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介護歴20年。辛いと感じないための心得は?メイプル超合金・安藤なつインタビュー

人気お笑いコンビ『メイプル超合金』の安藤なつさん。芸能活動をする一方で、20年にわたって介護の現場で働いています。

介護福祉士になったきっかけややりがい、これから介護を始める人たちに向けてのアドバイスを伺いました。

「ありがとう」の言葉にプロも救われる

6歳のときに親戚が営む介護施設へ遊びに行ったことが、介護の世界に足を踏み入れるきっかけになったという安藤なつさん。さまざまな症状を抱える利用者とふれあう中、介護の楽しみを感じたそう。

―介護歴が20年も?

中・高生のときはボランティアやアルバイトとして叔父の施設で働き、ホームヘルパー2級の資格を取得してからは、夜間の訪問介護も数年間経験しました。

―これまでの介護経験で印象に残っているエピソードはありますか?

認知症を患うおじいさんの家を訪問したときのこと。私は小さな 折り鶴を折るのが得意で、それを自慢げにおじいさんに見せました。

次の週、再び訪れるとテーブルに大きな折り鶴が……! その横に添えられていたのは、ご家族からの手紙。そこには、私が帰った翌日におじいさんが自ら進んで折り鶴を折ったこと、その姿に家族が心からうれしくなったこと、そして「ありがとう」 という感謝の言葉が綴られていて、 おじいさんとご家族の「親子の時間」を少しでも取り戻すお手伝いができたのだと実感。

介護の仕事は決してラクなものではありませんが(どんな職業もですが)、あの日の「ありがとう」に、私自身の心も救われた気がしました。

ツライ・キタナイ・クサイ 介護はそれだけじゃない!

―介護のプロとして、これから家族の介護を始める人にアドバイスをお願いします。

私たちは仕事なので大変なことがあっても割り切れますが、ご家族のかただと感情を切り離すのがむずかしいもの。親のために……と自分の時間を割いて介護をし、大変な思いをされている人もいることでしょう。そんなときはどうか、私たちプロを頼ってラクになってください! 

最後にこの場をお借りして、現在介護職に就いている皆さんに、心をこめてエールを送らせてください。それとともに、介護の仕事にやりがいを感じ、この世界に飛び込んでくれる人が増えるとうれしいです!

ツライ! と感じないための〈なつ流・ 心得3カ条〉

一、自分の生活は、絶対に諦めない!
一、介護も勉強。知識を得ることが自分を助けると考えるべし!
一、第三者の手が、あなたを救う!

介護は一人で抱え込むものではなく、支え合いながら続けていくもの。安藤さんの経験が、介護と向き合う皆さんの力になりますように。

教えてくれたのは……安藤なつさん

1981年、東京都出身。2012年にカズレーザーさんとコンビを組み「メイプル超合金」を結成。お笑いタレントとして忙しく活躍する中、23年3月に介護福祉士の国家資格を取得。厚生労働省の補助事業「GO!GO!KAI-GOプロジェクト」 の副団長を務める。『 介護現場歴 20年。』(主婦と生活社) を24年に出版するなど、介護の仕事に興味を持ってくれ る人を増やすべく、鋭意活動中。

『オレンジページ』2025年12月2日号より)

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イラスト/ぱんとたまねぎ 取材・原文/和栗 恵 文/池田なるみ