
2016.12.13
最近奈良市内で注目を集めているのが、奈良公園に隣接する「高畑」「きたまち」の2エリア。感度が高いと噂のこの2つの街を、奈良公園で出会った鹿といっしょにご案内します。
「さあ、出発!」
「高畑」エリアはその昔、春日大社の宮司さんや文人、芸術家たちが居を構えた地。今でも土塀や見事な甍が連なる、風光明媚なところです。住宅街を眺めながら鹿のあとをついていくと……。
「空櫁(そらみつ)」
路地の奥には古い民家を使用した一軒のお店。目の前に広がる木々や畑の緑をバックに、作家さんたちの生活雑貨がセンスよく並べてあります。そのたたずまいの素敵なこと。
「えっ、小腹がすいた?」
けっこう歩くんです。このあたり。「シカたないな」と鹿が連れて行ってくれました。
「空気ケーキ」
店名を冠した、その名も「空気ケーキ」3種。スポンジも間のムースもふわっふわ! 新食感! 甘さ控えめで、大人な雰囲気の街にぴったり!
「満足した? じゃ、次ね」
鹿せんべいを持たない人間を、クールなまなざしで見つめる鹿の間をぬうように、奈良公園を突っ切ってたどり着いたのは、「きたまち」。ここ5年ほどで、長屋や民家を改装した味のあるカフェや雑貨屋さんなどが続々誕生している、通なエリアです。
「ここ、女子にはたまらないお店」
民家かと思いきや、お店とは。「おじゃましま~す」と入ってみると、カタカタカタとミシンの音が。女性二人組みの作家さんたちが作業中。
「Fu-ra」
店内にはお二人作のレッグウェアやエプロン、ストールなどがかわいらしく飾られ、使い方、着こなし方から近所のいいお店まで教えてくれました。
「えっ、またおなかすいたの?」
「ここシカない!」と案内されたのは、映画のセットのような建物。
「工場跡事務室」
乳酸菌飲料の工場だったところを改装したカフェ。鹿の焼印が押されたもりもり野菜のコロッケパンで締めくくり。
「じゃあ帰るけど、あシカらず」
そう言い残し、案内を終えた鹿は、道の向かいの奈良公園に帰っていきました。のんびり散歩するのにぴったりな2エリア。メインストリートの「ならまち」と大仏だけじゃない、奈良の街の新しい魅力を見つけに行きませんか?
もちろん、もれなく鹿と出会えますよ。
撮影/内藤貞保 文/編集・安齋
(『オレンジページ』2016年12月17日号より)
記事検索