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【編集マツコの 週末には、映画を。Vol.57】「今見たい! 少年少女の頑張りに心打たれる映画」

2020.05.14

こんにちは。ふだんは雑誌『オレンジページ』で料理ページを担当している編集マツコです。
時間がある週末のおうち時間を楽しくしてくれる、おすすめ映画を紹介します。

幼さや若さゆえのひたむきな姿が胸を打つ、少年少女が主役の映画。ほっこりするストーリーからちょっぴり辛いエピソードまで様々ですが、見終わった後になんだか自分も少しピュアな気持ちを取り戻したような気になりませんか?
宗教や性差別に笑顔で立ち向かう少女、家族の愛情を受けてすくすくと成長する少年、ある日突然孤独にさらされる10代の若者……主人公がとにかく魅力的な、おすすめの3本をご紹介します!

『少女は自転車にのって』 2012年

【自転車のためならコーランも覚える! ステレオタイプを打ち砕くパワフルな少女の夢】

2018年、サウジアラビアで女性が自動車を運転できることになったというニュースが世界を駆け巡り、覚えている人も多いかもしれません。やはり自転車も数年前まで女性が乗るのは禁じられていました(今でも乗る場所は制限されているらしいです)。そんな社会のルールは一切気にしない10歳の少女が、幼なじみの少年とレースをするために自転車を買おうと奔走する痛快なストーリーです。

厳しい戒律で知られるサウジアラビア、しかも少女が主人公となると、ダークな内容を想像されるかもしれません。が、そんなイメージを覆すのが主人公のワジダ(ワアド・ムハンマド)の奔放ぶり。西洋音楽にかぶれるわ、制服の下にジーンズを履くわのおてんば娘で、ステレオタイプでない女性の描き方が、彼女の存在をがぜん身近なものとして感じさせてくれます。

自転車代を得るために、イスラムの聖典であるコーランの暗誦コンクールに参加するという展開も絶妙。「女性はこうあるべし」など社会の規範を示す内容を、社会に反抗する少女が暗記しようとするのですから。
これはサウジアラビアで撮影されたサウジアラビアの映画なのですが、なんと映画館の設置が禁止されていた本国でこの作品が上映されることはなかったとか。2018年には禁止が解かれ、映画上映が再開されたそうなので、また素晴らしい作品が生まれてほしいですね。

『少女は自転車にのって』
価格:DVD 3,800円+税
販売元:アルバトロス

『6才のボクが、大人になるまで。』 2014年

【喜びも悲しみも、すべてが愛おしい。同一キャストで撮影された、12年にわたる家族の軌跡】

タイトル通り、まさに6歳の少年が18歳になって大学に入学するまでを追ったファミリーヒストリーです。この映画がすごいのは、「時代ごとに役者を変える」手法を取らずに、すべて同一人物が演じているところ。映画と同じく12年をかけて撮られた作品だということです。まるでドキュメンタリーのように主人公の少年がどんどん大きくなっていき、大人たちが少しずつ年を重ねていく様子は圧巻のひと言。途中で子役がグレなくて良かった……。

ゲーム機やApple製品、ハリー・ポッターの巻数、さらには時の政権に関する大人たちの議論etc.時代の変遷を垣間見られる描写がいくつもありますが、そのすべてがリアル。両親の離婚に始まり、反抗期や初恋などを経験して成長する主人公メイソン(エラー・コルトレーン)の姿に、まるで親戚のおじさん(おばさん)になった気分で思わず目頭が熱くなってしまうのです。

お母さんは男運が悪く、お父さんはちょっと抜けている。でも子どものことをそれぞれの方法で愛している。パトリシア・アークエットとイーサン・ホークが演じる両親がどちらも完璧じゃないところが好感度大。それだけに、多くの人が共感できる普遍的なストーリーになっています。決して大事件は起こらず、でも見終わった後はとてもエキサイティングなものに出会った気分。人生における一瞬一瞬の大切さを教えてくれる作品です。

『6才のボクが、大人になるまで。』
価格:Blu-ray 1,886 円+税、DVD 1,429 円+税
発売元: NBCユニバーサル・エンターテイメント

『荒野にて』 2017年

【孤独を分かち合う少年と一頭の馬。走り続ければ、人生は前に進む】

母親は幼少の頃に家を出て、父親は愛人とのもめ事で命を落とす。15歳で孤児となった少年は、家計の足しにするために働いていた競馬場で出会った一頭の競走馬とともに、音信不通の伯母の元へと向かいます。タイトルの『荒野にて』が表す通り、それは雄大かつ厳しいアメリカの自然であり、困難の多い人生そのもの。セーフティネットからこぼれ落ちてしまうことがいかに簡単か、そんな今のアメリカの一面を映した作品です。旅の途中でさまざまな経験をし、少年は大人になっていく……。

走れなくなった競走馬の運命は想像するに難くありません。少年チャーリー(チャーリー・プラマー)がリーン・オン・ピート(馬の名前)を連れ出そうと決意した瞬間、もしかしたら彼は初めて自分の孤独を実感したのかもしれません。学校にも行っていなかったチャーリーはあまりにも無垢で、自分がどんな状況にいるのかも理解していなかったようにも思え、だからこそ切なさが込み上げてきます。

原野を渡り、都会にたどり着き、良くも悪くも今まで知らなかった自分の一面を見ることになるチャーリー。希望を見せつつ、決して分かりやすいハッピーエンドではない余韻ある終わり方が印象的でした。主人公を演じたチャーリー・プラマーがものすごくハマり役で、少年のあどけなさを残しつつ、大人の男の激しさを少しだけのぞかせる、撮影がもう1年早くても遅くても違っていただろうと思わせる絶妙な演技。俳優と役の縁も感じる映画です。

『荒野にて』
価格:DVD 1,143円+税
発売・販売元:ギャガ
© The Bureau Film Company Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute 2017


※ 価格等は2020 年 5 月現在の情報です。

【編集マツコの 週末には、映画を。】
年間150本以上を観賞する映画好きの料理編集者が、おすすめの映画を毎週1本紹介します。
文/編集部・小松正和

次回5/22(金)は「違いを乗り越える! 映画に見るダイバーシティ〈多様性〉」です。お楽しみに!

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