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【編集マツコの、週末には映画を。Vol.133】『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』

2021.12.17

こんにちは。ふだんは雑誌『オレンジページ』で料理ページを担当している編集マツコです。僕が今ほしいものは、低温調理機。ほったらかしで美味しい料理が失敗なく作れそうで、誰かクリスマスに買ってくれないかな~と思っています笑 こういう便利な調理家電や器具は、メーカーの方が少しでも家ごはんが快適になるようにと、日々研究を重ねてくれているたまものなんですよね……。テフロンのフライパンをお使いの方は多いと思いますが、それだって「こびりつかないフライパンがあったら便利だ!」と思った人たちが頑張ってくれたおかげで、多くの人が普通に使っているわけで。
今回はそのテフロンがキーワード。深刻な環境汚染で被害に遭った人々を救おうと立ち上がった、1人の弁護士による闘いの物語です。これが実話であるということ、そして訴訟はまだ続いているということに、見終わった今も驚きを隠せません。


いわゆるリーガルドラマのような法廷での舌戦はほとんどなく、カメラが追うのはひたすら地味な弁護士の職務の数々。その積み重ねが大きな実りを生むこともあれば、儚く散ることもあるのだと思うと、弁護士という職業が連想させる派手なイメージというのは、彼らの仕事のほんの一部分でしかないのだなと思い知らされます。
1998年。オハイオ州の企業弁護士であるロブ・ビロット(マーク・ラファロ)さんがめでたく昇進(?)したタイミングで、ウェストバージニア州で農場を営むテナント(ビル・キャンプ)という男がやって来ます。彼の説明によれば、大手化学企業デュポン社の化学物質による土地の汚染で、育てている牛が200頭近くも死んでしまったのだそう。
普通、企業弁護士だったらこの案件ソッコーでお断りだと思うのですが、このロブさんは実際に異常をきたした牛を目の当たりにすることで、テナントさんたちのために訴訟を起こすことを決心するんですね。


企業弁護士が企業相手に立ち向かうだなんて、無謀としか言いようがありません。ロブの地道な調査によって段々と真実が明るみになり、デュポン社が危険な化学物質を長年大気中や土壌に垂れ流してきたことが分かるのですが、相手は巨大企業。色々な策を講じてきますので、簡単に問題は解決しません。この化学物質というのが他でもないテフロンに含まれるもので、衝撃なのが、デュポン社の社員の中にも深刻な健康被害を受けた方たちがたくさんいるということ。一方で、原告の中には訴訟の結果を知ることなく亡くなる方も。悲しいですが、これは実話なんです。
こんな大変な案件を引き受けたロブ・ビロットさん。孤独な闘いを続け、結果的に多くの人を救った(訴訟は継続中)わけですが、誰もが思い描くようなキラキラしたヒーローではありません。むしろ、平凡な(といっても弁護士という職業に就く優秀な方ですが)1人の人間が体験する、この社会の理不尽に焦点を当てているように感じます。だからこそ、その真摯な痛みは決して他人事ではなく、まるで自分のことのようにその痛み追体験するはずです。


ロブさんを突き動かしたもの。それは正義感とかカッコいい言葉で表されるものよりも、シンプルな「違和感」ではないでしょうか。テナント氏の牛を見たときの、化学物質による病気で苦しんでいる人を見たときの、「え、こんなのおかしい」という気持ち。
この問題に限らず、いろいろな形で人がないがしろにされていると感じる今日この頃。こういう違和感の輪がつながっていけば……と切に思うのでした。妻を演じるアン・ハサウェイさんも、なかなか心憎い役どころですよ。


ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』12月17日(金)、TOHOシネマズ シャンテほかロードショー
配給・宣伝:キノフィルムズ
©2021 STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC.

【編集マツコの 週末には、映画を。】
年間150本以上を観賞する映画好きの料理編集者が、おすすめの映画を毎週1本紹介します。

文/編集部・小松正和

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