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飛田和緒さんの「月に1度のさもない昼ごはん」

朝掘りたけのこは、ぬかも使わずゆでるだけ【飛田和緒さん連載・たけのこのおいしい食べ方】

2024.05.15

人気料理家・飛田和緒さん。この連載は飛田さんの飾らないお昼ごはんをのぞき見させてもらいます。使うのは20年近く住む神奈川県・三浦半島の旬の食材! さて今日はどんな「さもない」お昼が見られるのでしょうか……?

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さぁ、今月は「たけのこ」です。近所の直売所には朝掘りたけのこがごろごろ。一年に一度、しかも短い期間だけしか味わえないけれど、地元たけのこがある。なんてぜいたくなんでしょう。有名産地ではありませんが、地元のみなさんは、それはそれは楽しみにしているんです。

朝掘り「たけのこ」のおいしさは格別……


都内から越して間もないころ、近所のかたに「たけのこ掘りにいらっしゃいよ」と誘っていただき、長靴をはいて大きなシャベルを担いでさっそうと出かけたことがありました。

いざ山に入るとたけのこがまったく目に入ってこない、そして「ここ掘って」と言われてもコツをつかむまで時間がかかって、掘っても掘ってもたけのこの姿が現れず、やっと掘れたと思ったらたけのこが真っ二つに割れていたなんてことがありましたっけ。

結局はおまかせして掘ってもらったという苦い思い出なんですが、いただいて帰ったたけのこのおいしかったことといったら。ゆで時間も早くて、アクも少なめなんです。

このときから地元たけのこのときには、ぬかを入れてゆでることをやめました。そして皮をほぼほぼむいてゆでるように。ぬかの代わりにお米を入れてゆでたりもしていましたが、最近は皮をむいて、半割りにしてゆでる、これがわが家の地元たけのこのゆで方。

ゆっくりとさましながら一晩おいて、翌日きれいに洗って皮をすべてきれいにむいて水にさらすことまた一晩。時間をかけて、たけのこをおいしくします。
ですので、買ってもすぐに食べられないのが「たけのこ」。だから直売所ではゆでたものも売っています! なんて親切なんでしょう。でもそれがすぐに完売してしまうものだから、私はなかなか手に入れることができず、自分でゆでることに。

そうそう以前、たけのこを山ほどいただいたときに、友人たちに「たけのこどう?」って連絡すると、だれもが「ゆでたものが欲しい、ゆでてないならいらない」と断られたことがありました。

なるほどね。簡単だけど、ゆでる作業に慣れていないとめんどうと思いがち。それからは、ゆでておすそけしています。幸いわが家にはみそづくりで使う大鍋があるので、それでゆでれば一度にすみますから、ゆでに徹することにしています。

旬は一瞬、しみじみおいしい昼ごはん

今月は、一瞬出回る食材ばかりで昼ごはんとなりました。たけのこふき葉つきの新玉ねぎひじき……。いつもは手に入らないものだから、いっそうありがたく感謝の気持ちでいただきます。しみじみおいしいものばかり。


甘辛味でご飯がすすむ『たけのことめかじきの炒めもの』

さて、昼ごはんはたけのこを細切りにして、下味をつけて片栗粉をまぶしためかじきと合わせて炒めものにしました。撮影材料の残ったパプリカも入れて色みを追加したつもりができ上がってみたら同色になってしまい、たけのこかパプリカかわからない感じで、色のアクセントはなくなりました。そんなこともあります……。

味つけはかるく塩をして、酒、砂糖、メインの味つけはオイスターソースとしょうゆ。甘辛い味はたけのこによく合いますし、ご飯もすすみます。

ふきは油揚げと煮ものに

野ふきは塩をふって板ずりし、ゆでて、薄皮と筋を取って、水につけてアクを抜きました。こちらは油揚げと煮ものに。直売所ではゆでるだけでいいと言われたんですが、ゆでてみたら、やはり皮が気になったので、そのように。

アドバイスを聞くのも大事だけれど、最後は自分で判断。そうしないと自分好みにはならないですものね。

「ふき」はたけのこ同様に水につけた状態で冷蔵庫に保存し、肉巻きにしたり、油炒めにしたり、おかかと合わせてつくだ煮にしたり、ふきの炊き込みご飯も好き。1束じゃたりなかったな。またすぐ買いに行こう。

甘くておいしい『葉つき新玉ねぎの豚汁風』

「葉つきの新玉ねぎ」はおみそ汁に。豚肉を入れて豚汁風にしました。緑の葉の部分も柔らかくておいしい。ザクザク切って油で炒めてからだしと合わせて煮ます。玉ねぎが柔らかくなったら、みそを溶いてでき上がり。

「パクチー」は昼ごはんには使いませんでしたが、根っこが太くて立派だったので、天ぷらにしたいと思っています。根っこは甘みがあっておいしい。揚げるほか、刻んでスープに入れたり、炒めたりして食べます。根っこもしっかりパクチーの風味がありますから、決して捨てません。

釜揚げしたてのひじきは、ふわっとふくよか

そして、この時期の海辺はひじき漁で忙しい。港にモクモクと煙が上がっていて、ひじきを大釜でゆでています。ひじきは干潮時に新芽が出ている岩場で漁をするのです。
「今日ひじき切るからね」と漁師さんが言うのだけど、ひじきを刈ることを切ると言うのだと教えてもらいました。切ったひじきはローブで編まれた大きな袋状のものに詰められて海から引き上げられ、作業場に運ばれます。

たっぷりの真水で何度も洗い、洗ったら、鉄釜でゆでること数時間。ゆで上がったひじきは麻袋に入れられて蒸されます。そして、天日で乾燥させたのがいわゆる乾物のひじきです。

それが、地元では乾燥させる前の釜揚げしたてのひじきを味わうことができるのです。とにかく口当たりがふわっとふくよか。これもこちらに越してきて知った味で、たけのこ同様短い期間だけしか味わえないから、毎年とても楽しみにしています。

海を感じる『釜揚げひじきと新玉ねぎのサラダ』

釜揚げひじきは乾物と同じような調理をしますが、まず必ず作るのはサラダ。

さっと湯通しした釜揚げひじきと新玉ねぎの薄切りを合わせて、あればツナ缶やちくわの薄切り、しらす干しなどの味の出るものを加えます。

甘酢で味つけし、たまーにマヨネーズを入れたり、しょうゆを加えることも。釜揚げだからか、味がすぐになじむのがいいんです。

ほかに、炊き込みご飯やにんにく唐辛子オイルと合わせて炒めたり、スパゲティとあえたり、もちろん定番の煮ものもいい。やさしい味わいに仕上がります。

なんとも地味なんだけど、口に入れたらとりこになる。それくらい力のある海の旬味です。

 
この記事が更新されるころにはたけのこも釜揚げひじき、ふきも終わりとなっているかもしれませんが、頭の隅っこに留めておいてくださいね。来年もしよき出会いがあったなら、こんなふうに食べてたな、調理してたなって思い出してもらえるとうれしいです。

さて、来月は夏野菜に期待大。すでに夏日もあったりして、日ざしも強くなってきました。露地ものの野菜が力強く育ちますようにと願います。

飛田和緒


飛田和緒(ひだかずを)

料理家。神奈川県・三浦半島に夫・娘と住みはじめてから18年になる。海辺暮らしならではの魚料理や、地元の食材を使ったシンプルな野菜レシピが人気。繰り返し作りたくなる常備菜は、幅広い層から支持されている。お弁当や朝ごはんの記録をつづったインスタグラム(@hida_kazuo)も話題。著書に『いちばんおいしい野菜の食べ方』(小社)など。

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文・写真/飛田和緒 撮影/大森忠明(バナー、プロフィール画像)

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