栄養学を勉強中の元宝塚歌劇団星組トップ娘役・舞空瞳さん 「専門店のオリーブオイルオイルに夢中です」

華やかで気品ある夢のようなキラキラのステージ、宝塚歌劇。約3時間のステージを彩るタカラジェンヌたちは清く正しく美しく、そして心身ともにパワフル! その生き生きとした魅力の源である「食」と「美」のこだわりを、宝塚歌劇OGのかたがたに現役時代を振り返りながら教えていただく連載です。
体をつくる源の「食」。これから得る知識と宝塚歌劇での経験を結びつけ、新たな表現を発信していきたい
今年4月から栄養学の勉強を始めた、元宝塚歌劇団星組トップ娘役の舞空瞳(まいそら・ひとみ)さん。
日本の「おいしい」を支えてきた「オレンジページ」としてはぜひお話をうかがいたいと、さっそく取材を行いました。 今回は舞空さんの「食」のこだわりをお届けします。

―4月から栄養学を学ばれているとのこと。めざしたきっかけを教えてください。
体を使って表現する仕事をしてきたため、生きるためには体が資本だということは身をもって感じていました。そのため、自分がわかる範囲で体にいいものを取り入れるようにしていて。発酵食品をとろうかなとか、ミネラルも必要だなとか。でもそれはあくまでも、自分の「なんとなく知っている」を基準にしていたんですね。それを勉強してきちんと理解したうえで食事に取り入れていきたいなと思ったのがきっかけです。
自分のためにもなりますし、誰もが「食」とは一生関わるので少しでも誰かの力になれるんじゃないかなと思い、まずは栄養士の資格取得をめざしています。
その先のビジョンはこれから進みながら少しずつ固めたいと思っていますが、今は、健康で、かつ、美しさを保つために効果的なことを自分で発信していきたいなと、漠然とではありますが考えています。
―きちんと学んで理論を身につけると、発信できる幅が広がりそうですよね。
はい。作った料理の解説や目的に合わせたレシピ開発など、今までやってきたことともひもづけができるのではないかなと思っています。 食と体が結びついていることを自分の経験として理解しているのは、体を使ってきたからこその強みなのかなと。

―食べることの大切さはどんなところで感じますか?
体の健康だけでなく、心の健康にもかかわるもの。おいしいものを食べると、だれもが幸せになるし気分も高揚しますよね。栄養素できちんと体が整うし、本当に「心身」と結びついているものだと思います。
―現役のときと退団後では、食生活は変わりましたか?
食べるものに大きな変化はないですが、時間にゆとりができたぶん、自炊をすることが増えました。「この野菜とこの野菜が冷蔵庫にあるから今日は何を作ろうかな?」と食材でレシピを考えたり、「今あるものにあれを買い足してこんなものを作ってみよう」などと想像しながらスーパーに行くのが楽しいです。物価の変化もこまめにチェックしています。
作ったものを家族や友達など、自分以外の人に食べてもらって、「おいしい」と言ってもらえたらうれしいですよね。退団してからはそんな喜びを噛みしめています。
―一人で食事をするよさももちろんありますが、みんなでなごやかに食事をするとそれがまた気持ちの栄養になりますよね。
本当にそう思います。
―ちなみに得意料理は何ですか?
何だろう……。定番ですが、先日は肉じゃがを作りました。
また、祖母からおいしいトマトをもらったときは、トマトソースを作ってみました。トマトを湯むきして細かく切って煮つめ、コンソメなどで味つけして。達成感がありました(笑)。
パスタや炒めた野菜に合わせるのもいいし、ご飯を入れてトマトライスにしてみたり。いろいろアレンジできたのも楽しかったです。
―料理を楽しんでいる舞空さんにおすすめしていただいたのが、こちらのオリーブオイルです。

Hitomi’s Favorite

左【スペイン】エクストラヴェルト(ホセ・ギラベルト) 2025年 500ml 9720円 (税込み)、右【フランス】BIO グレボー 2024年 500ml 7884円 (税込み)/ともにオリヴィエアンドコー https://oliviersandco.jp/
※商品は在庫状況、賞味期限の関係で販売が終了している可能性があります。販売終了の場合、【フランス】バスティード デュ ラヴァル500ml 2025年もおすすめ(メーカー担当)。

日本では銀座にしかない「オリヴィエアンドコー」というフランス発のオリーブオイル専門ショップのものです。
イタリアやフランス、スペインなど地中海周辺の国で採れる新鮮なオリーブで作られたオイルの中から、オリヴィエアンドコーの各専門家のかたがたが厳選して展開しているんです。
左の「エクストラヴェルト」は、地中海周辺で提携しているオリーブ農園で作られた摘みたてのオリーブを、ていねいにオイルにしたもの。提携農園はいくつかあって1年ごとに変わるらしく、今年はスペインの農園のものだそう。ボトルのデザインもかわいくて、毎年待ち望んでいる人も多いのだとか。ワインみたいですよね。

―ちゃんと年号が入っているんですね。
そうなんです。オリーブの産地だけでなく、生産者の名前やオリーブの品種、オイルの製造所まで詳しく明記されているんです。
摘みたてだからフレッシュであまりくせがなく、口当たりがいいのでどんな料理にも取り入れやすいです。そのまま食材にかけて食べるのはもちろん、加熱してもいいんですよ。
これで野菜を炒めるだけで、オリーブの香りがすごく立っておいしい。ドレッシングや、先日作ったトマトソースにも使いました。“新鮮”というのがいいなと思っています。
―右のオイルはどんな特徴があるんですか?
「BIO グレボー」というフランス産のオイルで、最近使いはじめました。ショップに行っていくつかテイスティングさせていただいたなかで、気に入ったものです。
お店の方から、「フランスならではの華やかさを大事にしているオイルで、辛口ですが、フルーティさが残るためマイルドに感じるかたが多いです」とうかがいました。ほのかに洋梨の香りを感じることができます。 有機のオリーブにこだわっているため収穫量が限られていて、希少価値が高いそうです。「エクストラヴェルト」に比べてオリーブらしい辛さや苦みがあって、しっかりした味わい。こちらも何にでも合いますが、私はパンにつけていただくのが好きです。

Hitomi’s Photo

素材を味わえるせいろ料理も大好き。野菜とベーグルを蒸し、オリーブオイルにつけていただくのが最高においしい!

―どちらもおいしそうです! このオイルに出会ったきっかけは何でしたか?
コロナ禍に料理をするようになったときに、オイルや調味料の添加物の多さが気になりだしたんです。時間があるときに無添加のものがないか調べていて、たまたま「エクストラヴェルト」を見つけました。
取り寄せて使ってみたらすごくおいしくて! コロナ明けに初めて店舗に行き、いろいろテイスティングをさせていただいて今ではすっかり愛用しています。オリーブオイルのほかに、バルサミコ酢やソルト、フレーバーつきの調味料などもあり、お店に行くとテンションが上がっちゃいます(笑)。
―自分でいただいても、ギフトにしてもよさそうですね。
そうなんです。自分では買わないようなものをいただくとうれしいですもんね。体にもよいものですし。小さなサイズのオリーブオイルとお塩とか、手土産にぴったりだと思います。
―体をつくるために食べるものは、何か意識されていますか? たんぱく質を多めにとるとか。
基本的には、バランスよく食べることが大事だと思っています。あとは、和食の基本の「まごはやさしい」など、古くから体にいいといわれているものを意識したいなと考えています。
あと、今までパン大好き人間だったのですがご飯に替えてみたらすごく体の調子がよくて、日本人の体にはお米が合っているんだなと体感しているところです。パンの場合は、米粉パンに。せいろで蒸すと、もちもちになってすごくおいしいんですよ。それにオリーブオイルをつけていただくのにハマっています。
―それはおいしそうです! ちなみに、体調が悪いときは何を食べて回復しますか?
フルーツなど、ビタミンが豊富なものですかね。レモンのはちみつ漬けやきんかんの甘露煮などは、母や祖母が作ってくれたので小さいころから食べていました。喉にもいいですし。

―舞空家に受け継がれてきたものなんですね。では逆に、体によくないと思ってもつい食べてしまうものは何でしょうか?
甘いものですね。好きか嫌いかと言ったらやっぱり好きです(笑)。なんでもそうですが取り過ぎには気をつけつつ、たとえば大好きなドーナツは豆腐や米粉で作って罪悪感を少しでも抑えてみたり。でも疲れたときはやっぱり甘いものがほしくなりますね。
―外食するときは、どんなお店に行くとテンションが上がりますか?
和食で、小鉢がたくさん並んでいるとテンションが上がります。どれを食べようかなとワクワクしますし、少しずついろいろな料理を楽しめるのが好きな理由です。定食屋さんやおばんざい屋さん……そんなお店にときめきます。東京でそんなお店を開拓したいなと思っています。
―舞空さんは横浜出身ですが、横浜のおいしいものといえば何でしょう?
横浜愛はあるんです。でも中学を卒業してすぐに宝塚での生活になったのであまり詳しくなくて、逆に知りたいですね。中華街のおいしいものとか。
花組にいたとき、神奈川県民ホールで全国ツアーの公演があったんですよ。そのときに華(優希、はな・ゆうき、元花組トップ娘役)さんと中華街で肉まんを買って、山下公園で食べた思い出があります。最高に楽しかったです。

栄養学という新たな道を邁進している舞空さん。今後さらに深い知識を身につけ、どんな存在になっていくのか楽しみです。またいつか、取材させてもらえる機会がありますように。
次回は舞空さんの「美」についてお話をうかがいます。お楽しみに!
舞空 瞳
まいそら・ひとみ/元宝塚歌劇団星組トップ娘役。 2016年に102期生首席として宝塚歌劇団に入団。花組に配属され、2018年『MESSIAH』で新人公演初ヒロイン、『メランコリック・ジゴロ-あぶない相続人-』 『EXCITER!!2018』で全国ツアー公演初ヒロイン。翌年星組へ組替え。『GOD OF STARS -食聖-』で2度目の新人公演ヒロインを経て星組トップ娘役に就任し、2020年『眩耀の谷 ~舞い降りた新星~』『Ray -星の光線-』で大劇場お披露目。2024年『記憶にございません!』『Tiara Azul -Destino-』にて退団。2025年4月より、栄養学を学ぶため学校に通っている。
撮影/天日恵美子 本人提供 文/淡路裕子