こんにちは! 谷中松寿司三代目・料理家の野本やすゆきです。この連載では、寿司屋ならではのテクニックを交えながら、家庭で作りやすいレシピをご紹介します。第3回『あさりの酒蒸しパスタ』のレシピはこちら>>第4回は、満を持して「すし」を作ります!その名も薬味をたっぷり混ぜ込んだ『かつおの手こねずし』。旬の初がつおの味わいを楽しめるよう、シンプルでおいしい〈漬け〉にするのがポイント!すしめしを上手に作るコツもご紹介するので、ぜひ試してみてくださいね。ではさっそく作っていきまーす! 【其の一】かつおは〈しょうがじょうゆ〉で漬けにすべし! 今回はさっぱりとした味わいにすべく、シンプルに〈しょうがじょうゆ〉で漬けにします。さわやかな辛みの〈しょうがじょうゆ〉は、香りのよい初がつおとの相性が抜群です! 【其の二】落としラップで漬け時間を短縮! かつおを漬けるときは、〈落としラップ〉を活用! 落としぶたのような役割をしてくれるので、短時間&少ない材料で味がしみ込みます。 【其の三】色がきれいなかつおを選んで! かつおは、鮮度がとくに大事な魚。身が鮮やかな赤色で、血合いが黒っぽくなっていないものを選ぶといいですよ!ちなみに、秋の戻りがつおは身と皮の間がピンク色っぽいものを選ぶと◎。脂がのっていておいしい証拠です。 『かつおの手こねずし』のレシピ 材料(2~3人分) かつおの刺し身(皮なし)……1さく(200g)温かいご飯……2合分〈しょうがじょうゆ〉しょうゆ……大さじ3しょうがのすりおろし……1かけ分〈すし酢〉塩……小さじ1と1/2砂糖……大さじ1と1/2米酢……大さじ3と1/3貝割れ菜……1/4パック万能ねぎ……4〜5本みょうが……2個青じその葉……5枚白ごま…小さじ1 下準備 〈しょうがじょうゆ〉と〈すし酢〉の材料を、それぞれ混ぜ合わせる。 作り方 (1)貝割れ菜は根元を切って長さを半分に、万能ねぎは小口切り、みょうがは縦半分に切って横に薄切り、青じそは粗みじんに切る。(2)飯台(大きめのバットやボールでOK!)にご飯を入れて〈すし酢〉を全体に回しかけ、しゃもじで米をつぶさないように切るように混ぜる。全体にすし酢がなじんだら、うちわであおいで粗熱を取る。こうすることで、味がなじみ、つやのあるおいしいすしめしになります。万能ねぎ、みょうが、青じその葉、白ごまを加えて混ぜ合わせる。(3)かつおはペーパータオルで水けを取り、食べやすい大きさに切る。かつおをバットに並べ、〈しょうがじょうゆ〉を加えて落としラップをして1分漬ける。かつおの汁けを軽く切って(2)に混ぜる。器に盛り、貝割れ菜を散らしたら、おいしい「かつおの手こねずし」のでき上がりです!初がつおは、秋の戻りがつおと比較すると脂が少なく、身が引き締まっているのが特徴!だんだんと暑くなるこの時期にさっぱりといただけるよう、今回は漬け時間を1分と短くしました。かつおの味と香りをより感じられると思いますよ。旬の初がつおの味わいを、ぜひ『手こねずし』で楽しんでください! 谷中松寿司の旬ネタ 最後に松寿司で扱う旬のネタをご紹介。今回は〈鳥貝〉です!お客さまにも大人気で、私も大好きな鳥貝。じつは、春から初夏にしか味わえない貝なんです。とくに丹後産、石川県七尾産の鳥貝は身が大きく厚みがあって最高! 柔らかくて甘みもあり、とってもおいしいですよ。今回仕入れたのは、石川県七尾産のもの。大きくて色もよく立派です!次回、6/9(金)の更新は番外編! 寿司屋の〈ガリ〉のレシピを教えちゃいます。お楽しみに!野本やすゆき料理家、谷中で80年続く「谷中松寿司」三代目店主。大学卒業後、調理師学校に通い、調理師免許を取得。家業の寿司店で修業するかたわら、フードコーディネータースクールに入校。卒業後、同校講師を経て独立。料理家、寿司屋の二刀流で料理雑誌へのレシピ提供、テレビ番組や広告のフードコーディネートなど、食にかかわるジャンルで幅広く活躍中。YouTube:野本やすゆきチャンネルInstagram:nomotobase谷中松寿司:yanakamatsusushi