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【編集マツコの、週末には映画を。Vol.123】『〈主婦〉の学校』

2021.10.08

こんにちは。ふだんは雑誌『オレンジページ』で料理ページを担当している編集マツコです。これを読んでくださっている方は、ある程度お料理が出来るのではないでしょうか? 特別上手でなくとも、自分で献立を決めて、材料を用意して、調理が出来るということ。では、他の家事はどうでしょうか? それぞれの素材に合わせた洗濯やアイロンがけ、家具や家電製品のメンテナンス、破れた衣服の修繕etc. 「出来ます!」という方は素晴らしい。僕は出来ないことだらけなので、この「〈主婦〉の学校」に入学したくなりました(笑)。アイスランドで1942年に創立され、社会における役割を少しずつ変えながら、今日までたくさんの卒業生を輩出してきた男女共学の家政学校。花嫁修業という言葉があまり使われなくなった今、この学校が存在する意味を教えてくれるドキュメンタリー映画です。


「生活の役に立ちそう」「服にあいた穴を修繕する方法を学べたら」冒頭、この学校にこれから入学する女性たちが展望を語ります。その中で特に印象に残ったのが「だらしない主婦になったっていい」という言葉。映画のタイトルは「〈主婦〉の学校」ですが、70年代に「家政学校」と現在の名称に変わり、90年代には男女共学となったそう。ここは、性別を問わず「今を生きるために必要なこと」を学べる場所なのです。
家事と聞いてパッと思い浮かぶのは料理、洗濯、掃除などですが、ここのカリキュラムはなかなか興味深い。というのも、「食べる」という営みひとつ取っても、調理技術はもちろん、栄養学やテーブルマナーを学んだり、ジャムを作るためのベリーを摘みに行くワンデイトリップが組み込まれていたり……。消火器の使い方や、セックスや避妊方法についても学ぶのだとか。昔は日本にも花嫁学校というものがあったと思いますが、どんな内容だったのか気になりますね。


映画では男性の卒業生が数名インタビューに答えていますが、その中には環境・天然資源大臣の姿も。入学した理由は「自分の面倒を自分で見たかったから」というシンプルなものでした。とても説得力があると思いませんか? 
色々な内容を学ぶとはいえ、やはり料理の比重は大きいようで、アイスランドの伝統料理を作るシーンは見どころ! 内臓、牛乳、オートミールなどを混ぜて腸に詰める料理は、「スラゥトゥル」と呼ばれる羊のソーセージ(フランスの「ブーダン・ノワール」の羊版!?)。薄いパン生地に葉っぱや雪などの模様をつける「ラウフブラウズ」は、クリスマスシーズンの定番だそう。オーブンで焼くのかな?と思ったら、なんと揚げ油の中へ。揚げ上がり、すぐにつぶして形を整えていました。面白いなあ。こういう伝統を伝えていく場所でもあるんですね。


ものをなるべく捨てずに修繕しながら使ったり、自分のところで余った食べ物は近隣の方とシェアしたり。どれも今盛んに言われている「サステナブル」な行動ですが、そういった言葉がなくても出来ていなければならないことばかりなんですよね。
社会の変化に柔軟に対応し、なんとかこの時代まで存続し続けているこの学校こそが、サステナブルの理念を体現しているような気がします。

『〈主婦〉の学校』10月16日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
配給:kinologue 
©Mús & Kött 2020

【編集マツコの 週末には、映画を。】
年間150本以上を観賞する映画好きの料理編集者が、おすすめの映画を毎週1本紹介します。

文/編集部・小松正和

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