
うまみたっぷり! 『あさりの酒蒸しパスタ』のレシピ【寿司屋直伝のコツあり】

この連載では、寿司屋ならではのテクニックを交えながら、家庭で作りやすいレシピをご紹介します。
第2回『ほたるいかの漬け込み&バターソテー』のレシピはこちら>>
第3回は、旬の〈あさり〉と日本酒を使った『酒蒸しパスタ』です!
あさり×パスタといえば、白ワインを使った〈ボンゴレ〉のイメージが強いですが、今回は寿司屋らしく和風テイストに。
たっぷりの日本酒で蒸すことで、あさりそのものの味が引き立ち、よりうまみを感じることができるんです。
レシピと合わせて、あさりをふっくらと仕上げるコツや上手な砂抜きの方法もご紹介しますよ。
では、さっそく作っていきまーす!

【其の一】
あさりが生息する環境に近づけて砂抜きすべし!

砂抜きのときは、あさりが住んでいる状態に近づけると◎。海水に近い3%の塩水を、あさりの口が出るか出ないかくらいまで注ぎ、密閉せずに暗い状態にしてあげるのがベストです!
貝の口が水からちょっと出てパクパクすることで、いちばん砂を吐きやすくなるんですよ。水が多すぎたり、ぴったりふたをしてしまうと酸欠になってしまうので注意!
【其の二】
酒蒸ししたあさりは一度取り出すべし!
あさりは加熱しすぎると堅くなってしまうので、酒蒸しして口が開いたところで一度取り出します。「パスタに味をしっかりと吸わせる」→「あさりを戻し入れる」の流れが◎!
【其の三】
日本酒(清酒)を使っておいしさUP!
もちろん、料理酒でもおいしくでき上がりますが、日本酒(清酒)は食材のうまみや風味をいかす料理にぴったりなんです。
スーパーで手に入るお手頃なものでOKなので、この機会にぜひ試してみてください!
『あさりの酒蒸しパスタ』のレシピ
材料(2人分)
スパゲティ……160g
あさり(殻つき)……300g
にんにくのみじん切り……10g(1と1/4かけ分)
しょうがのみじん切り……10g(1かけ分)
赤唐辛子(種を取る)……1本
日本酒(清酒)※……大さじ5
しょうゆ……小さじ1
水……1/4カップ
バター……15g
三つ葉……適宜
塩……適宜
※なければ料理酒で代用可
下ごしらえ
・あさりの砂抜き
(1)
あさりをバットに入れ、3%の塩水をひたひたに注ぐ(写真は水1カップ:塩6g)。
(2)
アルミホイルをかぶせ、空気が通るように菜箸などで数カ所穴をあけて2〜3時間おく(夏場の暑い時期は、涼しいところで砂抜きし、冷蔵庫の野菜室で保存)。
※潮干狩りでとってきたあさりは、砂の量が多いので冷蔵庫の野菜室で一晩おく。
作り方
(1)
大きめの鍋に、スパゲティをゆでる湯2リットルを沸かしはじめる。
三つ葉は根元を切り、長さ3~4cmに切る。
砂抜きをしたあさりは、殻と殻をこすり合わせるようによく洗い、ざるに上げる。
(2)
鍋の湯が沸いたら、塩20g(塩分1%になるように)を加え、スパゲティを袋の表示時間より1分短くゆではじめる。
(3)
フライパンにあさり、にんにく、しょうが、赤唐辛子、日本酒を入れ、ふたをして中火にかけ……、
あさりの口が開いたら、いったんあさりを取り出す(蒸し汁は捨てない)。
(4)
(3)に、しょうゆ、水を加えてしっかり混ぜ合わせる。
【POINT】
あさりは塩けが強い場合もあるのでスパゲティのゆで汁ではなく、水を加えます。
味を見て、好みで塩適宜を加えて。湯をきったスパゲティを加えて、うまみたっぷりの蒸し汁をまとわせたら……
あさりを戻し入れ、バターを加えて炒め合わせる。
器に盛って、三つ葉を散らしたら……、『あさりの酒蒸しパスタ』のでき上がりで〜す♪
酒蒸しにしたあさりは、身がふっくらとした仕上がりに。
にんにく、しょうが、あさりのうまみを吸ったパスタは、食べ進める手が止まらないほどのおいしさです!
このパスタ、コツさえ押さえておけば、あさりだけに、あっさり作れちゃいますよ(笑)。
ぜひ作ってみてください! おあとがよろしいようでm(_ _)m
谷中松寿司の旬ネタ
さてさて、最後に松寿司で扱う旬のネタをご紹介!
今回は「稚鮎」。成魚になる前の小さな鮎です。
松寿司では、おつまみで稚鮎の天ぷらをお出ししています。ひれに粉をつけてからころもをつけて揚げると、躍動感のある姿に仕上がるんですよ!
骨ごと食べられるので、鮎をまるかじりしたような味わいも魅力的。鮎の香りとほろ苦さで初夏の気分を感じられます。
あっ! これは私のYouTubeでもご紹介しているのでぜひそちらも(笑)。
次回の更新は5/26(金)。旬の〈かつお〉を使ったレシピを紹介します!
野本やすゆき
料理家、谷中で80年続く「谷中松寿司」三代目店主。
大学卒業後、調理師学校に通い、調理師免許を取得。家業の寿司店で修業するかたわら、フードコーディネータースクールに入校。卒業後、同校講師を経て独立。
料理家、寿司屋の二刀流で料理雑誌へのレシピ提供、テレビ番組や広告のフードコーディネートなど、食にかかわるジャンルで幅広く活躍中。
YouTube:野本やすゆきチャンネル
Instagram:nomotobase
谷中松寿司:yanakamatsusushi

写真・文/野本やすゆき