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元タカラジェンヌ 食と美のトビラ

元宝塚歌劇団 宙組組長・寿つかささん「いちばん好きな寿司ネタは、父が作った漬けまぐろです」【食のトビラ】

2023.08.18

華やかで気品ある夢のようなキラキラのステージ、宝塚歌劇。約3時間のステージを彩るタカラジェンヌたちは清く正しく美しく、そして心身ともにパワフル! その生き生きとした魅力の源である「食」と「美」のこだわりを、宝塚歌劇OGのかたがたに現役時代を振り返りながら教えていただく連載です。


34年在籍した宝塚歌劇団を卒業。「自分が受け取ったものを次世代に受け継ぎたくて」


今回ご登場いただくのは、宙組(そらぐみ)発足時から在籍し、宙組の組長を15年も務め上げた寿つかさ(ことぶき・つかさ)さん。寿さんが退団を発表されたときは、「えっ、すっしぃさん(寿さんの愛称)が!?」と驚かれたファンのかたは少なくないはず。

まず宝塚歌劇団を、ご自身の誕生日である6月11日に退団したばかりの寿さんに、退団を決めた心境をうかがいました。

よく『鐘が鳴った』とおっしゃるかたもいますが私はそういうことはなく、長い時間をかけて考えました。タカラヅカは卒業というものがある劇団ですが、私は組長という管理職でしたので、自分の中でなんとなく“卒業”を横に置きながら少しずつ少しずつ心を傾けていった感じです。

宝塚歌劇の“受け継いでいく”という伝統はとても素敵なことだと思っていて、長く在団していろいろ経験させていただいたことを、みんなに受け継ぐ時期なのかなというタイミングがあのときだったんです。コロナ禍で公演が止まってしまった期間を経て考えがまとまってきましたし、私がしてきた多くの素晴らしい経験を宙組のメンバーにも味わってほしいという思いがあり、充実した気持ちと感謝の念と……とても前向きな気持ちを胸に『カジノ・ロワイヤル ~我が名はボンド~』で卒業を決めました」

寿さんは、ご実家がお寿司屋さんを営んでいたことから、「寿つかさ」という芸名にしたという話はファンの間でも有名です。そんな寿さんに、お寿司のことも交えながら「食」のこだわりをうかがいました。

年齢を重ねたからこそわかる経験をもとに、野菜を中心にしたバランスのいい食事を重視


――大きな質問なのですが、寿さんにとって「食べること」とは何を意味しますか?


美と健康の源です。自分の体の状態によって、そのときに食べたいと欲するものや体にしみわたるほどおいしく感じるものが違いますよね。こんな時期にあれを食べて体調が悪くなったから避けようとか、ものすごく汗をかいて食べることすらしんどいようなときに口にしたほたるいかの沖漬けの塩分が涙が出るほどおいしかったとか(笑)。長く生きてきての経験から知ることが多いです。

――今日、いっしょに撮らせていただいたのはサラダです。野菜、とくにクレソンとパクチーがお好きとうかがいましたが、エピソードがあれば教えてください。

実家は寿司屋なのですが、姉妹※そろって野菜が好きでした。父は家族にもおいしい魚を食べさせたいと思って用意しているのに、先に野菜サラダばっかり食べておなかがいっぱいになり、魚までたどりつけないとか(笑)。子どもは「野菜を食べなさい」と言われることが多いと思うのですが、うちは「野菜ばっかり食べて……」とよくあきれられていましたね。

※妹は元宝塚歌劇団花組男役の達つかささん。

小さいころから苦みのある野菜が好きだったんです。クレソン、ピーマンなど。小学生のときは、学校から帰ってきてピーマンを洗ってそのままかじるという。そのときは気づかなかったけれど、もしかしたらピーマンの何かの成分を体が欲していたのかもしれません。ところが食べすぎて、たぶん一生分の摂取量を超えてしまい、じつは今はあまり食べていないんです(笑)。

クレソンは変わらずずっと好きです。私の中ではメインの食材。だから何束も買ってたくさん食べています。タカラヅカに入ってから知り合いのかたに連れていっていただいたお店で、クレソンとパクチーとブラウンマッシュルームのサラダをいただいたことがあり、「これはデトックスサラダだよ」とうかがったんですね。「自分がただ好きで食べていた食材にそんな効果があったのか」と、情報を知って食べるとさらに興味が増しますよね。心も体も喜んで。
Sussy’s Favorite
見つけたら何束も買ってしまうというクレソン。「見ているだけでおいしそうです」(寿さん)
――たしかに体がさわやかになる感じがしますね。クレソンやパクチーのサラダはどんな味つけが好きですか?

ドレッシングで味変を楽しみます。アンチョビ風味のバーニャカウダーソースや、チョレギドレッシングぽいもの、オリーブオイルと塩など、そのときの気分で。食べたときに「おいしーーー!」と喜びに満ちあふれるというか、幸福感が押し寄せてきます。ここ何年かハマっているサラダです。

――お話をうかがうと食べたくてたまらなくなります(笑)。ほかの野菜もお好きなんですか?

だいたい好きなんですけど、デトックスサラダのように何かエピソードがあるとより興味を持ちますね。たとえば「のどには玉ねぎの繊維がいいよ」という話を聞いたら、ちょっとのどが疲れているときに玉ねぎを大量に食べてしまうとか(笑)。野菜もそれぞれ持っている栄養素が違うので、1週間の中でいろいろな野菜を組み合わせてバランスをとる食べ方をしています。「この前はこれを食べたから今度は別のにしておこう」とか「これ食べていないから今日はこれを取り入れよう」とか。鍋にするとバランスよく食べられていいですね。

じつは音楽学校の予科生(1年目)のころ、クッキーが大好きで「クッキーモンスター」と呼ばれていたくらい恐ろしいほどの量を食べていたんですよ。中学生のときはバレーボールをしていてよく体を動かしていたから食べても太らなかったんですけど、予科生のときは、年齢的なものと、食べる量と消費エネルギーの計算ができていなかったんでしょうね。入学してから10kgも体重が増えてしまって。これはまずいということで、初舞台を踏む前にプロのかたに食事方法を相談したんです。そこで教わったのは、一食で9品目をとるということ。野菜、卵、豆類、肉、魚、貝、油、海草、乳製品。その食べ合わせで体の中を循環させ、代謝を上げるという方法だったのですが、それによって体重がみるみる落ちていき肌の調子もよくなったんです。その教えが今でも生きていて、とにかく食事はかたよらないことを心がけています。

――今でも実践されているのがすごいですね。

私が初舞台生だったころは今のように情報量が多くもなければ、すぐに情報が手に入る時代ではなかったんです。この食事方法に出会ったタイミングもあり、試してみたら効果が出ることが実感できたので、続けています。ほかにもいろいろ試したことはあるんですけどね。――ふだんの食事はご自身で作られるんですか?

手のこんだ料理をするというより、簡単にそろえられてすぐに食べられるようなものを用意します。体を整えたいときはきちんと作ることもあります。外食が多かったのですが、コロナ禍のステイホームで自炊をする機会が増えまして。料理を楽しむというか、料理に没頭してほかのことを考えない時間はまた気持ちのいいもので、その後のでき上がった達成感と、食べたときの喜び。時間があったからこそできたことですが、食の大切さのほかに、全国の主婦(主夫)のみなさまへの尊敬の念が深まりました(笑)。

――たしかにそうですよね! 自炊するときは野菜をメインにした料理が多いのですか?

野菜は、炒めたり鍋にしたりサラダにしたり、なにかしら取り入れていました。メインは肉や魚を簡単に焼いたものなど。オリーブオイルと塩と、ちょっとレモンとかバターとかを加えて。最初のころは楽しくてちょっと凝ったりもしたのですが、だんだんシンプルなものになりましたね。

タカラヅカを卒業して時間ができたかと思いきや、今はまだ片づけなど日々のあれこれに追われて料理ができていないんですよね。在団中はコロナ禍でだれかと食事をすることができなかったので、今は家族など大勢で食事ができるという時間に幸せを感じています。でもそろそろ作ろうかな、パクチーとマッシュルームのサラダとか。

撮影/天日恵美子 編集部 本人提供 文/淡路裕子

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