
2016.06.01
「お父さん、今日も遅くまでお疲れさまでした」
そんな会話が聞こえてくる、22:00のダイニング。息子のAくんが眠りにつくころ、お父さんはやっと帰宅。夕食に手をつけ始めます。お母さんが冷蔵庫から出したのは、大皿に盛ったお刺し身。
「お刺し身が大好きなAくんがもりもり食べちゃって、少ししか残っていないの。ごめんなさいね」
「Aは食べ盛りだからな。あー今日も疲れた疲れた。いただきまーす」
うんうん、あるある。
そう思った、そこのあなた! このお父さんが食中毒の危険にさらされていることに、お気づきでしょうか!?
事態を整理すると、、、さかのぼること数時間前。息子のAくんが刺し身を食べ……、
お母さんがいったんそれを冷蔵庫に。
お父さんが帰ってきたら、もう一度冷蔵庫から出すという流れ。
そのつどおかずを冷蔵庫に入れれば大丈夫と思いがちですが、それはキケン!
公益社団法人日本食品衛生協会によると、食中毒の原因となる菌の多くは、冷蔵庫の中では活動を休んでいるだけ。常温に出したとたんに活発になり、急に増殖し始めるのだとか。つまり、合間合間に冷蔵庫に入れても安心はできず、常温においた数分、数十分で菌は増殖しているということ!
実際に、おかずを常温におく⇔冷蔵庫に入れる、と繰り返すたびに少しずつ菌が増え、最後に食べた人が食中毒になるというケースもあるのだそう。
生の魚介類にひそむ、食中毒の原因となる細菌「腸炎ビブリオ」は5℃以上で増殖を始めるので、特に気温が上がる梅雨以降は要注意です!
盛り合わせや大皿料理は見栄えがよく、食器が少なくてすむので楽ですが、家族の帰りの時間が違う「時間差食事」一家は、あらかじめ一人盛りにするのがベター。食事の直前まで冷蔵庫保存するようにしましょう。
「そのつど冷蔵庫から出していた!」というかたは、じめじめ、むしむしが加速するこれからに向けて今すぐ一人盛りにシフトチェンジ! 食中毒を防いでくださいね。
菌よ、さらば!
監修/公益社団法人日本食品衛生協会、撮影/飯貝拓司、イラスト/千野エー、文/編集部・渥美
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