close

レシピ検索 レシピ検索
からだのキーワード

最近、急増中。帯状に水ぶくれが広がる病気『帯状疱疹』を知っていますか?【からだのキーワード】

2023.09.19

雑誌やテレビなどでときどき耳にする、からだの不調や病気などにまつわるキーワード。気になるものをピックアップし、医師が詳しく解説します!

最近、急増中。帯状に水ぶくれが広がる病気
『帯状疱疹(たいじょうほうしん)』とは?

水ぼうそう感染後、体内に残るウイルスが原因に。
合併症の危険も。

帯状疱疹という言葉を聞いたことがある人は多いと思いますが、最近この病気になる人が増え、あらためて注目が集まっています。この病気は、その名のとおり、体に帯状の疱疹(水ぶくれ)が広がります。最初は赤いブツブツとした発疹ができ、その後、水ぶくれになりますが、これらの皮膚症状が現れる数日〜1週間ほど前にピリピリと刺すような痛みが出るのが特徴。症状は体の左右どちらか片側に限られ、特に出やすい部位は胸や顔。ほかに腕、おなか、太もも、背中などさまざまです。

「帯状疱疹」を発症する人

帯状疱疹は、子どものころに水痘・帯状疱疹ウイルス(VZウイルス)に感染し、水ぼうそうになったことがある人が発症します。水ぼうそうが治った後もウイルスは体内に潜みつづけ、加齢や疲れ、ストレス、病気など何らかの原因で免疫力が下がったときにウイルスが再び暴れだし、帯状疱疹になるのです。50歳以降に多く、ピークは70代で、80歳までに3人に1人はなるといわれています。

大人の帯状疱疹が増えている背景

現在、日本人の成人の約9割にVZウイルスが潜んでいるといわれています。VZウイルスの活動を抑える免疫力は加齢などにより少しずつ低下しますが、水ぼうそうの子どもの世話をすることで大人の体にも新たにVZウイルスが入ると免疫力が再び強化されます。ですから身近に水ぼうそうの子どもがいた昔は、大人の帯状疱疹は発生しにくい状況でした。ところが近年、水ぼうそうワクチンの定期接種化により水ぼうそうになる子どもが激減。そのため帯状疱疹になる大人が増えているのです。また、新型コロナウイルス感染後や、新型コロナウイルスワクチン接種後は免疫機能が乱れ、帯状疱疹になりやすいという報告もあります。

注意点と合併症について

帯状疱疹は3週間ほどで自然に治ることもありますが、一方で悪化のスピードが速いので要注意。発症後4日ほどで水ぶくれがうみのたまった膿疱(のうほう)になり、6〜8日目で潰瘍(かいよう)に。このときようやく皮膚科を受診する人が多いですが、この段階では皮膚の損傷が激しく、治療をしてもあとが残りやすいです。また、60歳以上の人は特に帯状疱疹が治った後も神経痛が残りやすいので注意が必要。さらに、顔や頭に症状が出ると合併症を起こしやすく、顔面神経麻痺、難聴、脳炎などになったり、角膜炎を起こして失明する場合も。

治療と予防のために

抗ウイルス薬で治療が可能。
とにかく早めの受診が重要です。

帯状疱疹は抗ウイルス薬の服用(重症の場合は点滴)を1週間ほど続けて治療をします。初期に治療をすれば、合併症も防げて、あとも残らず治るので、帯状疱疹かなと思ったら早めの受診が肝心。皮膚科のほか、最近は内科でも診療可能ですが、皮膚科なら皮膚の処置もできます。痛みがひどいならペインクリニックの受診も選択肢のひとつです。

また、帯状疱疹には予防ワクチンもあります。帯状疱疹予防専門のシングリックスというワクチンで、2回の接種が必要。2回で5万円ほど費用がかかりますが、効果は10年間続きます。帯状疱疹を防ぐためには、疲労やストレスなど免疫力が下がるような生活習慣を避けることが大切ですが、なかなかむずかしい場合も多いと思うので、50歳以上の人や仕事が多忙な人などは特にワクチンの接種がおすすめです。

教えてくれたのは……本田まりこ先生
神奈川県・鶴見区の「まりこの皮フ科」院長。東京慈恵会医科大学皮膚科客員教授。日本皮膚科学会専門医。アトピー性皮膚炎のほか、帯状疱疹、単純ヘルペスなどのウイルス性皮膚疾患が専門。監修書に『帯状疱疹治療大全』(講談社)がある。

構成・文/和田美穂 イラスト/山中玲奈 

関連タグでほかの記事を見る

SHARE

ARCHIVESこのカテゴリの他の記事

TOPICSあなたにオススメの記事

記事検索

SPECIAL TOPICS


RECIPE RANKING 人気のレシピ

PRESENT プレゼント

応募期間 
2024/10/23-2024/11/12

「Contrex Green (コントレックス グリーン)」プレゼント

  • #食
  • #健康

Check!