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井上咲楽のすこやか発酵ごはん

陶器の街・益子町生まれ。幼いころから料理に親しみ、実家の台所や食卓にはつねに「発酵食品」があった……。そんな井上咲楽が、自家製の調味料や、お気に入りの発酵食品などを紹介していく「発酵ごはん」連載です! はつらつとした彼女のすこやかさの秘訣がここにアリ!?

井上咲楽、新車で実家・益子へ!自分の車で「みそづくり帰省」をする日が来るとは。

井上咲楽のすこやか発酵ごはん

今年もみそづくりの季節がやってきた。私は1月に買った車で東京から益子へ帰る。帰宅して玄関のドアを開けると、母がテレビのラジオ体操をしながら「お帰りー! 混んでた?」と迎えてくれた。ひと息ついて母の作ったサンドイッチ、おはぎ、漬けもの、というチグハグな組み合わせの昼ごはんを食べて、いよいよみそづくりスタート!

煮込まれた大豆!
味噌仕込みの道具
台所で仕込み中の母

父・母との3人でのみそづくり

昨年同様、父と母と私の3人でつくることに。去年は大豆2キロと例年に比べると少量でつくったみそだったが、足りたらしい。4キロで作っていたときもあったので、それを考えると家から家族が減ったなあという感じがした。3番目の妹と私は上京していて、次女は月の半分くらいは家にいない。父、母、いちばん下の妹だけでごはんを食べることがほとんどなので、みそが減るスピードもゆっくりになる。数年したらその妹も家を出るかもしれないし、そうしたらついに父と母だけでこの家に住むのかもしれない。家族の形は少しずつ変わっていくことを、みそを通して考えさせられる。

煮豆に麹を加えたら、煮汁を加えて柔らかさを調整
ひたすら混ぜる!
これが味噌だま

みそづくりはスムーズに進んだ。テーブルにビニールを敷き、ゆでた大豆をつぶして麹と塩と混ぜ、空気を抜いてポコポコと容器に投げ入れていく。固まっている麹を指でほろほろとくずす、母お手製の布袋に豆を入れてゴム製のハンマーで大豆をつぶす、など単純作業が楽しい。肌がツルツルになる作業でもあるので、率先して大豆や麹を混ぜにいく。
昨年父は肉離れで松葉杖をついていたが、今年は元気だ。よかった。

父と一緒に詰めていく
仕上げはお母さん

母は昨年は「みんなでみそをつくれないならやらなくても……」とみそづくりに消極的だったが、今年はやる気があるみたいだ。そして私は車を買った。まさか自分の車で帰ってくる日が来るとは、1年前は思いもしなかった。日付はいっしょではないが、同じイベントを過ごすことで、昨年のことを思い出せていいなあ。

塩で重石!

みそづくりお疲れ様会ならぬ、妹の20歳記念飲み会

みそづくりが終わったら少しゆっくりして、妹たちとみんなで益子の居酒屋へ。前の晩に母から「夜、みんなで飲みに行かない?」とラインが来て、珍しく外でごはんを食べることになった。井上家ではとても珍しい。3番目の妹は都合がつかず来られなかったが、家族5人でも珍しい。みそづくりのお疲れ様会かと思いきや、3番目の妹が20歳になってお酒が飲めるようになったからその記念だという。
「今日は3番目の妹が来られないのにどうしてなんだ……みそづくりお疲れ様会でいいのでは?」と謎は尽きないが、両親はいたってまじめな顔で「20歳記念」と言っていたので深掘りするのをあきらめた。

食事中、いつもテーブルとキッチンを行き来している母が思う存分ゆったり飲んで、顔を赤らめている姿を見られてうれしい。帰りは代行を呼んで、21時15分には帰宅し、21時30分には父は寝ていた。私もやることをすませて布団に入り、一日を振り返る。

相変わらずゆでたてのほくほくな大豆のつまみ食いはおいしかった。今年もみそづくりができてホッとした。いつまでもこんな日常が続けばいい。いつまでも、「いつものこと」と言っていたい。
自分も妹たちも、生活は少しずつ変わっていくし、両親は老いていく。みそを家族で作れなくなってしまったときに、もっとやっておけばよかったと後悔しないように、「いつもの」ささやかなイベントをできるときに大切にこなしていきたい。

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PROFILE

井上咲楽(いのうえ・さくら)
1999年、栃木県生まれ。2015年「第40回ホリプロタレントスカウトキャラバン」を経て芸能界入り。「おはスタ」「新婚さんいらっしゃい!」など、バラエティで見せる明るいキャラで人気を博す。NHK大河ドラマ「光る君へ」に出演。2024年5月『井上咲楽のおまもりごはん』、11月『じんせい手帖』、2025年10月『井上咲楽の発酵、きょう何作る?何食べる?』を出版。「発酵食品ソムリエ」資格、「食品衛生責任者」の資格も持つ。

文・写真/井上咲楽 バナー・プロフィール画像/大森忠明