
【自分へのご褒美や手土産に】甲斐みのりさんが選ぶ100年名品6種。レトロパッケージ

その土地ならではの素材と風土を生かし、100年以上にわたり受け継がれてきた名品たち。
そんな長く愛されてきた品々のなかから、全国のお菓子に造詣が深いエッセイスト・甲斐みのりさんが選んだおすすめ6品を紹介します。
自分へのごほうびや手土産にも。老舗ならではのレトロかわいいパッケージも注目です!
甲斐みのりさんの100年銘品6選
開運堂『これはうまい』|創業104年

1221円(税込み)/開運堂
民藝の街・松本らしさを感じられる人気名菓。北海道・十勝産小豆の粒あんと香ばしい鬼くるみが好相性です。

大正時代に「くるみ饅頭」として発売したところ、「これはうまい」と評判になり、そのまま商品名になった遊び心ある一品です。ねっとりしたあんこも美味ですが、いちばんのお気に入りは包装紙に描かれた染色家・柚木沙弥郎さんのイラスト。温かみのある色彩とモダンなタッチが、とても素敵です。

甲斐みのりさん
奈良屋本店『雪たる満・都鳥』|発売139年

1300円/奈良屋本店
1886(明治19)年、岐阜に誕生。さっくりとして口溶けがよく、コーヒーにも合います。

だるまと小鳥の形をした、親指ほどの小さなメレンゲ菓子。手絞りで作られているため、形や表情が一つ一つ異なるのですが、どれも愛嬌があって本当にかわいらしい。伝統あるお菓子ながら、シンプルで飾らないデザインが、どことなく新しさを感じさせてくれます。趣のある曲げわっぱに入っているので、かしこまった席の手土産にも。

甲斐みのりさん
二條若狭屋『不老泉』|発売108年

993円(税込み)/二條若狭屋
「雪(松の絵柄)」は葛湯、「月(うさぎの絵柄)」は抹茶風味、「花」はしるこ風味。「月」と「花」には千鳥のあられが入っています。

1917(大正6)年の創業時から受け継がれるやさしい甘さの葛湯。京都の老舗では、包装紙や箱に土地に縁のある日本画家の絵柄を使うことが多いそう。「不老泉」の小箱にも、版画家・徳力富吉郎さんの雪月花が。〈月〉と〈花〉は、お湯を注ぐと雪を模した白いあられが浮き上がる様子が、とてもおしゃれです。

甲斐みのりさん
木村家『元祖酒種 あんぱん詰合せ』|発売151年

2600円(税込み)/木村家
桜・小倉・けし・白・うぐいすの5種類の酒種あんぱんの詰め合わせ。伝統の酒種生地はほんのり甘く、やわらかな口当たりが楽しめます。

1874(明治7)年に誕生したおなじみのあんぱん。酒まんじゅうをヒントに生まれた酒種生地は、今もそのままの製法が受け継がれているそう。銀座の本店では、箱入りを頼むと江戸時代の銀座の街並みを描いた包装紙をつけてくれます。意外に知られていないので、手土産にすると喜ばれますよ。

甲斐みのりさん
石村萬盛堂『鶴乃子』|発売115年

1890円(税込み)/石村萬盛堂
福岡土産の定番のひとつ。しっとりした柔らかい食感が特徴。卵の形をした丸箱も当時のままです。

1905(明治38)年の創業から間もなく、ヨーロッパから伝わったばかりのマシュマロの技法を応用して誕生。真っ白なマシュマロの中に鮮やかな黄身あんが入ったモダンなお菓子。「鶏卵素麺」の製造過程で余ってしまう卵白を活用するために考案されたそうで、フードロスの発想が生かされていることに驚きます。

甲斐みのりさん
バナナ饅頭『米倉商店・レストランよねくら』|発売120年

620円(税込み)/米倉商店・レストランよねくら
バナナ形のケーキ生地の中にバナナ風味の白あんが。北海道・池田町にある洋食店「レストランよねくら」では焼きたても味わえます。

明治時代末期の1905年に考案されたお菓子。当時、北海道では高級で手に届きにくかった南国のバナナを、安く手軽に味わってもらおうという思いがこめられています。じつは本物のバナナは使われていないのですが、バナナの香りがふんわり立ち上る昔ながらの素朴な味に笑みがこぼれます。

甲斐みのりさん
味わいはもちろん、レトロなパッケージの愛らしさにも心がときめくお菓子たち。ぜひ、気になる名品を手に取ってみてくださいね。
教えてくれたのは……
甲斐みのりさん
文筆家。旅、散歩、お菓子、地元パン、手土産、建築、雑貨などを題材に、書籍や雑誌、webなどに寄稿。地方自治体の観光パンフレットの制作や講演会にも携わっている。著書に『旅のたのしみ』(ミルブックス)など多数。
監修/甲斐みのり 撮影/三村健二 スタイリング/河野亜紀 原文/池田 泉 文/池田なるみ