2016.11.27
健康で長生きするために、どんなことに注意していますか?
病気にならないよう生活習慣に気をつける。交通事故に合わないように注意する。ストレスをためないようにする。全部正解です。でも、これだけでは万全でありません。
というのは、病気でも事件でもなく、「家庭内事故」で命を落としている人が交通事故の4倍もいるのです。その数、年間約14000人(人口動態統計より)!
階段から転落したり、やけどをしたり、食べ物をつまらせたり……。中でも多いのが冬場のお風呂での事故。特に中高年に多いのです。
交通事故は新聞やテレビで報道されますが、事件ではないお風呂での急死はほぼ報道されないので、この事実があまり知られていないようです。
なんで、お風呂がそんなに危ないのでしょうか?
一つはお風呂場が寒いこと。
一般的な日本の家は、お風呂や洗面所は日当たりの悪い北側に配置され、暖房されていないのがほとんど。リビングなどに比べてかなり寒い! 日本では昔からそうなので気づかないのですが、これがとても危険だったのです。
↑(撮影/本間ゆり)
ぽかぽかのリビングを出て、寒い脱衣所で服を脱ぎ、冷たいお風呂の床に足を下ろす。そして熱い湯船に浸かる。そのとき血圧は大きくアップダウンし、心筋梗塞や脳卒中に……(これをヒートショックといいます)。
この危険を回避するには、お風呂とほかの部屋の温度差をなくすこと。
暖房器具を置いたり、ほかの部屋の暖気が入るようにしたり、お風呂に入る前にバスタブのふたを開けて空気を暖めておいたり。服を脱ぐ前にシャワーの温水で床をあたためておくのも効果的です。
取りつけ工事が必要ですが、浴室暖房乾燥機という便利なものがあるので、これを設置できれば理想的。とにかくお風呂や脱衣所は暖かくすることが大切です。
もう一つは脱衣所やお風呂の床に段差が多いこと。
脱衣所から出入口の敷居をまたいで、お風呂場の床に下りる……。あわてて滑ったり、うっかりつまずいたりすることで、骨折するほどの大けがになることもあります。打ちどころが悪かったり、倒れたことにしばらく家族が気づかなかったりすると、深刻な事態になることも。これを防ぐには、床の段差をできるだけなくすことです。
滑りにくい素材を使用することや、敷居などつまずきやすいところに注意がいくよう色の明るさの差をつけることも有効。
こちらは工事をしないと解消できませんが、設備メーカ―各社から、段差がなく滑りにくい床材のシステムバスが発売されています。ユニット式なので、工事に日数がかからない商品がそろっているので、お風呂が古い、寒いという不満があるかたは、健康長寿のためにリフォームを検討してみてはいかがですか。
撮影(1点除く)/福原 毅 編集協力/橋本麻紀 文/編集部・越 龍子
(『健康寿命を延ばすリフォーム』〈オレンジページ刊〉より)
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