が不安でたまりません。


母親が認知症の前段階にあたるMCI( 軽度認知障害)と診断されました 。何度も同じ話を繰り返したり、ときには攻撃的になって怒鳴りはじめたり、会話がかみ合わず、コミュニケーションがうまくとれません。これからこの症状がどんどん進むと思うと気が重いですし、何より楽しかったはずの過去の記憶も母の中で消えていきそうで悲しくなります。「あのやさしかった母はどこに?」「いつか私のことも忘れてしまうのかな」と思うと、涙が出てきます。どうしたら前向きな気持ちで介護に向き合えるでしょうか。
(49歳・女性)
浜田敬子さんの回答
介護する側、される側の不安が少しでもやわらぐ方法を模索してみては?

浜田敬子さん
じつは私の父も、要介護認定を受けて認知症が少しずつ進行している状態です。父の場合、攻撃性はないのですが、やはりコミュニケーションはとりづらくなっていますね。昨年母が入院したときも、「お母さんは入院してるよ」と何度伝えても、すぐに忘れて「お母さんはどこ?」ってきいてきたり……。
そこで試したのが、文字にして伝えること。「お母さんは入院していて、〇日に帰ってきます」「朝ごはんは〇〇を食べてください」など、紙に大きく書いて冷蔵庫や壁、ドアなどの目につくところに貼っておいたんです。紙に書いてあると何度も読み返せるので、父も落ち着いて行動できたみたいで。私も会話のかみ合わないストレスを感じずにすみました。
相談者のかたがお母さまの変化に戸惑い、不安に思う気持ちもよくわかります。でも同時に、軽度認知障害※1と診断されたお母さま自身も不安やパニックに陥っていると思うのです。文字でのやり取りはその一例ですが、お互いの不安が少しでも解消できるやり方を模索してみてはどうでしょうか。
介護が始まったら、優先すべきは自分の体とメンタルです。いざというときすぐに介護サービスが受けられるよう、早めにケアマネジャーに相談しておきましょう。今のうちから通所・入所できる施設を探しておいても。そこに罪悪感を覚える必要はありません。長い介護生活を乗り切るためには、ご自身が元気でいることがいちばん大事だと思います。
※1 軽度認知障害(MCI)
健常者と認知症の中間にあたり、認知症の前段階の状態と考えられている。記憶力や注意力など認知機能に問題が生じているものの、日常生活に支障をきたすほどでもないか、あっても軽度のもので認知症とは診断できない状態をさす。
ジャーナリスト
1966 年、山口県生まれ。朝日新聞社に入社後、『週刊朝日』編集部を経て、『AERA』編集長に就任。前「Business Insider Japan」統括編集長。「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)、「サンデーモーニング」(TBS系)のコメンテーターを務める。近著は『男性中心企業の終焉 』(文春新書)。
取材・文/太田順子 イラスト/松元まり子














