おつまみにも!牡蠣のチーズ風味ピカタ【オレペの中の人・福島のうちごはんレシピ】


入社25年(つまり四半世紀)以上のベテラン料理編集者3人が「うちごはん」について気ままに、赤裸々に語るリレー連載。個人的好み全開のオリジナルレシピのおまけつき。

vol.52
入社29年目 独身生活満喫中の福島の場合
『かきのチーズ風味ピカタ』
子どもの頃は食べられなかったのに、大人になると大好きになった食材や料理ってありますよね。僕の場合、小さい頃に苦手だったのが、レバーとかき。あまり好き嫌いのない子だったんですが、この二つだけは、どうしてもダメでした。他のものは比較的なんでも食べていたからなのか、母親も無理やり食べさせようとすることもなく(数回トライはさせられましたが……)、カキフライの日は僕だけえびフライ、レバニラ炒めの日は僕だけ他の肉に替えてと、毎回違うメニューを用意してくれてました。一人分だけ違うものを作るのって手間も時間もかかって大変だっただろうに、そのおかげで、食べること自体を苦痛に感じたりすることもなく、食にまつわる仕事をする大人に成長できました。ありがとう、お母さん。
時は流れ、大学三年から四年になる年の春休み、僕の好き嫌い事情に突然転機が訪れます。当時仲のよかったサークルの仲間と旅をすることになり、行先に選んだのは東北。盛岡で冷麺、仙台で牛たんと、初めて訪れる土地でおいしいものを満喫し、名所旧跡をめぐってと充実した時間を過ごし、いよいよ最後の目的地へ。その日の宿泊地は、日本三大風景にも数えられる松島。そして松島といえば……かきの名産地! 果たして宿での夕食の時間、目の前に置かれたお膳を見た瞬間、冗談抜きで固まることになります。小鉢からメイン、汁もの、ご飯ものに至るまで、すべての料理にかき、かき、かき……! ぜんぶ残すか。いや、さすがにそれは宿のかたに失礼だし、何より夕飯抜きはきつい。どうしたもんか……と、考えに考え、出した結論は「頑張る」でした。
意を決して恐る恐る食べてみると、「あれ? おいしいかも……」。勝手にイメージしていた独特のにおいもないし、クリーミー。海のミルクとはよく言ったもんだなどと考えながら箸は進み、気がつけば完食! いや~、やっぱり本場の新鮮なものは違うんですね。それ以来、すっかりかき嫌いは克服し、今では好きなもののひとつに。外食でかきフライを見つけたらかなりの確率でオーダーするし、冬には毎年オイル漬けを仕込みます。もちろん、ふだんの食事でも手を変え品を変え、季節の味を楽しんでいます。そんな中から、ビールのつまみにもぴったりの「チーズ風味ピカタ」をご紹介します。ちなみにレバーは、今のところまだ完全には克服できておりません……(泣)。
ピカタと同じく卵の組み合わせで、「かきの卵とじ」もよく作る一品。かきってあっという間に火が通るので、時間がないときにパパっと作るのにいいんです。だし汁に酒、みりん、しょうゆを加えて煮立て、かきを入れて2~3分煮たら、刻んだ三つ葉を混ぜた溶き卵でとじるだけ。ご飯にのっけて食べると、これがまたおいしいんです!
冬は「かきのオイル漬け」ともうひとつ、定期的に食べたくなるのが「かきのグラタン」。かきから出るエキスもすべてホワイトソースに加えて、うまみ満点に仕上げます。かきと玉ねぎだけでシンプルに作ることもあれば、ほうれん草などをプラスすることも。いろんな組み合わせで楽しめるところも、お気に入りの理由のひとつです。
オレぺの中の人のうちごはんレシピ
『かきのチーズ風味ピカタ』

材料(ちょっと多めの1人分)
- かき(むき身) 160g(6~8個)
- 〈卵液〉
- 溶き卵 1個分
- 粉チーズ 大さじ1
- パセリ、トマトのくし形切り 各適宜
- 塩 粗びき黒こしょう 小麦粉 オリーブオイル
- ⇒かきの大きさによって個数は変わりますが、今回使ったのは、やや小さめのサイズのもの。夕飯のおかずとしてなら1人分、何品かあるおつまみの中の一品って感じなら、2人分でもいけそうです。
作り方
- かきはざるに入れ、塩適宜を加えた水につけて、手でかるく混ぜながら洗う。水を2~3回替えながら洗い、水けを拭く。卵液の材料を混ぜ合わせる。
- かきに塩、粗びき黒こしょう各少々をふり、小麦粉を薄くまぶし、余分な粉ははたき落とす。⇒卵液に加える粉チーズにも塩けがあるので、かきにふる塩は控えめでOKです。ちなみに卵液にパセリのみじん切りを混ぜたり、カレー粉を混ぜたりするのもおすすめです。
- フライパンにオリーブオイル大さじ1を弱めの中火で熱し、かきを1つずつ卵液にくぐらせて並べ入れる。2分ほど焼いたら裏返し、さらに2分ほど焼く。うっすらと焼き色がつたら器に盛り、パセリ、トマトを添える。⇒僕はあまり焼き色をつけたくないので、弱めの火加減で焼きます。こんがりしたのが好みなら、もう少し強めの火で焼いてください。ただ、かきが堅くならないように、焼き時間は短めに。

- Editor No.04 福島耕一(通称・フック)
- 大阪府高石市出身。1992年オレンジページ入社。子どもの頃から料理好き。大学時代の一人暮らしで『オレンジページ』に出会い、出版志望ではなかったのに、料理に関わる仕事がしたいとの思いから入社。週末は人が家に集まり、料理をふるまうことも多い。独身。
福島のうちごはんレシピ、
こちらにもあります。
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