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【編集マツコの、週末には映画を。Vol.95】『世界で一番しあわせな食堂』

2021.02.12


こんにちは。ふだんは雑誌『オレンジページ』で料理ページを担当している編集マツコです。
以前、外国人の友人が「日本って料理雑誌が多いね!」と驚いていました。しかも和食ではなく、外国の食べ物がたくさん載っていることも衝撃だったらしく。国や都市によって差はありますが、日本ほど新しいレシピというものを求める国はあまりないようです。
今作の舞台はフィンランド。ある外国人が自身の料理を通して、食に関しては保守的なこの国の人々と絆を深めていく、気持ちのよいストーリーです。そこには、分断が進む現在の世界に対する、監督の強いメッセージも込められていました。


福祉制度の充実や環境の良さなど、ポジティブなイメージの多い北欧諸国。中でもフィンランドは、3年連続で「世界幸福度ランキング」で1位となっています。この映画の舞台となるラップランド地方は、フィンランド最北に位置する、とっても美しい場所。ちょっとおとぎ話チックな展開なんですが、それがまた似合う土地なのです。ある日小さな村にやって来た中国人のチェン(チュー・パック・ホング)と息子のニョニョ(ルーカス・スアン)の親子。人探しをしている2人は、村の食堂で店主のシルカ(アンナ=マイヤ・トゥオッコ)や客に尋ねるも、手がかりはありません。途方にくれる2人に、シルカは自宅の部屋を提供してあげるのです。そんなある日、食堂にやって来たのは中国人観光客の団体。シルカが作るソーセージやポテトだけの食事に不満をもらす彼らに対し、即興でおいしい中華料理をふるまってみせたチェン。彼は上海の高級料理店で働いていた、腕ききの料理人だったのです。


チェンが作る料理はおいしいだけでなく、医食同源の知恵に基づいた健康的なもの。中国人観光客を呼び込むだけでなく、最初は「中華なんて」と懐疑的だった地元の客たちも、いつしか彼の料理に魅了されていくのです。
歴史の長短はあれど、どの国にも存在するのが、土地に根付いた料理。食文化を継承し続けることも大事ですが、チェンが人々の健康を気遣い、地元の食材と中華の知恵を合わせて作る新しい料理には、見ているだけで心打たれるものがあります。異なる文化が出会うことに意味があると、教えてくれます。中華の要素を取り入れた「トナカイ炒め」、なんておいしそう!
技術や効能を抜きにしても、食べる人のことを考えて作られた料理は、それだけで美しいなと思いました。


「世界一幸せな国」に住む人たちは、皆幸せなのでしょうか。チェン親子の過去とともに明らかにされる、シルカの過去。「ここにも問題はある」という彼女のセリフは、とても重みがありました。自然や制度に恵まれた国でも、そこに生きる人の生活は決しておとぎ話ではないことを教えてくれます実際、フィンランドは自殺率がけっこう高いんですよね。それでも、チャン親子をナチュラルに受け入れる姿に、やはりこの国の懐の深さを感じます。
監督の言葉を借りると、これは「人々をつなぎ合わせる映画」。国単位で考えると世界中で溝が生まれていますが、料理という日常の営みがあっさりその溝を飛び越える展開が、とても痛快ですね。

「世界で一番しあわせな食堂」 
2月19日 (金)新宿ピカデリー 、渋谷シネクイントほか、全国順次ロードショー
配給:ギャガ
©Marianna Films

【編集マツコの 週末には、映画を。】
年間150本以上を観賞する映画好きの料理編集者が、おすすめの映画を毎週1本紹介します。

次回2/19(金)は「MISS ミス・フランスになりたい!」です。お楽しみに!

文/編集部・小松正和

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