気になるトピックスを毎日お届け!!

【イチからわかる腸活】驚きの発酵パワー★甘酒を調味料にして腸活!

※この記事は、東京農業大学教授の前橋健二先生の監修を受けて作成したものです。

甘酒には、糀でつくった〈糀甘酒〉と、酒粕からつくられた〈酒粕甘酒〉があります。
じつは、〈糀甘酒〉はそのまま飲むだけでなく、調味料として使っても腸活&健康効果が得られるんですよ!

「砂糖の代わりに糀甘酒を使う」提案について、日本の発酵調味料研究の第一人者、東京農業大学教授の前橋健二先生に伺いました。


 

◆砂糖の代わりに糀甘酒を使ってみよう

糀甘酒は夏バテ解消や腸活に効果的なエナジードリンク。
とはいえ、「甘みが強くて苦手」という人もいるかもしれません。
そんな場合は調味料として使うのがおすすめ。

「砂糖大さじ1の代わりに、糀甘酒大さじ1を使う」という方法なら、甘酒そのものを飲むのが苦手な人でも、違和感なく取り入れることができます。

使い方は、砂糖を同量の糀甘酒に置き換えるだけ。糀甘酒にはブドウ糖、オリゴ糖、食物繊維、ビタミンB群などが含まれるので、栄養バランスもよくなります。また、でんぷんやたんぱく質を分解する働きがあるので、下味にしたり煮ものに使ったりするのもおすすめ。肉や魚などを柔らかくする効果もありますよ。」(前橋先生)

ちなみに糀甘酒と砂糖のエネルギー量を比較すると、砂糖大さじ1杯が約35kcalなのに対して、糀甘酒大さじ1杯は約12kcal
砂糖を同量の糀甘酒に置き換えることによって、カロリーオフの効果も期待できるのです!
 


 

◆いろんなものにチョイ足しして、発酵パワーをプラス!

糀甘酒に含まれる栄養成分の中でも、腸活に役立つのはオリゴ糖と食物繊維です
これらが腸内細菌のエサとなり、善玉菌優位な腸内環境を保つことが免疫力アップの決め手となります。

「実は、腸と免疫は深い関係にあり、体全体の免疫細胞の約7割が腸に集まっています。私たちの腸のなかには100兆個以上もの腸内細菌がいて、善玉菌と悪玉菌が勢力争いを繰り広げています。そして、善玉菌が短鎖脂肪酸という酸をつくって悪玉菌を抑え、腸内環境を改善することが、免疫機能の強化につながるのです」

まずは、いつもの食事に糀甘酒を大さじ1杯、ちょい足ししてみませんか!?  

そうすることで、いつも口にしているものに発酵パワーをプラスすることができるからです。
そして、「ちょい足しの習慣」を毎日続けることが、善玉菌優位の腸内環境を保つことに役立ちます。

例えば、納豆やみそ汁に糀甘酒を加えるとうまみがプラスされ、そのぶんしょうゆやみその量を減らすと減塩対策にもなりますし、コーヒーに入れる砂糖や、ヨーグルトに入れるハチミツの代わりに糀甘酒を加えると、糖質オフの効果も得られます。

「糀甘酒に含まれるオリゴ糖や食物繊維が腸内細菌のエサとなり、腸内環境が整うことによって、巡りめぐって、免疫力のアップにつながっていきます

〈ちょい足しするときの分量の目安〉

・納豆1パックに対して、糀甘酒大さじ1
・みそ汁200mlに対して、糀甘酒大さじ1
・コーヒー1杯(180ml)に対して、糀甘酒大さじ1~2
・無糖ヨーグルト100gに対して、糀甘酒大さじ1
–{糀甘酒があれば、料理がぐっとおいしく}–

◆糀甘酒があれば、料理がぐっとおいしく

前橋先生によれば、糀甘酒は煮もの、あえもの、汁ものなど、どんな食材にも合うのだそうです。

しかも、糀甘酒があれば、砂糖やみりん、料理酒を使わなくてもOK。
糀甘酒が〈1つで3役〉の役割を果たしてくれるため、少ない調味料で簡単に作ることができるのです。
そのうえうまみが増して、ワンランク上のおいしさに。

例えば、「砂糖大さじ1杯、みりん大さじ1杯」だったら、「糀甘酒大さじ2杯」と考えるのが基本。
甘さ控えめが好きな人は、量を調節してみましょう。

糀甘酒があれば、砂糖・みりん・酒は不要!

●糀甘酒+しょうゆ

糀甘酒としょうゆは、どちらもこうじ菌を使った発酵食品。W発酵パワーで、素材のうまみを引き立てます。
野菜の煮物や煮魚肉のソテーなどをしょうゆベースの甘辛味で仕上げるときにおすすめ。

●糀甘酒+みそ

糀甘酒とみそは、どちらもこうじ菌を使った発酵食品。W発酵パワーで、こくのある、やさしい味わいに。
煮魚に使うと、ふっくらとやわらかく仕上がるほか、エスニック料理の隠し味にもなじみます。

●糀甘酒+塩

焼き物、炒め物、スープなど、さまざまな料理に使えます。
「糀甘酒+塩少々」を混ぜた調味液に、たらさわらなどの魚を漬け込むと、焼いてもパサつかずやわらかな仕上がりに。


◆もっと知りたい! 甘酒Q&A

Q. 糀甘酒を加熱すると、腸活効果がなくなってしまうの?

A. 糀甘酒を加熱しても、腸活効果はなくなりません。こうじ菌は加熱によって容易に死滅しますが、腸活にとって大事なのは、こうじ菌が生きていることではなく、こうじ菌によって作られたオリゴ糖と食物繊維のほうです。なお、オリゴ糖や食物繊維も、加熱してもなくならないのでご安心を。

Q. 甘酒は子どもが飲んでも大丈夫?

A. 糀甘酒の原料は米と米こうじ、水のみ。「酒」という名前がついていますが、アルコール0%なので、子どもが飲んでも大丈夫です。一方、酒粕甘酒は日本酒を製造する過程で残った搾りかすが原料。こちらはアルコール成分が含まれているので、楽しむのは大人だけにして。

「甘酒=そのまま飲むだけ」というイメージだったあなたも、これを機に〈糀甘酒〉を日々の食事に取り入れてみてはいかが?


教えてくれたのは……
前橋健二(まえはし けんじ)先生

東京農業大学応用生物科学部醸造科学科教授。「発酵」と「味」について、科学的アプローチを続けている日本の発酵調味料研究の第一人者。東京農業大学応用生物科学部醸造科学科助手、講師、准教授を経て、2016年より現職。発酵における微生物と成分の変化、発酵調味料、味の解析や味覚のしくみなどの研究に多方面から取り組んでいる。著書に『砂糖の代わりに糀甘酒を使うという提案』(アスコム)。メディア出演も多数。

※この記事は、会員サイト「オレンジページサロンWEB」(サービス終了)の掲載記事を再編集したものです。

監修/前橋健二 構成・文/大石久恵 写真提供/PIXTA