
【イチからわかる腸活】夜のスマホは便秘のもと!?
※この記事は、京都府立医科大学 消化器内科学教室 准教授 内藤裕二先生の監修を受けて作成したものです。
「お気に入りのドラマや動画を見て、夜更かしが続いたら、便秘しやすくなった」という経験はありませんか?
一見、関連性がないように思えますが、腸と体内時計のあいだには密接な関わりがあることが徐々にわかってきました。京都府立医科大学 消化器内科学教室 准教授・内藤裕二先生に、腸活トピックスを教えていただきました。

◆夜のスマホが腸内細菌の働きを乱している!?
週末の夜は、録画しておいたDVDを見たり、スマホを長時間見たりして寝不足ぎみ。そんな人は、知らないうちに腸内環境が悪化しているかもしれません。
「研究では、『体内時計の乱れが腸内細菌の働きにも影響を与えている』ことが注目されています」と内藤先生。
人間には、昼夜の変化に合わせて体の働きを調節する「体内時計」が備わっています。1日は24時間ですが、体内時計は約25時間周期とされ、1時間ほどズレがあることがわかっています。
これを解消するのが、朝の日光。朝に日の光を見ることで体内時計のズレがリセットされ、周期が整う仕組みです。
ところが、夜にスマートフォンなどが発している「ブルーライト」などの強い光を浴びると、脳が昼と誤解して、体内時計の乱れを招いてしまうのだとか。
「現代社会では、夜遅くまでパソコンやスマホのブルーライトを浴びる生活をしている人が多く、<ソーシャル・ジェット・ラグ>(社会的時差ボケ)といって、海外旅行などで時差ボケしたときのように体内時計が普段でも乱れている人が少なくありません。こうした状態だと、腸内細菌のバランスが乱れたり、腸内細菌の活動にまで影響が及ぶと考えられています」
腸活によいと言われる食べ物を取り入れていても、体内時計が乱れたままでは、効果が充分に得られていない可能性も。
「食事はばっちりのはずなのに、便秘ぎみなんだよね……」というかたは、下記の3か条を実践し、体内時計を整えてみては?

体内時計を整える3か条
1)朝起きたら太陽の光を浴びる
2)夜のスマホやインターネットを控える
3)できるだけ決まった時間に起床・就寝する
–{脂っぽい食事は体内時計を狂わせる!?}–

◆脂っぽい食事は体内時計を狂わせる!?
さて、この「体内時計」は脳にコントロールタワーがありますが、胃などの内臓や血管など、体のあちこちにもサブ的な体内時計があります。もちろん、腸にも体内時計があるのです!
「じつは、揚げ物や肉類などの脂っぽい食事の摂りすぎが、<腸の体内時計>を狂わせる一番の原因なんです」と内藤先生。
そもそも日本人の腸には、洋食は不向きと考えられています。脂っぽい食事が続いたり、肉類や乳脂肪(動物性脂肪や動物性たんぱく質)を摂りすぎると、「腸の体内時計」が乱れがちになり、腸内細菌が体によい物質を産生しにくくなってしまうので、要注意。
「腸の体内時計」を整えるために、魚介類からたんぱく質を摂るように意識したいもの。雑穀類、豆類、根菜類、海藻類をバランスよく食べる日本食がおすすめです。
最後に、内藤先生ご自身が実践する腸活について伺いました。
「朝起きたら、まずは太陽の光を浴びて、体内時計のスイッチを入れるように心がけています。そして、自家製の特製スムージーを飲んで、腸を目覚めさせるのが日課です。材料はバナナ、豆乳、抹茶青汁の粉末、はちみつ。これに、5gの食物繊維(粉末タイプ)のサプリを加えて、食物繊維が不足しないように補っています」
この機会に「腸活」にチャレンジして、体内時計を整えてみましょう!
教えてくれたのは…
内藤裕二(ないとう ゆうじ)先生
京都府立医科大学 消化器内科学教室 准教授。同附属病院内視鏡・超音波診療部部長。京都府立医科大学卒業。専門は消化器病学、消化器内視鏡学、消化管学、酸化ストレスと消化管炎症、生活習慣病。最先端の研究を行うかたわら、臨床の現場で30年以上にわたって消化器疾患の診療にあたる。長寿菌として知られる「酪酸産生菌」研究の第一人者。主な著書に『人生を変える賢い腸の作り方』(ダイヤモンド社)など多数。
※この記事は、会員サイト「オレンジページサロンWEB」(サービス終了)の掲載記事を再編集したものです。
監修/内藤裕二 構成・文/大石久恵 写真提供/PIXTA