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自分で作る、選ぶ、運ぶ、食べる。やまのこ保育園の昼ごはん

2020.04.28

休校が続いていたり、保育園や保育施設もお休みになったり。小さなお子さんのいるご家庭はとくに、戸惑いやイライラが出てくることも多いでしょう。

こどもたちが集える場所や機会が限られ、家の中での遊びもやりつくし……。エネルギーあふれるこどもたちにしてあげられることは何だろう。大人も悩んで当然の状況です。

そんな現状へのヒントになるかどうか分かりませんが、以前訪れた、「生きるチカラ」にあふれる保育園のお話を……。

 

 

その保育園を訪れたのは、ある日のお昼どき。目にしたのは、おひついっぱいのご飯や大鉢に盛られたおかずを、めいめいに取り分けはじめるこどもたち。

 

 

なんと、保育園ビュッフェ形式の昼ごはん! 

園児たちは慣れた手つきで、自分が食べられると思う量を自分で考え、取り分けています。陶器やガラスの器を使っているのも、保育園では珍しい光景。

 

 

ここは、山形県・鶴岡市にある「やまのこ保育園」。保育室につながるキッチンで作られる給食は、山のもの、海のもの、旬を大切にしているそう。この日のメニューは、たらのトマトソースがけさつまいもと昆布の煮もの五目みそ汁ご飯

 

上手に盛れました! おいしそう!

地元産有機栽培の米や野菜を取り入れ、和食を基本に、豆や海藻いも野草を多く使っているのだとか。海も山も近い、山形・庄内地方の地の利を充分に生かしています。

 

「食」を保育の中心に位置づけている、やまのこ保育園。園内の畑でこどもたちが育てたものを収穫し、調理して、味わう。年間を通じてのさまざまな経験から、こどもたちは大きな自然のサイクルを感じています。

 

みそ汁は、週1回の「みそ汁作りの日の取り組みで作ったもの。年齢の異なるこどもたちで班を作り、野菜を切って、外のまきストーブ(!)で煮ています。

 

 

包丁を持つのと反対の手は、ねこちゃんの手だよ」と年上の子が年下の子にアドバイスする場面も。大人は目を離さず見守りますが、手は貸さず、こどもだけで料理。

 

 

ワゴン運びも、小さな幼児の頃から、日々の習慣に。お手伝いしながら、食に親しんでいます。

 

 

『おいしかった』『楽しかった』という小さなできごとが、こどもたちの記憶に残らなくても、感覚に残ってくれれば、それでいいんです」と、園長遠藤綾さん。

やまのこ保育園では、今を幸福に生きる」こと、「地球に生きているという感受性を育てる」ことを保育目標にしているのだそう。

 

食べるものから畑へ、森へ、海へとふだん見るものが大きく広がっていくといいなと思います」(遠藤園長)

 

 

外出を控え、不便なことも多い昨今ですが、こんな時だからこそ、日々のごはんにしっかり向き合えるときでもありますね。

お子さんが配膳や片付けをする習慣づけをしたり、親子でいっしょに料理をするのに絶好の機会ととらえてもいいかもしれません。

世界中のこどもたちが学校や園に集える日が早く戻りますように願いつつ、今は、家族で食を楽しむ時間を大切に過ごしていければ、と思います。

(この記事の取材・撮影は1月に行われました)

 

撮影/馬場わかな 取材/中村 円 文/編集担当・和田有可

(『楽しく食べれば、生きるチカラが身につく! こどもオレンジページ』より)

 

 

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