アメリカの定番の味。編集者・宮川が作る「チキンヌードル」


入社25年(つまり四半世紀)以上のベテラン料理編集者4人が「うちごはん」について気ままに、赤裸々に語るリレー連載。個人的好み全開のオリジナルレシピのおまけつき。

vol.15
入社28年目〈人が喜ぶため〉に料理をしている宮川の場合
『ほっこり、なつかしの味・チキンヌードル』
おうちごはんではしょっちゅうパスタを食している私。定番のナポリタンやカルボナーラなどに加え、冬になると作って食べたくなるのが、「チキンヌードル」。
これはニューヨークに住んでいた、幼少の頃を思い出す一品。子どもが風邪をひいたときに、アメリカのママが決まって食べさせる定番メニューで、寝込むことが多かった私に、母もよく作ってくれました(余談ですが、我が家の「風邪っぴきの三大特権」は、ふとんに入ったままごはんが食べられる・普段制限されている甘い炭酸飲料が飲める・値の張るみかんの缶詰が開けられる、でした。これが嬉しくて、イベントのようなワクワク感を感じたものです)。
母の「チキンヌードル」は、おなじみの赤い缶に入った、即席タイプを使ったもの。鶏肉のブロスと香味野菜の風味あいまったスープの味と、ふにゃっとしたヌードルの食感が大好きで、「これだけは食べてくれるから」と、常に棚にストックしていました。
アメリカでは、大人になっても「風邪をひいたらチキンヌードル」は変わらずで、映画やドラマで、体調が悪い友だちや恋人のために「チキンヌードル」を持ってお見舞いに行くシーンも多々登場。ほとんどの場合、デリで買ったものですが、大切な人を思う気持ちに「チキンヌードルはやさしさでできているなぁ」と、ほっこりとしてしまいます。
でもこれは、じつは理にかなっていて、柔らかいヌードル(スパゲティやショートパスタ)は消化によく、薄味なので食べやすく、鶏肉で栄養を、スープで水分を補給できることもポイント。いわば「アメリカ版おじや」、ともいえますね。
今でも赤い缶の「チキンヌードル」がなつかしくて作りますが、ときには鶏肉をコトコト煮るところからスタート。キッチンが湯気に包まれて、それだけでもぽかぽかと温まり、スープのおいしさも格別。寒さと乾燥で免疫力が落ちる今の時期の、私の元気の源でもあります。
大好きな、赤い缶の「チキンヌードル」。オーソドックスなタイプと、子どもが喜ぶ、アルファベットのパスタが入った種類も。どちらも日本では手に入りにくいので、以前アメリカに行ったときに、スーツケースいっぱいに買って帰ったものを大切に使っています。
煮るところからスタートする「チキンヌードル」。母は時折、鶏ガラを使って作ってくれていましたが、私は手羽肉で応用。なぜならば、あとのお楽しみがあるから(レシピの最後をご覧ください)。
オレぺの中の人のうちごはんレシピ
『ほっこり、なつかしの味・チキンヌードル』

材料(作りやすい分量)
- スパゲティ 60g
- 鶏手羽中(スペアリブ) 300g
- 香味野菜
- ・玉ねぎ 1個
- ・にんじん 1/2本
- ・セロリの葉 1本分
- 洋風スープの素(固形) 2個
- 塩、こしょう 各適宜
作り方
- 大きめの鍋に鶏手羽、4つ割りにした玉ねぎとにんじん、セロリの葉を入れ、水1.5Lを注ぎ入れる。強めの中火にかけ、煮立ったらアクを取り除いて弱火にし、ふたをずらしてのせて、1時間ほど煮る。
- 鶏手羽を取り出してから、スープを万能こし器を通して、別の鍋に注ぎ入れる。鶏手羽適宜は骨を取り除き、香味野菜とともに小さめに切る。
- スープに鶏肉、香味野菜、洋風スープの素を加えて中火にかけ、煮立ったらスパゲティを長さ3~4cmに折って加える。ときどき混ぜながら、スパゲティが柔らかくなるまで20分ほど煮て(スパゲティをゆでずに加えることで、自然なとろみがつきます。また固形スープを加えることで、ちょっと「缶詰に近いなつかし味」になります)、塩、こしょうで味をととのえる。
残りの鶏手羽は油少々をひいたフライパンで両面をカリッと焼いて、おつまみに。「抜け殻」になるかと思いきや、身は骨からほろっと外れるほど柔らかくなって美味! 今回はカレー塩をふっていただきました。

- Editor No.03 宮川京子(通称・ミヤカワさん)
- 神奈川県横浜市出身。大学卒業後、1992年に「ただただ料理が好き」という志望動機でオレンジページに入社。出版社の業務形態などをまったく知らず「オレンジページに入れば、自分で料理を作って写真を撮ってレシピが書ける」と思い込み、後にそうではない事実を知る。戸惑いのスタートから早28年。料理本担当一筋の日々で、常に頭のなかは食べることと作ることで埋め尽くされている。
宮川のうちごはんレシピ、
こちらにもあります。
~電子版限定~
オレぺの中の人のうちの味・好きな味
検索できないレシピ 和食・おやつ
オレぺのレシピを世に送り出しつづけているベテラン料理編集者4人が、これまで出会ったレシピの中から好きなもの、忘れられないものを自ら作って、撮って、語ります。
各電子書籍ストアにて好評配信中!