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2023.07.15
【松山ケンイチさん】2拠点暮らしを始め4年。田舎では暮らしそのものがエンターテインメントです!
おおみや えりー/1975年、大阪府生まれ。2012年、自身初の体験型個展「思いを伝えるということ」展、15 年初の絵画展「emotional journey」、19年初の海外個展「les beaux jour」(パリ)など、各地で個展を開く。エッセイ『生きるコント』(文藝春秋)、短編集『猫のマルモ』(小学館)、絵本『虹のくじら』(美術出版社)など著書多数。美術、映像、舞台、文芸、ラジオなど、幅広く活動。 公式HP
自己表現というよりも
媒介者。
自然や食べたものから受け取った
感覚やぬくもりを伝えたいんです
11年前、パルコミュージアムで体験型展覧会「思いを伝えるということ」展を開催。以来、新たな作品を発表しつづけ、見る人の心を揺さぶってきた大宮エリーさん。直近の個展のテーマは〈海〉。
「夏だし、みんな海に行きたいかな? と。気持ちのいい空間を出現させたい、と思っています」
スキューバダイビングのインストラクターの経験もあるエリーさんにとって、〈海〉は自身の心と体で深く交流してきた存在です。
クラシックや民謡など、集中力を高めてくれる音楽をかけながら絵筆を握ることも多いそう。
「えら呼吸ができない私たちの住む世界じゃない。あくまで人間は侵入者。それを、おじゃましますって、のぞかせてもらう。言葉が話せない、感覚の世界になります。いっしょに潜ったバディとつないだ手から、気持ちが伝わってくる。そのうちただ宇宙に浮かんでいるように、地球と一体化する感じになる。そんな海で感じた〈言葉にならない感覚〉を絵にしました」
ご自身が海からもらった〈たのしい気持ち〉で描いた作品は、明るく、やさしいトーン。
「鑑賞というより、旅をする気持ちで来ていただけたら。以前、私の絵の前で泣いているかたがいて、理由をおききしたら〈自分でもよくわからない〉と。そのときわからなくても、後で〈なんであのとき涙が出たんだろう〉って考えますよね。日常から少し離れて自分と対話する。展覧会がそのきっかけになればうれしいです」
自己表現ではなく、媒介者。創作活動についてそう語るエリーさん。
「海、山、空、植物。自然から受け取ったバイブレーションが体を通って作品になる感覚です」。
食もまた創作の大きなインスピレーションのひとつ。会社勤めのころ、激務に疲れていたときに食べた潮汁が忘れられないそう。
「ある漁師さんがふるまってくれたんです。ひと口すすって、海を飲んでいるような、母なる鼓動を感じたような。ああ、おいしいって。都会で疲れた人をもてなしてあげよう、っていう漁師さんの思いも温かくて」
多忙な毎日を支えるのも、土鍋で炊くご飯などの手料理だとか。
「自分で作れば、好きな味、好きな材料を食べられる。麻婆豆腐はねぎたっぷり、お肉なし、とか。どんな忙しいときも、料理ができているうちは大丈夫なんです」
「疲労でじんましんが出たことをきっかけによもぎを食べよう! と決意。おひたしにしたり、わかめやごまとあえたり。「都心ではなかなか見かけなくて。そこらじゅうに生えてるよ、という熊本在住の友人に根つきで送ってもらいました。この春から育てて食べています」。
海から見た太陽、カモメと遊ぶ海など、海を主人公にした作品で構成された大宮エリーさんの体験型個展。物語を奏でる作品の数々に〈たのしい気持ち〉がわいてきます! 7月21日(金)・22日(土)は、大宮エリーさんによる詩の朗読と、マイムをベースにしたユニット「カンパニーデラシネラ」のパフォーマンスを予定。
撮影/鈴木康史 取材・文/待本里菜
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