2026年8月から高額療養費制度が変更へ!FPが教える病気やケガの前に知るべき重要ポイント
「手術や入院で、医療費が高額になったらどうなる?」――そんな不安に備えて知っておきたいのが、医療費の自己負担を一定額に抑える〈高額療養費制度〉です。
実は、2026年8月から、この制度が段階的に見直される予定。いざというとき慌てないためにも、まずは知っておきたい3つの基本制度を、ファイナンシャルプランナー・井戸美枝さんに教えていただきました。
※2026年4月9日時点の情報です。
高額療養費制度

【入院や手術などで高額の医療費がかかった場合の制度】
1カ月の医療費の自己負担が 一定の額を超えた場合、その超過分が払い戻される制度。1カ月とは、各月の1日~月末までのこと。医療費の額は、医療を受けた人ごと、医療機関ごと (外来と入院は別、医科と歯科は別)に計算され、それぞれで合計が自己負担額を超えた場合に給付の対象になります。
対象となる人
公的医療保険(健康保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度など)に加入しているすべての人。
申請先
会社員は勤務先を通して加入している健康保険(健康保険組合・協会けんぽ)、国民健康保険加入者は市区町村
※マイナ保険証(マイナンバーカード)で受診の場合、窓口で自動精算されるので申請は不要
給付額
年齢や所得によって異なりますが、たとえば年収約370万~770万円の人の場合、1カ月の自己負担の上限は約8万~9万円。これを超えた分が戻ってきます。
手続きのポイント
● 月ごとの計算のため、月をまたぐ入院などは合算できず、負担が増える場合も。
● 差額ベッド代や食事代など、保険適用外の費用は対象外。
高額療養費制度は、2026年8月から段階的に見直しへ
おもな変更点は、標準的な所得層を中心とした月額上限の引き上げです。さらに2027年8月には、所得区分が細分化され、収入に応じたより公平な負担が求められる見通し。一方で、長期療養者の負担を抑えるため、年間の自己負担額に上限を設ける「年間上限」が新たに導入されます。
医療費控除

【年間の医療費が10万円を超えた場合の制度】
1月~12月の1年間に支払った医療費が一定額(原則10万円)を超えた場合、所得から差し引くことで、所得税の還付や翌年の住民税の軽減が受けられる制度。
対象となる人
本人、および生計を一にする家族(配偶者や子ども、親など)の医療費を支払った人。
申請先
税務署(確定申告で申請)
※スマホやPCからマイナンバーカードを使って申請可能
控除額
支払った医療費の総額から「保険金などの補てん額※1」と「10万円※2」を引いた額が控除対象となり、所得税率に応じて税金が軽減されます。
※1 生命保険の入院給付金、高額療養費、出産育児一時金など
※2 総所得が200万円未満の人は「所得の5%」
手続きのポイント
● 別居していても仕送りなどで生計をともにしていれば合算OK。家族のなかで所得が高い人が申告すると節税効果が高い。
● 通院の交通費は公共交通機関のみ対象(記録が必要)。自家用車のガソリン代や駐車場代は対象外。
● 過去5年分までさかのぼって申告できる。
セルフメディケーション税制

【市販薬を年間1万2000円以上購入した場合の制度】
ドラッグストアなどで購入した対象の市販薬(OTC医薬品)の費用が 一定額を超えた場合、所得控除が受けられる制度。
対象となる人
健康診断や予防接種など、一定の健康維持・増進の取り組みを行っている人。
申請先
税務署(確定申告で申請)
※スマホやPCからマイナンバーカードを使って申請可能
控除額
年間の対象医薬品の購入額が1万2000円を超えた場合、その超過分(上限8万8000円)が所得控除の対象に。
手続きのポイント
● 医療費控除とは併用不可。
● 対象商品はパッケージの共通マークが目印。
● 適用条件の健康診断などは、申告する本人のみでOK。
● 過去 5年分までさかのぼって申告できる。
制度は少し難しく感じますが、いざというときの心強い支えになります。自分に関係する内容を、この機会に確認してみてくださいね。
教えてくれたのは……井戸美枝さん

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、社会保険労務士。社会保障審議会企業年金・個人年金部会委員を歴任、国民年金基金連合会理事。講演やメディアを通じて身近な経済問題、年金・社会保障問題について解説。著書に『 私の老後のお金大全 』(日経BP)など多数。
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監修/井戸美枝 イラスト/沼田光太郎 取材・原文/太田順子 文/池田なるみ







