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発酵バターを“飲むように”味わった夜。虎ノ門ヒルズで体験したフランス産バターの世界

目の前に現れた、こんもり山盛りの発酵バター。「こんなにたっぷり!」と驚きつつ、そのなめらかな質感と豊かな香りに期待が高まります。

虎ノ門ヒルズ内のLe Pristine Café Tokyoで開催された、欧州・フランス産バターのイベントに参加してきました。

夕暮れ時の虎ノ門ヒルズの建物外観
この日の会場は虎ノ門ヒルズ。夕暮れの街を眺めながら、フランス産バターの世界を体験するイベントへ向かいました。

今回のイベントは、CNIEL(フランス全国酪農経済センター)が主催する、欧州・フランス産バターの魅力を広く知ってもらうためのメディアイベント。テーマは「ヴィエノワズリー」。
クロワッサンやブリオッシュ、デニッシュなど、バターをふんだんに使ったヴィエノワズリーを味わいながら、フランス産バターの歴史や、その奥深い魅力に触れていきます。
ゲストシェフとして登場したのは、東日本橋「BEAVER BREAD」、虎ノ門「BEAVER BREAD BROTHERS」のオーナーシェフ、割田健一氏。

割田シェフによるフランス産バターを使ったパンや、ホテル虎ノ門ヒルズのシェフによるメニューも味わえるという、まさにフランス産バター尽くしのイベントです。今回参加したきっかけは、オレぺエディター向けイベントの募集でした。実は少し前から自宅で発酵バター作りに挑戦しており、発酵バターへの興味が高まっていたタイミングだったこともあり、
「これはぜひ参加してみたい」と思い応募しました。自分で作る発酵バターも十分おいしいのですが、本場フランス産の発酵バターを味わえるとなれば、期待せずにはいられません。イベント当日は、仕事をしていてもなんだかそわそわ。早々に仕事を終え、足早に会場へ向かいました。

ゲストシェフ・割田健一氏を紹介する、フランス産バターイベントのポスター
この日のゲストシェフは割田健一氏。会場では、フランス産発酵バターの魅力に触れる貴重な時間を過ごしました。

洗練された空間で始まる特別な時間
照明が作る陰影を生かした演出が印象的で、昼間とはまた違う、ぐっと大人の雰囲気。何度か訪れている場所なのに、夜になると、どこかラグジュアリーな虎ノ門らしい表情を見せてくれます。「こんな雰囲気だったんだ」。そんな新鮮さもあって、イベントがますます楽しみになってきました。受付を済ませると、まず目に飛び込んできたのがウェルカムドリンクのスパークリングワイン。美しく整然と並ぶワイングラス!仕事終わりにこの光景。これだけでテンションアップ。そして、まずはスパークリングで「Cheers!」。この一杯が、やっぱり格別です。さっきまで仕事をしていたことも忘れ、気分はすっかり非日常の世界へ。

思い切って手を挙げたクロワッサン成形体験
イベントでは、割田健一氏によるクロワッサン成形のデモンストレーションが行われました。なんて贅沢!
この日は、割田シェフから発酵バターやパン作りについてのお話を伺いながら、目の前でクロワッサン作りが進んでいきます。インタビューの途中、「発酵バターを使用した生地は時間との勝負」「せっかくの生地が溶けてしまう」とのことで、急遽クロワッサンの成形へ。そして、参加者も実際に成形を体験できることになり「こんな機会は滅多にない!」と、思い切って手を挙げて参加することにしました。

実際に触れた生地は、想像以上に繊細
いざ、生地を目の前にすると、ちょっと緊張。そおっと触れてみると、しっとりとしていて、驚くほどやわらかい。

「手の温度でバターが溶けちゃいそう」

そう思うと、触れる指先にも自然と力が入ります。幾層にも折り込まれたバターの層を崩さないよう、そっと、でも手早く。のんびりしてはいられない。でも、雑にも扱えない。
「時間との勝負」という割田シェフの言葉を、身をもって実感しました。普段は何気なく食べているクロワッサンですが、実際に生地に触れてみると、あの美しい層を作り上げるのに、どれほど緻密な作業が必要なのかがよくわかります。
そして、今度は食べてびっくり。試食でいただいたクロワッサンは、私が普段食べているものとはまったく印象が違いました。重厚で、濃密。私の中にある「軽やかなクロワッサン」とは、まるで別物なんです。幾層にも折り重なった生地にはしっかりとした存在感があり、噛むほどにバターの豊かな香りが広がっていく。一口ごとの満足感が大きいのに、不思議とまた次の一口が欲しくなる。思わず、うなってしまいました。

両手でクロワッサン生地を成形している様子
私もクロワッサンの成形に挑戦! 生地をくるくると巻きながら、あの美しい形に仕上げていきます。
皿に盛られた、つややかな焼き色と幾重にも重なる層が美しいクロワッサン
幾重にも重なる美しい層にうっとり。ひと口ごとに発酵バターの豊かな風味が広がります。

バターを「飲むように食べる」日が来るなんて!
今回のイベントで最も印象に残ったのは、フランス産発酵バターそのものの試食です。目の前に並べられたバターの量は圧巻!
「こんなに山盛りのバター、見たことがない」そう思いながら口に運んだ瞬間、そのおいしさに驚かされました。

「濃厚なのに重くない。」

バターをたっぷり食べたときに感じるような脂っぽさが口の中に残らず、すっとほどけていきます。そして、芳醇な香りと深いコクが口いっぱいに広がる。ひと口食べると、またひと口。気がつけば、まるで飲み物を楽しむかのように次々と口へ運んでいました。まさか人生で、発酵バターを飲むように食べる日が来るとは思ってもいませんでした。

発酵バターのおいしさを一番実感
発酵バターのおいしさを一番実感したのは、カンパーニュと一緒にいただいたときでした。スライスされたカンパーニュに発酵バターをのせる。組み合わせとしては、決して珍しいものではありません。ところが、ひと口食べてみると、これが驚くほどおいしい。カンパーニュの小麦の風味に、発酵バターの豊かな香りとコクが重なる。シンプルな組み合わせだからこそ、発酵バターのおいしさが、よりくっきりと感じられたのかもしれません。あの味わいを思い出すと、今でも口の中によみがえってきます。

カンパーニュにたっぷりの発酵バターを塗っている様子
カンパーニュに発酵バターをこれでもか!というほどたっぷりと。こんな贅沢な味わい方ができるのも、このイベントならでは。

「はぁ、また食べたい。」

一口食べてはバターを塗り、また一口食べてはバターを塗る。気がつけば、「もう少しだけ」「あと、もう少しだけ」と、塗り重ねる手が止まりません。

パンを食べるためにバターを塗っているのか、
それとも、バターを食べるためにパンが必要なのか。

だんだん、わからなくなってきました。発酵バターそのものを味わうなら、むしろシンプルなカンパーニュが一番なのかもしれません。普段はあまりパンを食べない私ですが、この日ばかりは別。「食べなきゃ損!」と、ついつい手が伸びてしまいました。

ヴィエノワズリーで広がる発酵バターの世界
会場では、フランス産発酵バターを使ったブリオッシュなども供されました。クロワッサン、そのまま味わう発酵バター、カンパーニュ、そしてブリオッシュ。これだけバターを味わっているのに、不思議と飽きません。同じ発酵バターでも、生地や組み合わせによって香りや食感、味わいの印象が変わるのが面白い。食べるたびに違った表情を見せる発酵バターに、ますます引き込まれていきました。もちろん、食べてばかりではありません。イベントでは、フランス産バターの歴史や魅力についてのお話もあり、後半には「Butter Cup Quiz」というクイズ大会も開催されました。気軽なクイズかと思いきや、これが想像以上に本格的。フランス産バターの歴史や製法、生産に関する問題が次々と出題されます。自宅で発酵バターを作っているくらいだから、少しくらいはわかるかも。なんて思っていたのですが、甘かった。勘頼りの私には歯が立たず、早々にリタイア。発酵バターを作ったことはあっても、その背景にあることを、私はほとんど知らなかったのだと気づかされました。おいしい、おいしいと食べているだけでは見えてこない世界が、バターの向こう側にはありました。

最後に明かされた驚きの数字
イベントの締めくくりに、主催者から思わぬ一言がありました。
この数時間で、会場全体で摂取したバターの量は、なんと約3kg!
「3kg!?」会場からは驚きと笑いが起こり、私も同行者と思わず顔を見合わせてしまいました。確かに、発酵バターをそのまま味わい、カンパーニュにはたっぷり塗り、クロワッサンやデニッシュでも存分に堪能しました。

それにしても、3kgって…
数字で聞くとなかなかのインパクトです。さっきまで発酵バターのおいしさに夢中になっていたのに、そのひと言で急に現実に引き戻されました。
「これは少し歩いたほうがいいかな…」
そう思い、帰りは一駅分歩くことに。もちろん、3kgは会場全体の話。私ひとりで3kg食べたわけではないけれど、それでも歩かずにはいられませんでした。

発酵バターのお土産も
帰りには、発酵バターのお土産までいただきました。自宅で発酵バター作りを楽しんでいる私にとっては、これ以上ないほどうれしいお土産。あれだけバターを食べた後なのに、「さて、どんな料理に使おう」と、もう次のバターに思いを巡らせています。さっきまで「3kg」に驚いていたというのに。喉元過ぎればなんとやら。口溶けのいい発酵バターのように、3kgの衝撃もすっかり溶けていました。

夜の虎ノ門を歩きながら、この日のことを思い返しました。そもそもの始まりは、自宅で発酵バターを作ってみたこと。そこから興味が広がって、オレンジページの募集に応募。そしてこの日、本場フランス産の発酵バターを存分に味わうことになりました。割田シェフの手元を間近で見ながら、そおっとクロワッサンの生地に触れたこと。目の前に現れた山盛りの発酵バターに驚いたのに、気がつけば飲むように食べていたこと。カンパーニュには「もう少しだけ」と何度もバターを塗り、クイズでは自分の知らないことの多さに愕然としたこと。思い返せば、2時間ほどの間に、ずいぶんいろいろなことがありました。でも、結局いちばん心に残っているのは、

「発酵バターって、こんなにおいしいんだ」

という、とてもシンプルな感動です。知れば知るほど奥深い。そして、食べれば食べるほど、また食べたくなる。実際、あれだけ食べたというのに、今こうして書いているそばから、あのカンパーニュと発酵バターが頭に浮かんできます。
「はぁ、また食べたい。」
お土産のバターを手に、一駅歩いて帰った夜。なんともバターに振り回された、忘れられない、とろけるような夜になりました。

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