みなさんこんにちは。『オレンジページ』本誌編集長の松田紀子です。
本連載は、偶然にも同級生かつ同星座(蟹座)である『オレンジページnet』の新編集長、原田直美さんと交互連載でお送りしております。
第10回:「知らないうちに、おまわりさんが家の中に入っていたハナシ。オレンジページnet編集長・原田直美」はこちら
台湾の公園に埋め込まれてあったプレート。「巨」ってのがいい。
壁の厚さって、大事。
都内はどんどん春めいて、街を歩いていると、ご両親と一緒に物件を探しに来た、という雰囲気の学生さんをよく見かけるようになりました。
進学や就職で初めての一人暮らしを迎える方も多いことでしょう。
私の生まれて初めての一人暮らしは、大学2年生の時でした(1年生の際は寮に入っていたので)。とはいえ、友人たちと毎日集まっては楽しく過ごしていたので、あまり寂しい想いをすることもなく。
どちらかと言えば社会人になってから始めた一人暮らしのほうが印象深いことが多かった。就職して初めて選んだアパートは、「コーポ」という名のプレハブ小屋のような小さい物件。横幅45センチくらいのかろうじて「キッチン」と呼べるようなものがついており、もちろんトイレとお風呂は一緒。
自分のお給料でギリギリ払える限界物件です。隣は近くの専門学校に通う男子学生で、ご挨拶にクッキーを持っていったら柔和そうな人柄でほっこりしたものの、まあ、この家からの騒音がすごかった!!
ある時は仲間を大勢呼んで、夜通しゲームに興じて絶叫。ある時は朝から彼女といちゃつく声。なにせプレハブ小屋なので、壁がうっすいんですよ。
この男子学生宅の目覚ましアラームで起こされたときは心底切なかった…。
そんな物件に住み始めて2か月ほど経った頃でしょうか。
深夜、疲れ果てた体で帰宅すると、真っ暗な部屋に、一筋縦に走る光が照らされているではありませんか。
「え?何?どこからの光??」と、恐る恐るその光源をたどってみると、
お隣との壁に1ミリほどの隙間があり(そんなことある??)、学生の部屋の光がうちに漏れてきているのでした。これはもう、お隣というよりも、ふすま1枚向こう側。壁というよりベニヤ板。私の脳内には子供のころ深夜映画で見た『のぞき魔!おそるべき十代』という超マイナー映画のワンシーンが想起され、絶望まっしぐらに。
その瞬間、なけなしの貯金をはたいて引っ越すことを決意しました。
以来、いろんな物件に住んできましたが、部屋を選ぶ際はとにかく「壁の厚さ」を基準にしています。多少の音漏れならまだしも、隣の部屋の明かりが漏れたり、アラームで起きたりしたくはないので…。
たった今、お部屋探しをしている方も多いと思いますが、ぜひ「壁の厚さ」も考慮してみてね!
…ということでこのお話が公開される頃には桜も満開、卒業シーズンも真っ只中でしょう。
直美ちゃんは卒業式にまつわる思い出、なにかありますか??
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