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猫沢エミことマダム・サルディンヌの「おいしい処方箋」

「40代後半になってどんどん友人が少なく。どうしたらいい?」猫沢エミさんのお悩み相談第1回

2023.03.12

悩みとは生きている証拠。だれもが大なり小なり抱えているお悩みに、マダム・サルディンヌこと猫沢エミさんが真摯に、時に愉快にお答えします。

今月の迷えるお悩み

現在40代後半にさしかかり、友人関係がわずらわしく感じることが増え、自分から疎遠にしていたら、友人がかなり少なくなりました……。自分の考え方しだいだということはわかっているのですが、お友達の多いエミさんは、友人関係についてどのように考えていますか?
Lara(40代後半女性・メーカー勤務・東京都)


「他人の友達」は多く感じるもの

猫沢エミさんこんにちは。あなたのお悩みの友、マダム・サルディンヌです。

まず、初めに……“隣の芝生は青く見える”のと同じく、なぜか“他人の友達は多く感じる”ものです。そして、一見華やかに見える人ほど、心を開ききって話せる友達は限られているものです。私は一介の小市民で、華やかなことなど稀有(けう)な生活を送っておりますが(そう見えるのはSNSの使い方が上手なだけです!笑)やはり、真の友達と呼べる人は非常に限られています。そして、あなたと同じく年齢を重ねるにつれて友人関係がどんどん狭まっているのも事実。

年齢を重ねて、友人関係が狭まるのは自然なこと

なぜか? それだけわれわれは長く生き、自分の指針や好き嫌いがはっきりしてしまって、若いころのように、多少気が合わなくても人とつきあうことにエネルギーを注げなくなってしまっているからなのです。初対面から数回で、他者に対して自分との違いを見抜けるようになってしまったため、人間関係を深追いしなくなる。それはある意味とても自然な“経験値がもたらす、残された人生時間の節約”といえるかもしれません。そう。われわれに残された時間は、もうそんなに多くはない。だからこそ、大切な人にだけエネルギーを注げるように、自然と友達関係は狭まるものなのです。

人間関係のみならず、モノの選択も同じく。ちょっと振り返ってみましょうか。たとえば自分に似合わない服を、これまでどれだけ買ったことでしょう。しかし、これはムダ使いなどではなく、似合わない服を繰り返し着て、似合わないことを知る、という経験をお金で買ってきたってことなんですよね。これと同じく、自分とは合わない人とつきあってみる、ということを若いころにやっていないと、本当はどんな人と自分が気が合うのかわからないものだから。

人はじかに会わないと、ネガティブ思考にとらわれがちに

あなたのお悩みを読んだとき、父を亡くした後の私の母の姿を思い出しました。彼女は、昭和のマッチョ思考のかたまりのようだった父に行動を制限され、晩年、友達をつくるのがむずかしかった。そのため、一人寂しく暮らすしかすべがありませんでした。しかも、長いこと家族以外の人と深く接してこなかったせいで、他者に対して必要以上の猜疑心が生まれてしまっていて、私がいくらすすめても、社交の場に行ってみようという気すら起こしませんでした。

問題はここなのです。人間はじかに人と会わないでいると、よからぬ妄想が生まれ、実際はそんなことないのに、あの人はきっと私のことをよく思っていないだろうという、ネガティヴな暗黒面にひっぱられてしまう。母は晩年、まさにこの暗黒面にのみ込まれてしまっていたんですね。

人生の財産は、数量ではなく質

私も物書きなどという職業柄、人一倍妄想が大きく(まあ、妄想でめしを食っているようなものなので。笑)、自分の心のコンディションによって、暗黒面がぽっかりと口を開けることがたびたびあります。そんなとき、何もかもを横に置いて、友達にじかに会いに行く。ネット社会が浸透すればするほど、この暗黒面に引きずられる人が増えていくのではないかと予想します。

でも、ネット社会の進化のスピードと、人間本来の進化のスピードはまるで違っていますから、この格差はこれからもどんどん広がることでしょう。だからこそ、もっと直接人と会わなくてはいけないと肝に銘じています。そして、50歳を超えても私といっしょにいてくれる友達は、人生の財産だと思っています。人生の財産は数量ではありません。質です。だから、そばにいてくれる友達を大切にしてあげてください。そして、限られた友達を大切にしていると、たいてい良縁が広がっていきます。それは、若いころのように全方位に向かって広がるものではなく、自分の好きな世界、感覚の方向にだけ広がっていくのです。

心がかたくなったら、体をほぐしてみて

どうぞ、ご安心を。あなたのお悩みは、とてもナチュラルな“経験値から生まれる自然の選択”です。ただし、年齢を重ねるごとに体と同じく、心はかたく、意固地になりがちです。私は毎晩就寝前に、ストレッチをしています。体がかたくなると、連動している心もかたくなりがち(というイメージを持っています)なので、深呼吸しながら体をほぐす。そして暗黒面を退けて、大切な友達の笑顔を思い浮かべながら眠りにつくのです。意外と効きますよ! よろしければやってみてくださいね。

ゴット・ブレス・ユー♡



そんなあなたへのマダムの処方箋
小さな幸せを味わえる
「シナモンバナナヨーグルト」

マダム・サルディンヌの『シナモンバナナヨーグルト』
材料(1人分)
バナナ……1/2~1本(お好みの量で)
プレーンヨーグルト……1カップ
はちみつ(またはメープルシロップ、さとうきび糖)……適宜
シナモンパウダー……適宜

作り方
バナナをナイフでちょんちょんと薄く切り、お皿に盛ったら好きなだけヨーグルをのせ、はちみつをかけて、仕上げにシナモンをふればでき上がり。

効能:シナモンは香りがいいだけでなく、植物性たんぱく質由来の抗酸化物質がたくさん含まれています。これは善玉コレステロールをアップする力がある。 

そして、肝心のバナナ。幸せホルモンの異名をとるセロトニンの材料・トリプトファンが含まれています。人に対して猜疑心が無性にわく……なんて日に、私はこのシナモンバナナヨーグルトを食べます。

ちなみにヨーグルトにもトリプトファンが含まれているのでバッチリ。腸内環境を整えると体全体が整い、ネガティヴな思考を抑えてくれるのです。


猫沢エミさん

猫沢エミ(ねこざわ・えみ)

2002年渡仏。2007年より10年間、フランス文化に特化したフリーペーパー《BONZOUR JAPON》の編集長を務める。超実践型フランス語教室《にゃんフラ》主宰。著書に「ねこしき」(TAC出版)、他多数。最新刊・愛猫イオとの物語「イオビエ〜イオがくれた幸せへの切符」(TAC出版)が昨年12月に発売されたばかり。インスタグラム@necozawaemi


猫沢さんへのお悩み相談募集中です!

猫沢エミさんへのメッセージ、質問、悩み相談は随時受付中。小さなものから大きなものまで、ジャンルは問いません。今気になっていることを、お気軽にどうぞ♡

文・料理写真/猫沢エミ イラスト/イナキ ヨシコ プロフィール写真/馬場わかな 関めぐみ

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