
【ほたるいか】は漬け込みとバターソテー! 寿司屋直伝「ボイルほたるいか」のおいしい食べ方はこれ

この連載では、寿司屋ならではのテクニックを交えながら、家庭で作りやすいレシピをご紹介します。
第1回『さば缶で作る超簡単しめ鯖』のレシピはこちら>>
第2回は、スーパーでもおなじみ、〈ボイルほたるいか〉を使った『ほたるいかの漬け込み』!
市販のボイルされたほたるいかに、あつあつの煮汁をかけるだけの簡単レシピです。
今回はアレンジレシピもご紹介しちゃいます!

【其の一】
ほたるいかはていねいに下ごしらえすべし! 味の差が歴然
ほたるいかの目、くちばし、軟骨を一つ一つ取るのがおいしく食べるポイント! このひと手間でお店の味にぐっと近づきます。細かい作業がちょっと大変ですが、慣れると意外と楽しい。旬の食材に触れて料理をするのもいいものですよ♪
【其の二】
寿司屋秘伝の仕込み「漬け込み」を活用すべし!
寿司屋の仕込みに、魚介を調味料で漬け込む「漬け込み」という手法があります。
「漬け」とありますが、いわゆる「まぐろのづけ」などともちょっと違い、煮ものに近いような味つけ!
松寿司では帆立てやしゃこなどの仕込みに使います。
このやり方なら、ほたるいかが煮くずれせず、ふっくらおいしい煮ものができるんですよ!
『ほたるいかの漬け込み』のレシピ
材料(作りやすい分量)
ボイルほたるいか……200g
〈漬け汁〉
砂糖……大さじ2
しょうゆ……大さじ2
酒……大さじ2
水……1カップ
ほたるいかの下処理
ほたるいかは目、くちばし、軟骨を、あれば骨抜き(またはピンセット)で取る。
【目】両側にある白い球体をつまんで取り外します。
【くちばし】裏返して足の間にある黒いかたまりをつまみ、引っ張ります。指で軽く押し出すようにするとやりやすい。
【軟骨】最後に胴(三角の頭のように見える部分)の中に入っている軟骨を取ります。胴の下の境目から軟骨を探し、骨抜きで引き抜いて。
きれいにできるとすっきり!
作り方
下ごしらえをしたほたるいかは、耐熱の密閉容器に入れる。小鍋に漬け汁の材料を入れてひと煮立ちさせる。
熱いうちに、ほたるいかにかける。
粗熱が取れたら器に盛りつけて完成!
保存期間
密閉容器に入れ、冷蔵で2日保存可能。
ぷりぷりの〈ほたるいか〉に、甘辛い漬け汁がしみ込んで最高! お酒のおつまみにもってこいのお味です。
煮るよりも簡単なのに、ふっくらと仕上がるのがキモなんです。
もちろん、そのまま食べてもおいしいのですが、アレンジするとこれまた絶品!
『ほたるいかのバターソテー』のレシピ
材料(2人分)
ほたるいかの漬け込み(上記参照・かるく漬け汁をきる)……100g
クレソン……適宜
バター……5g
粗びき黒こしょう……適宜
作り方
クレソンは根元の堅い部分を切って、食べやすく切る。小さめのフライパンにバターを溶かしたら……、
「ほたるいかの漬け込み」を加えてバターをさっとからめるように炒める。
器に盛り、クレソンを添えて、粗びき黒こしょうをかけたら……、あっという間にでき上がり!
甘辛のほたるいかに濃厚なバターがからんで、こくのある味わいに! ほろ苦いクレソンとピリッと辛い黒こしょうがほどよいアクセントです。
ほかにも、漬け汁と一緒に炊き込みご飯にしたり、卵と炒め合わせてもうまい!
いつものほたるいかがワンランク上のお味になる2品。ぜひ作ってみてください♪
谷中松寿司の旬ネタ
ここでは、松寿司で扱う旬のネタの話を。
今回は「紫うに」!
前回は私のいちばん好きな寿司ネタ「まぐろ」をご紹介しましたが、それと並ぶくらい大好きです。
「うに」は基本的には仕込みはなく、仕入れたものをそのままにぎってお出しします。なので素材のポテンシャルが特に大事! もちろんどのネタも大事なんですけどね。
「紫うに」は粒がしっかりしていてこくのある濃厚な味が特徴。
しかも今回は5列並びなので、6列のものより粒が大きくなってめちゃくちゃ濃厚なんですよ。
そのぶん高級になりますが、納得できない「うに」ならお出ししないほうがいい! そんな気持ちで仕入れをしています。
次回の更新は5/12(金)。旬の〈あさり〉を使ったレシピを紹介します!
野本やすゆき
料理家、谷中で80年続く「谷中松寿司」三代目店主。
大学卒業後、調理師学校に通い、調理師免許を取得。家業の寿司店で修業するかたわら、フードコーディネータースクールに入校。卒業後、同校講師を経て独立。
料理家、寿司屋の二刀流で料理雑誌へのレシピ提供、テレビ番組や広告のフードコーディネートなど、食にかかわるジャンルで幅広く活躍中。
YouTube:野本やすゆきチャンネル
Instagram:nomotobase
谷中松寿司:yanakamatsusushi

写真・文/野本やすゆき