ノスタルジックな時間が流れる、東京・国分寺「お鷹の道」。
ガラス張りの高層ビル。一年中変わらない風景。足早に歩く人達。
そんないつも通りの風景に少し息が詰まったらこんな場所に行きたくなる、それが東京・国分寺にある「お鷹の道」です。

「お鷹の道」は、派手な観光地ではありませんが、「東京にもこんなに静かで水がきれいな場所があるんだ」と驚くような場所です。
江戸時代、この一帯は尾張徳川家の「御鷹場(おたかば)」、つまり鷹狩りを行う場所でした。その歴史にちなんで「お鷹の道」と名付けられた、とのことです。
「国分寺崖線」、通称「はけ」は、武蔵野台地と低地の境目にできた崖のことで、崖からは豊富な地下水が湧き出します。

お鷹の道はその湧水を利用して整備された散策路で、そのシンボルともいえる「真姿の池」には、平安時代の歌人がこの湧水によって病が癒え、本来の美しい姿(真姿)を取り戻したという言い伝えがあります。
「心身ともに健康でいられますように。」
小さな祈りを捧げた後に、今までどのくらいの人がここで自分の、又は誰かの、健康を祈ったのだろうと思いを馳せてみる。
のぞいた池の美しさ、ちゃんと刈り取られた植木も、大切に管理されているのだな、と感じました。

道すがら、たくさんの野菜の直売所がありました。
ちらりとのぞいて、野菜を選ぶ人たちの背中を眺める。
みんなよく喋る、よく笑う。知っている人なのか、と思えばそうでもないらしい。
「はて、昭和に戻ったか。」
そんな錯覚を覚えるほど、人と人との距離が近い。
ここはそんなノスタルジックな風景にたくさん出会える場所でもあります。

そうして心地よい林の中を歩いていくと、ちょうどお腹が空いた頃に「史跡の駅 おたカフェ」さんがあります。

明るくすっきりとした木のぬくもりを感じる店内。気取らずにゆっくり過ごせる雰囲気が印象的で、お鷹の道を歩いた余韻を楽しむには最高の場所です。

トイレだけの利用でも大丈夫とのこと。
でも、それだけではもったいない。
お料理はどれも丁寧に作られていて、とてもおいしい。
野菜がたくさん入ったスープカレーはスパイシーだけど、食べるほどに、じんわりとおいしさが染みわたる素朴な味わい。


年配のご夫婦がいらっしゃいました。ただ隣に座って同じ景色を眺めているその姿が、とても自然で穏やかに見えました。
そして、最近喧嘩ばかりの両親のことを思い出し、胸の奥に小さな苦みが広がり、思わず少し顔をしかめた私でした。

おいしい料理や素晴らしい史跡だけではなく、そんないくつもの何気ない光景が、ぽつりぽつりと心に残る。そんな1日。
季節の花が咲き、湧水が心地よい音を立てて流れる。
のんびりと歩いたり、立ち止まっても、誰にも迷惑をかけない場所。
国分寺の「お鷹の道」は、まさにそんな場所だと感じました。
「またここに来たい。」
そう思える場所が、東京に残っていることが、なんだかうれしかった。

お鷹の道・真姿の池湧水群
所在地
〒185-0023 東京都国分寺市東元町3丁目・西元町1丁目
JR中央線、西武国分寺線・多摩湖線 「国分寺駅南口」より徒歩約15分、
JR中央線・武蔵野線 「西国分寺駅南口」より徒歩約12分
史跡の駅 おたカフェ
住所
東京都 国分寺市西元町1-13-6
JR中央線、西武国分寺線・多摩湖線 「国分寺駅南口」より徒歩約20分、
JR中央線・武蔵野線 「西国分寺駅南口」より徒歩約15分
営業時間 9:00~17:00 (月曜定休、祝日の場合は翌日)







