52歳男性。定年まで乗り切りたいが、リストラや倒産が心配です/浜田敬子さんが回答
だからこそ、考えだしたら不安でたまらない、家族や自分の老後の生活。
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今回のお悩み/お金
定年まで会社が存続するか不安。何か準備したほうがいい?


新卒で今の会社に入社し、勤続30年になります。社風もおだやかで居心地はいいのですが、このところ事業の縮小や営業所の統合が続いています。今後、自分がリストラの対象になってしまったり、業績不振が続いて倒産という最悪の事態も考えられます。できれば今の会社で定年まで乗り切りたいのですが、正直、不安を感じています。いざというときのために何か準備をしておいたほうがいいのでしょうか。
(52歳・男性)
浜田敬子さんの回答
「乗り切る」という発想ではなく、「70歳まで働きつづける」ために何をすべきかを考えましょう 。

浜田敬子さん
厳しい言い方をすると、「定年まで乗り切る」という発想はやめたほうがいいと思います。人生100年時代の今、60歳以降も働く人※1は増えつづけています。定年延長や年金受給年齢の引き上げもあり、「70歳まで働きつづけるのが当たり前」の時代はすぐそこまで来ているのです。会社の規模や経営状態にかかわらず、これからは「60歳以降も求められる人材でいられるか」という視点を持つことが大切。
ではどうしたらいいか? それは、「今すぐ何か新しいことに挑戦すること」です。転職を考えているなら、フットワークの軽いうちに動いたほうがいいですし、同じ会社でも部署異動したり、未経験の業務に取り組むなどして、視野とスキルを広げるようにしてください。デジタル分野の学び直し=リスキリング※2も有効です。
人手不足にあえぐ中小企業やベンチャー企業は積極的にシニアを雇用しています。そこで重宝されるのは「スキルの幅が広い人」。少数精鋭の組織では幅広い業務をこなせる人が求められています。また、介護や保育、物流といった暮らしの根底を支える業界も人手不足が深刻です。そういった社会貢献度の高い職種への転身も、選択肢のひとつとしてぜひ考えてみてください。
何より、倒産やリストラの心配をしながら働いていても楽しくないですよね。新しいことを始めると、刺激があってワクワクしますし、若い人たちにもいい影響を与えると思いますよ。
※1 60歳定年企業における継続雇用状況
厚生労働省がまとめた令和5年「高年齢者雇用状況等報告」によると、過去1年間に60歳定年企業で定年を迎えた40万4967人のうち、継続雇用された人は87.4%、継続雇用を希望したが継続雇用されなかった人は0.1%だった。
※2 リスキリング(学び直し)
経済産業省によると、「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義されている。「教育訓練給付金」をはじめ、新設された「教育訓練休暇給付金」など、政府による支援制度も拡充中。
ジャーナリスト
1966 年、山口県生まれ。朝日新聞社に入社後、『週刊朝日』編集部を経て、『AERA』編集長に就任。前「Business Insider Japan」統括編集長。「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)、「サンデーモーニング」(TBS系)のコメンテーターを務める。近著は『男性中心企業の終焉 』(文春新書)。
取材・文/太田順子 イラスト/松元まり子













