
2019.05.23
こんにちは。ふだんは雑誌『オレンジページ』で料理ページを担当している編集マツコです。
マツコはトイレが近いので、映画を観ている最中にトイレに行きたくなったらどうしようと思い、上映前にいつも2回は行ってしまいます。
さて、去りし今年のGWは10連休でした。ご自分や家族の実家に行かれた方もいるのではないでしょうか。
皆さんの実家、または今住んでいる場所は都会ですか、田舎ですか? もしくはその中間?
というのも、それによって今回紹介する作品の感じ方が変わるかなと思った次第です。
「誰もがそれを知っている」なんだかすごいタイトルですよね。
これはどこの国にでもある小さな村の、濃密で純粋な人間関係を描いた映画です。
【どこの国でも起こりうる痛切な家族のドラマ】
主人公のラウラ(ペネロペ・クルス)は妹の結婚式のため、アルゼンチンから故郷・スペインの小さな村に帰郷します。
空港まで迎えに来た妹の車に乗り、ティーンエイジャーの娘イレーネ(カルラ・カンプラ)、まだ3~4歳の小さな息子ディエゴとともに実家に向かうラウラ。
夫のアレハンドロ(リカルド・ダリン)はどうやら都合がつかなかったらしく、アルゼンチンでお留守番です。
実家にたどり着くやいなや、何人もの家族が出てきて久々の再会を喜び合います。ラウラの父親、姉妹、義兄弟、その子ども、そして幼馴染のパコ(ハビエル・バルデム)。
どうしよう、冒頭でいきなり登場人物が多すぎて誰が誰だか分かりません。
マツコは外国人の顔をすぐに覚えられないのです。
それは僕の問題なので置いておいて、冒頭シーンの幸せオーラがハンパない。家族の1人が結婚、久々に集まる親族一同、そしてラウラ役のペネロペ・クルスの美しいことといったら……。
結婚式はいかにもスペインの、かつ地方を感じさせる気取らないスタイル。親戚も友人も勢揃いしてみんなで歌い、踊りまるく中、事件は起こります。
ラウラの娘、イレーネが誘拐されるのです。ラウラの携帯には、「娘を誘拐した。警察に知らせたら殺す」というメッセージが。
結婚式の最中だったので、部外者が入り込むチャンスはほぼなかったはず。式の様子をビデオカメラで撮影してくれていた、更生施設の若者たちが怪しいとにらむも証拠は見つかりません。
となると身内の犯行……?
そうこうするうちに、犯人から身代金30万ユーロを要求する新たなメールが届きます。
ラウラの夫・アレハンドロ不在の中、解決策を模索するのは幼馴染のパコ。
ラウラとパコは元恋人どうしで、狭い村ゆえ誰もがそれを知っているのです。
もちろん犯人は気になるところなのですが、謎解きはこの映画のメインではありません。
というか、色々考えても予想しようがないです。
後半にきちんと真相は分かるものの、「あ、そうなんだ」という感じ。
むしろ味わうべくは、追い詰められた状況で露わになる負の感情や、それぞれの人間関係が変化していく様子です。
犯人捜しの話をしているはずが、いつの間にか互いを責め合い、過去の話なども蒸し返され、狭い村社会の暗部が一気に露出。パコも土地売買の件で一家と確執があるようです。
ようやっとラウラの夫・アレハンドロがアルゼンチンから駆けつけるのですが、全く頼りになりません。
「神が絶対に救ってくれる」とか言ってるんですよ。このコーナーが始まって間もないですが、早くも2人目のダメンズが登場か(1人目は『コレット』をご参照ください)。
冒頭の幸せオーラはすっかり消え、いつの間にかペネロペ・クルスの表情が別人のように疲れています。
面白いのはここから。アレハンドロは失業中の身ゆえ、ラウラ夫婦に身代金を用意する手立てはありません。何としても娘を取り戻したいラウラはここで賭けに出ます。
今まで隠してきたある秘密を打ち明け、パコに身代金を工面してもらおうと企てるのです。
ネタバレ注意ですが、この秘密は家族の関係を根底から覆してしまいかねないレベルのもの。
このラウラの行動が正しい事なのかどうかは誰にも判断できないことで、共感する人も理解できない人もいるでしょう。
複数の人物が物語の中で入り交じり、それぞれのキャラクターに対する印象がストーリーの展開とともに変化する。それがこの映画の面白さです。
事件は解決しますが、ラウラの過去が明るみになった今、家族は今まで通りの関係でいられるのか。
実はもう1人、別のメンバーの秘密も知られるところとなり、一家に大きな宿題が残るというほろ苦いラストでした。皆さんはどの人物に一番共感するでしょうか?
余談ですが、ラウラの義兄フェルナンデスが船越英一郎さんに見えた……!
「ベルばら」で知られる漫画家の池田理代子さんの応援イラストがフライヤーに使われています!
「誰もがそれを知っている」
6月1日(土) Bunkamura ル・シネマ、 ヒューマントラストシネマ有楽町 ほか全国順次公開
配給:ロングライド
© 2018 MEMENTO FILMS PRODUCTION - MORENA FILMS SL - LUCKY RED - FRANCE 3 CINÉMA - UNTITLED FILMS A.I.E.
【編集マツコの 週末には、映画を。】
年間150本以上を観賞する映画好きの料理編集者が、おすすめの映画を毎週1本紹介します。
文・撮影(フライヤーのみ)/編集部・小松正和
次回5/31(金)は「メモリーズ・オブ・サマー」です。お楽しみに!
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