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【編集マツコの、週末には映画を。Vol.113】『少年の君』

2021.07.16


こんにちは。ふだんは雑誌『オレンジページ』で料理ページを担当している編集マツコです。今回は久々の中国・香港映画。タイトルとメインビジュアルを見たときから気になっていました。いじめや学歴社会、格差など中国が抱える社会問題を大胆に取り上げながら、少年少女の青春物語でもある今作。痛みと温かさに溢れた、この夏ぜひみてほしい作品です。


受験戦争という言葉を久しく聞いていないような気がしますが、最近の日本の子どもたちはどうなのだろう? 山のような参考書に囲まれながら、受験のため勉強に励む高校3年生のチェン・ニェン(チョウ・ドンユイ)。北京大学を目指す彼女の家は貧しく、母親は学費のために犯罪すれすれの商いをしなければならないという家庭状況。チェンにとって、受験は先のない現状から抜け出すための唯一の手段なのです。
そんな中起こった事件が、壮絶ないじめによる同級生の自殺。彼女が命を断った日、チェンが取ったある行動がきっかけとなり、今度はチェン自身がいじめの標的にされてしまいます。特徴的なのは、いじめる側もまた何かに怯えているところ。その構造の複雑さがありありと伝わってきます。


優等生の少女と不良の少年が心ひかれ合うというのは、ともすれば少女マンガのよう。そこに社会問題が加わった今作では、2人の出会いがとても意味深いものに感じます。ある日、下校途中に不良同士のケンカに出くわしたチェンは、そこで一方的にやられていたシャオベイ(イー・ヤンチェンシー)を助けることで、彼との距離が縮まっていきます。周囲に心を閉ざし、受験の先にある未来だけを目指す孤独なチェンと、親に捨てられ、その日暮らしを続けてきたシャオベイ。2人の痛みが呼応する様子は切なく、けれども温かい気持ちにさせられます。共有しているものは孤独や悲しみですが、本来違う世界で生きてきた彼らが出会い、分かりあえたのですから。


この映画、最後までなかなか展開が読めないのも特徴で、前半と後半で雰囲気がかなり変わります。前半はとにかく受験の過酷さといじめの壮絶さを描いているのですが、途中もう一つの事件が起こることによって、サスペンスの要素も加わっていくのです。
主人公の2人とは別で印象に残ったのが、事件を捜査する刑事さん。職務の遂行と個人の感情の間で苦しむ様子がすごく人間的で、ここにも真摯な痛みがありました。大人たちが作った世界で苦しむ少年少女のストーリーですが、そこで抗っている大人たちも少なからずいる。いろいろなメッセージを感じる映画です。

『少年の君』7月16日(金)より新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマほか全国公開
配給:クロックワークス
©2019 Shooting Pictures Ltd., China (Shenzhen) Wit Media. Co., Ltd., Tianjin XIRON Entertainment Co., Ltd., We Pictures Ltd., Kashi J.Q. Culture and Media Company Limited, The Alliance of Gods Pictures (Tianjin) Co., Ltd., Shanghai Alibaba Pictures Co., Ltd., Tianjin Maoyan Weying Media Co., Ltd., Lianray Pictures, Local Entertainment, Yunyan Pictures, Beijing Jin Yi Jia Yi Film Distribution Co., Ltd., Dadi Century (Beijing) Co., Ltd., Zhejiang Hengdian Films Co., Ltd., Fat Kids Production, Goodfellas Pictures Limited. ALL Rights reserved. 

【編集マツコの 週末には、映画を。】
年間150本以上を観賞する映画好きの料理編集者が、おすすめの映画を毎週1本紹介します。

編集部・小松正和

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