フード撮影日で、特に印象的だった回を教えてください。
藤代さん「肉って切るまで霜ふりぐあいまでわからない。これってトラップですよね(笑)」藤代:なんといっても第10話「焼きしゃぶ」の回! 霜ふりトラップに泣かされました(笑)。
松本:追加で買った分の肉の霜ふりのぐあいが違ったという……。
藤代:メイン撮影の翌日にフード中心の撮影があったんですが、同じお店で同じ肉を買ったはずなのに、肉の霜ふりぐあいが違ったんですよね。赤身がちょうどいい部分が半分くらいで、もう半分は霜ふりぐあいがぜいたくすぎて。撮影中に「たりない!」って。
松本:で、伝説の
霜ふりダッシュ(笑)。
藤代:結局、シーズン1でもお世話になった勝どきの肉屋さんまで、スタッフにダッシュしてもらいました。
松本:往復で40分ね。この回は
肉の予算が想定の3倍になっちゃった(笑)。撮影中ダッシュは、ほかにもあったよね。
藤代:紅しょうがダッシュですね。いざ袋から出して食材の上にのせてカメラを通して見たら「色が薄い! これじゃダメだ」って。ほかにもねぎダッシュとか、小麦粉ダッシュとか、フードチームはけっこうダッシュしてる(笑)。
松本:野菜の大きさでも苦労してなかった?
藤代:ありました。メイン撮影のときとフード撮影のときで、売ってるゴーヤーの大きさが違って。「どうしましょう?」って買い出し担当が半泣きで売り場から電話してきて。「なるべく近いのにして」って。
松本:季節の野菜は、出荷日が違うとけっこうサイズが変わったりするんだよね。撮影現場ってしっかり準備してるわりにハプニングが多くて、おもしろいよね。
松本さん「登場する料理にはどれも思い入れがあります」
私たちに「おいしそう!」というトキメキを届けてくれる「晩酌の流儀」。最後に読者にメッセージをお願いします。
松本:お酒とか食べ物とか、何かひとつでもこだわると毎日が楽しくなりますよね? 美幸の晩酌でのこだわりの一つは、缶の数だけグラスを冷やすこと。これは自分でも何年も前からやってたことで、あとは僕も美幸同様金麦が好きなんですけど、自分の推しの商品とか、お酒の種類ごとにグラスがあったりするのも楽しい。
〈自分ルール=流儀〉の楽しさをおもしろがって見てもらえたらうれしいです。
藤代:「おいしい」って、
料理と同じでセオリーはあるけど正解はないんですよね。自分の流儀で晩酌を楽しめば、より明日への活力につながる気がします。今作ではおいしそうに見えることはもちろん、レシピが伝わるように工夫しながらシーン撮りをしているので、ぜひ、まねして作ってみてください。ドラマの一品で晩酌していただけたら、料理人としての冥利に尽きます!
朝、金麦とグラスを冷やすのが美幸の流儀。グラスを冷やすだけでおいしさがアップ!「晩酌の流儀」の屋台骨ともいえる料理についてうかがった前後編、いかがでしたか?
制作のエピソードを知ると、いっそうフードシーンに注目したくなりますね!
今日は貴重なお話、ありがとうございました。
〈PROFILE〉松本 拓(まつもと・たく)テレビ東京プロデューサー。「警視庁ゼロ係」シリーズ、「銀と金」「ゲキカラドウ」「ただ離婚してないだけ」など、話題作を手がける。今7月期は「週末旅の極意」も放送。
藤代太一(ふじしろ・たいち)俳優・フードコーディネーター。ドラマ「ミリオンジョー」「雪女と蟹を食う」、映画「喝 風太郎‼」などに出演。調理師免許を持ち、フードコーディネーターとして「ゲキカラドウ」「晩酌の流儀」シリーズに参加。
>>前編「話題沸騰ドラマ「晩酌の流儀」の裏側がすごい!こだわり〈フード〉ができるまで」はこちら
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