さまざまなジャンルで活躍している「あの人」にフィーチャー。今、向き合っていることや日々の暮らしなどについて語っていただきます。 インタビューの記事はこちらもチェック
吉田鋼太郎『役を突きつめて最後はどこに行き着くのか。リア王が見た〈何か〉を観客と目撃したい』
※2026年5月31日までの限定公開記事です。
俳優 吉田鋼太郎さん
よしだ こうたろう/1959年、東京都出身。97年に劇団AUNを旗揚げ。演出も手がける。蜷川幸雄演出のシェイクスピア作品に多数出演。2016年「彩の国シェイクスピア・シリーズ」2 代目芸術監督に就任。24年の「ハムレット」に続き昨年5月には「彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd」の第2作として「マクベス」の演出・上演台本・出演を務めた。その他の出演作に、ドラマ「おっさんずラブ」シリーズ、「おいハンサム!!」シリーズ、連続テレビ小説「あんぱん」、「ヤンドク!」、映画「ショウタイムセブン」「事故物件ゾク 恐い間取り」などがある。
吉田 鋼太郎(ヨシダ コウタロウ) | ホリプロオフィシャルサイト
とことん役を突きつめて、最後はどこに行き着くのか。
リア王が見た〈何か〉を観客と目撃したいですね
ドラマに、映画にひっぱりだこ。人気俳優・吉田鋼太郎さんの原点であり、情熱を注いできたライフワークがシェイクスピア演劇。
「最初にシェイクスピアの舞台を見たのは、16歳の夏休み。たまたまチケットが手に入ったのがきっかけです。予習のため本を読みましたが、さっぱり頭に入ってこない(笑)。これを見るのか……、とちょっと暗い気持ちで劇場に行ったのを覚えています」
ところが。読むと見るとでは大違い! 「むずかしい印象が一変した」と言葉に力をこめます。
「生の舞台を見たのも、このときが初めて。あまりのおもしろさに衝撃を受けました。戯曲は読むものではなく、見るものなんだと。言葉の豊饒(ほうじょう)さ、テーマの普遍性、物語の奇想天外さ。〈芝居〉で見たとき、いかに飽きさせないように書かれているかを思い知りました」

この日の感動から役者の道へ。現在は「彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd」の芸術監督を務め、今年は「リア王」を上演します。
「すじだけでいえば、老いた父親が娘たちに疎まれ、居場所をなくす物語。現代でも身近に起こりうることですが、大きく違うのは〈王〉の物語である点だと思っています。権力の頂点にあった〈王〉が、裸同然で追い出されるショッキングさ。リア王のちょっとした判断ミスを発端に、周囲の人間の欲や野心がふくらみ、国がおかしくなっていく。そのダイナミズムを描ければ、最高の舞台になると確信しています」

吉田さんが演じるのは、タイトルロールのリア王。第一幕、老齢のリア王は、誠実な末娘と忠臣を激情にまかせ追放します。
「老人が急に怒りだす姿は、現代でも恐怖ですよね。まして〈王〉であれば、だれもとりなせない。〈竜の怒り〉にたとえられる爆発的な怒りを表現し、後半の静かな狂気につなげたいと思っています」
今回の役作りで対峙(たいじ)したのは、リア王の奥に潜む〈老い〉。
「私も老化のストレスを実感する年齢。実生活ではマイナスですが、リア王を演じるにはプラスという皮肉な状況です(笑)。役を突きつめていくなかで、何が立ち上がってくるのか。リア王は最後に何を見るのか。自分を追い込み、観客といっしょに見届けたいですね」
吉田鋼太郎さんイチオシ!
「泉屋東京店」のクッキー
子どものころから好き! 長女と仲よく食べています
「いつもはお茶と食べていますが、意外とウィスキーのロックにも合います」と話すお気に入りが、「泉屋東京店」のクッキー。発売から1世紀近く愛されてきたロングセラーです。吉田さんにとって「実家によくあって、子どものころから親しんでいた味」だとか。今はまな娘といっしょに食べるのも楽しみ。「娘も好きで。食べやすく割ってあげると喜んでいます」。
これに注目!
彩の国 シェイクスピア・シリーズ2nd Vol.3「リア王」
作/W.シェイクスピア
翻訳/小田島雄志 演出/長塚圭史
出演/吉田鋼太郎、石原さとみ、矢崎 広、松岡依都美、吉田美月喜、山内圭哉、山西 惇、藤原竜也ほか
5月5日(火・祝)~24日(日)
彩の国さいたま芸術劇場大ホール
(7日、11日、18日は休演)
宮城・愛知・大阪・福岡・岡山公演あり
吉田鋼太郎さんからの直筆メッセージ
●2026年3月現在の情報です。
あわせて読みたい
撮影/佐山順丸 取材・文/待本里菜

















