北信地域の伝統の味〈
やたら〉。いろんな野菜の豊かな風味が楽しめる“
夏野菜のふりかけ”を、
長野県出身の料理研究家・横山タカ子さんに教えてもらいました。
さっとあえるだけなのに、古漬けと生野菜の風味がなじんで、驚きの一体感。ごはんに麺に、魚に豆腐に……。何にのせてもおいしくなるのがすごいところ!
一度食べたらリピート決定です!
〈やたら〉って?
〈やたら〉とは、おもに長野県の一部地域で親しまれている郷土食のこと。古漬けと生野菜で作られているのが特徴です。
畑でとれた夏野菜を古漬けと細かく刻んでごはんにのせたら、「やたらにおいしかった」ということから名付けられたんだとか。
「やたらに何でも入れる」とか、「やたら刻む」から名付けられたという説もあります。
『長野のやたら』のレシピ
材料(作りやすい分量)
なす……1個
きゅうり……1本
みょうが……1個
青じその葉……5枚
ピーマン……1個
〈味つけ用の古漬け〉
なすの古漬け……1個
きゅうりの古漬け……1/2本
一味唐辛子……適宜
作り方
(1)生の野菜はすべて8mm角、なるべく細かいみじん切りにしてボールに入れ、さっと水洗いして水けを絞る。古漬けも同じように細かいみじん切りにする。
(2)(1)と一味唐辛子をあえ、清潔な密閉容器に入れる。冷蔵で2日間保存可能。
POINT漬物の量は目安で、好みの塩加減となるよう調整して。
何にでも合わせやすい〈やたら〉。とっておきのおいしい食べ方、ご紹介します~!
『やたらトマトそうめん』のレシピ
〈やたら〉とトマトジュースであえるだけ。夏野菜たっぷりの冷やしそうめん!
材料(1人分)
ゆでたそうめん……1束分
やたら(上記参照)……大さじ3
トマトジュース(有塩)……1カップ
ごま油……小さじ1
薄口しょうゆ……小さじ1
作り方
(1)ボールにトマトジュースとやたら、ごま油、薄口しょうゆを合わせる
(2)器にそうめんを盛りつけ、(1)を注いであえる。
『焼きあじのやたらあえ』のレシピ
焼き魚の食べ方に新たな一手。さばなど脂ののった青魚がとりわけ相性抜群です!
材料(2人分)
あじ……1尾
塩……適宜
やたら(上記参照)……大さじ3
作り方
(1)あじはぜいごと内臓を取って塩をふり、魚焼きグリルで焼いてほぐす。
(2)(1)とやたらをあえる。
野菜の食感と味わい深さがプラスされて、これはたまらん……!
アレンジの幅も広いので、ぜひいろいろ試してみてくださいね。
教えてくれたのは……横山タカ子さん

長野県在住の料理研究家。毎月一度、信州各地の農家を訪ねて発酵食や伝統料理を聞き書きし、現代の食べ方に合うようにアレンジして発信。信州の暮らしを次代に伝承する活動を続けている。最新刊は『わたしが元気なのはこれを食べているから 76歳、横山タカ子の食の知恵』(家の光協会)。