井上咲楽、でっかいキャベツ2個を携えて、3時間電車に揺られ東京へ。
実家ではさまざまな野菜をご近所さんからおすそわけしてもらうことが多く、私も帰省すると旬の野菜をたくさんもらう。
先日帰省すると、
「ねえ咲楽! これ見て!」と母にウッドデッキに案内され、
10玉以上ある大量のキャベツを見せられた。
ふだんスーパーで見るものに比べ、ふたまわりくらい大きい立派なキャベツだ。
「よかったら3玉くらい持って帰らない?」と母に言われたが、
これから
宇都宮線で3時間、重いキャベツ3玉を持って東京に帰るのか……。
と正直あまり乗り気ではなかった。
「ほら! ご近所さんにあげたらいいじゃない!」
「いや、東京はあんまりご近所づきあいないんだよ」
「マネージャーさんにあげるのは?」
渋い顔をしていたが、結局母に必死で説得され、2玉もらって帰ることにした(3玉はさすがに重かったです……)。
帰京したこの日はそのままテレビ局へ。
キャベツのほかにも
里いも、
キウィ、
根しょうがなどたくさんもらったので、楽屋でスタイリストさんやヘアメイクさん、他の共演者さん、なんなら
お昼に立ち寄った飲食店の店員さんにもおすそわけした。
母にもらったキャベツで、ザワークラウトを仕込む。
みなさんがもらってくれたおかげでだいぶ軽くなって、やっと帰宅。
さて、このキャベツはどうしよう。ポトフにするか、ロールキャベツにするか……でも正直今日はおなかがすいていないし、明日からロケが続くので、作っても残すことができない。
さて、どうしよう。迷った結果、保存がきいて大量に消費できる
ザワークラウトを作ることにした。
ザワークラウトとは?
ざっと調べてみたところ、ドイツ語で
「酸っぱいキャベツ」という意味だそう。
その酸っぱさはお酢によるものではなく、乳酸発酵によるもの。 ビタミンCを豊富に含むザワークラウトは、保存状態がよければ1年ほど保存が可能なんだとか!
15~18世紀の大航海時代にも食べられていたというから、歴史は古い。
ザワークラウトにたっぷり含まれている乳酸菌は
胃酸にとっても強い植物性乳酸菌! キャベツの食物繊維との組み合わせで、美肌効果、胃腸の健康維持、便秘の解消などたくさんの健康効果や美容効果も期待できるとのこと。
というわけでさっそく仕込み開始!
キャベツを半玉使うことにして、せん切りにする。しんも細かく刻む。
スライサーで細かくしてもいいけど、
トントン刻みたい気分だったのであえて包丁を使って無心でせん切りにする。
トントントン、シャクシャクシャクと、キャベツの水分を感じながら刻むこの感じ、いやなものがスーッと抜けるような感覚になる。
刻み終えたらキャベツの重さを量り、2%の塩を入れて水分を出すようにしっかりともみ込む。500gのキャベツだったら塩は10gほど。
キャベツが汗をかいてしんなりしたら、清潔な保存びんにぎゅうぎゅうに詰めていく。
このとき、キャベツだけでも問題ないがいっしょに好みのスパイスやハーブを入れてもおしゃれな香りがしておいしい。 今回は
ローリエ、
ブラックペッパー(ホール)、防腐剤代わりの
鷹の爪(赤唐辛子)を入れた。 最後にキャベツとふたの間にラップをはさみ、準備完了!
数日おくとキャベツが
黄色みを帯びた白色になってきて、
ぷくぷくとした気泡が出る。
味をみて、酸味を感じたら食べごろ。 でき上がったびんを眺めて、
大きかったあのキャベツの半玉分をここに閉じこめたのか〜とうれしくなった。
カレーに添えたり、ピクルス代わりホットドッグにはさんでもおいしそう。
ポテサラに入れてもさっぱりしてよさそうだ。
発酵食品はすぐに食べられないぶん、でき上がってからの活用法に妄想をふくらませて待つ時間を楽しむのもいい。キャベツの半分を使いきってホッとしたところで、さて、もう半分のキャベツはどう食べよう。
この調子でいくと、ザワークラウトの熟成を待っているうちに食べきってしまいそうだ。 お母さん、重かったけど、無理やり持たせてくれてありがとう。
PROFILE
井上咲楽(いのうえ・さくら)1999年、栃木県生まれ。2015年「第40回ホリプロタレントスカウトキャラバン」を経て芸能界入り。「おはスタ」「新婚さんいらっしゃい!」など、バラエティ番組で見せる明るいキャラクターで人気を博す。NHK大河ドラマ「光る君へ」に出演。2024年5月に『井上咲楽のおまもりごはん』、11月に『じんせい手帖』を出版。「発酵食品ソムリエ」資格、「食品衛生責任者」の資格も持つ。