同居が正解とは限らない?親と離れて暮らしていてもできる介護とは/介護のプロが解説
久しぶりの帰省で、親の変化にふと気づく。そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。離れて暮らしているほど将来への気がかりは増えていきますが、無理に呼び寄せたり同居したりすることが、必ずしも安心につながるとは限りません。
今回は、「となりのかいご」代表理事・川内潤さんに、離れて暮らしたままでできる介護への向き合い方を教えていただきました。
離れて暮らしたままで、できる介護を考える
親と離れて住んでいる場合、住み慣れた地元や友人から離れたくな いと考える親も多いもの。焦って呼び寄せたり同居したりして親の生活を大きく変えることで、かえって不安が強くなることもあります。 離れていることをメリットだととらえ、同居を考える前に互いに冷静になり、じっくり考えてみましょう。
ココがポイント!
親との距離は、元気なときと変えないのが理想的
さまざまなケースを見てきた川内さんは、〈 親が元気なときの距離感を保つ 〉ことをおすすめしています。「同居がQOLを高めるかというと、そうともいえません。可能なかぎり、互いが気楽に暮らせる距離を保ちましょう」。
おすすめの遠距離対策
見守りwebカメラ

高齢者の日常を見守るための対策として、広がりを見せている見守りwebカメラ(ネットワークカメラ)。自治体によっては設置費用の一部を負担するなど助成金が出ることも。
介護帰省割引割引

介護のために帰省する際、航空運賃が安くなる制度を設けている航空会社も。事前に戸籍謄本等や要介護(要支援)の証明書を提出する必要があるので、各航空会社に確認を。
バリアフリーにリフォーム

階段をスロープにしたり、手すりをつけたり。住居をバリアフリーにリフォームするのも離れて暮らす親の支援に。国や自治体から、費用の助成を受けられることがあります。
年末年始の帰省は、親子それぞれの暮らし方を見直す絶好のタイミング。「どこで暮らすか」よりも「どう支え合うか」。その視点を持つだけで、介護のハードルはぐっと下がるかもしれませんね。
教えてくれたのは……川内 潤さん
川内 潤さんNPO法人となりのかいご代表理事。上智大学文学部社会福祉学科卒業。老人ホーム紹介事業や在宅・施設介護職員を経て、2008年に市民団体「となりのかいご」を設立。親の介護をわかりやすく記した共著『親不孝介護 距離を取るからうまくいく』(日経BP社)は、介護に悩む多くの読者から共感を得ている。
監修/川内 潤 イラスト/ぱんとたまねぎ 取材・原文/和栗 恵 文/池田なるみ








