[第27回]【塾前じゃないごはんJK編】JK弁当ニューステージへ。スープジャーでなに作る? [第26回]【塾前じゃないごはんJK編】圧力IH 炊飯器、最高! 弁当作りを支えるうちの新しい仲間。 入学と同時に始まったJK弁当ライフも早1カ月。うわさには聞いていたけど、毎日弁当作るってやっぱり大変だなこりゃ。朝起きて速攻で作ることはもちろん、お弁当ありきで買い物したり、野菜や肉を下ゆでや下味つけて仕込んでおいたりと、頭の片隅にいつも弁当がある生活になっている。お弁当、決して嫌いじゃないけどね。いや、むしろ好き。でも大変。だから、お弁当を作ってもらっている人は、どうか感謝を忘れずに。自分で自分に作っている人、グッジョブ。ちょっと先の自分が、いま作ってる自分に感謝してる。弁当ライフでいちばんの変化。それは、前回書いたとおり、これまで鍋炊きだった炊飯を圧力IH炊飯器に切り替えたこと。結果的にわが家のQO白飯L(クオリティー・オブ・白飯ライフ)が劇的に上がり、とても満足。毎朝ご飯の炊き上がり音に起こされる新生活となっている。 JK娘からスープジャー弁当のリクエスト お弁当ライフの始まりに、JK娘からひとつ要望があった。いわく、C学生のころの塾弁で、スープジャーに温かい汁ものおかずを持ってきている友達がいて、あれを自分も食べたいと。合点承知。さっそく春休み中に娘とスープジャーを買いに行った。で、たまげたのですよ。いまどきは、ジャーにもいろいろあるのだね。機能、サイズ、色や形もさまざまで、選択基準がないと何をどう見たらいいのかわからない。しかしそこは検索ネイティブのZ世代、すかさずスマホを取り出し、スープジャー、便利、容量、などと言葉を入れて売り場で即リサーチ。口コミをざーっと見て、間もなく「お母さんこれにするわ」とひとつをピックアップした。おぬし、早いね。結局、ちょっとしたボリュームのおかずスープも入れられる400mlサイズに決定。そろそろ朝のリズムがつかめてきた2週間後あたりから、使ってみることにした。どうせなら、スープジャーで弁当作りの簡略化をねらいたい。おかずも兼ねたボリュームスープにして、あとはおにぎりかご飯で完結する組み合わせから。まず初めは、やってみたかった茶碗蒸しにトライ。なぜ茶碗蒸しか。理由は単純で、JK娘の好物だから。それに、茶碗蒸しは実際作るのもそれほど手間じゃない。てか、簡単。しかもレンジでできる。 スープジャー弁当版「ベスト茶碗蒸し」を模索中 茶碗蒸しを作るとき、大事なのが蒸しかげん。夕ごはんでは、大きめの器でたっぷり作るので蒸し器での蒸し時間も長く、つるんと美しい蒸し上がりも意識する。でも、スープジャーの茶碗蒸しは別もの。だって通学で揺られるうちにジャーの中でくずれるのだから。考えてみれば、茶碗蒸しを食べるときはだれでもくずしながら食べるわけで、おいしくさえできれば、口に入れたときの喜びはそれほど変わらない。大事なのは見た目ではなく味と食感だ。というわけで、さっそくトライ。耐熱容器に小さく切った鶏もも肉、かまぼこ、しいたけ薄切り、酒、顆粒の和風だしの素を加え、レンチンして先にジャーに入れる。同じ容器で卵とだし汁もレンジで3分前後。ふるふるになったらスプーンですくい、刻んだ青菜とともにジャーに詰める。ちゃんと茶碗蒸し。しかも、最初からくずれてる前提だから気楽。あとはおにぎりと漬けもの、弁当箱に余裕があれば、小さなおかずなどで充分。食感は卵と出汁の割合で変わってくるので、うちのお弁当ベストを探っているところ。いずれどこかでレシピをご紹介できれば。ちなみにスープジャーを使いはじめるまで知らなかったが、温かく使う前には熱湯で温めておき、冷たく使うときは氷入れて冷やしておくといいらしい。YouTubeやTikTokをざっと検索するといろんなヒントがある。ジャー使いの先人たちが、荒れ地を踏み固めて作ったスープジャーの知恵ストリートを、楽しみつつ歩いていこうと思う。7月末に、これまでご愛読いただいた連載「塾前じゃないごはん」の書籍を刊行予定です。それまで月に1回、JK娘ライフに伴うエッセイをお届けします。どうぞよろしく。 今回のJKごはん 「アスパラガスのゆで卵ソース」 アスパラの季節到来。ゆでるときの大事なコツはただひとつ。むいたアスパラの皮もいっしょにゆでましょう。皮こそいい香りとうまみがたくさん出てくるのです。ゆで汁はアスパラのうまみがたっぷりですから、たとえばアスパラでリゾットを作るときなどにも大活躍します。だからどうか私を捨てないでー(皮のつぶやき)。 グリーンアスパラガス6本は下半分の皮をむく。フライパンに湯をたっぷり沸かし、塩を加えてオリーブオイルを数滴(しっとりつやが出る)、皮を入れてからアスパラを下の堅い部分からゆっくり入れる。ゆで時間はアスパラの太さや水分にもよるので、必ず1本引き上げてさわって、確かめて。しんがなくなったらざるに上げ、自然にさます。その間にソース作り。卵2個は堅めにゆでて刻み、ボールに入れてマヨネーズ小さじ2、白ワインビネガー小さじ2、塩、こしょうを加えてよく混ぜる。塩は強めに感じるくらいでちょうどいい。皿にゆでたアスパラを盛り、オリーブオイルをかるく回しかけ、卵ソースを添えて完成。好みで黒こしょうをひいたりイタリアンパセリなどを散らしたりしても。さわやかな白なんかが合う、初夏のけしからんおかずつまみです。 馬田草織文筆家・編集者・ポルトガル料理研究家。出版社で雑誌編集を経て独立。ポルトガルの食や文化に魅了され、家庭料理からレストラン、ワイナリーなど幅広く取材している。ポルトガル料理とワインを楽しむ教室「ポルトガル食堂」を主宰。著書に『ムイト・ボン!ポルトガルを食べる旅』(産業編集センター)、『ホルモン大航海時代』(TAC出版)などがある。一児の母。インスタグラム @badasaori