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【イチからわかる腸活】夏の腸活は、甘酒におまかせ!

2021.07.25

 

日本の発酵食品といえば、みなさんは何を思い浮かべますか? 

 

実は甘酒も「こうじ菌」によって発酵されたもので、腸活効果が高いと改めて注目されています。市販品もいろいろ出ているので、この夏は「甘酒」を飲んで、腸活にトライしてみませんか? 日本の発酵調味料研究の第一人者、東京農業大学教授の前橋健二先生に伺いました。

 


◆そもそもこうじ菌って、どんなもの?

 

日本伝統の発酵食品の一つである「糀(こうじ)甘酒」は、こうじ菌というカビの一種によって、米を発酵させた飲み物。350種類以上もの栄養成分を含んでいるんですよ!

 
「糀甘酒の原料は米と米こうじ、水のみで、砂糖は一切含まれていません。にもかかわらず、やさしい甘みと旨みがあるのは、こうじ菌の発酵の力によるもの。発酵によって膨大な栄養成分が作られることが、これまでの研究でわかっています」と前橋先生。

 

米こうじとは、蒸した米の一粒一粒にこうじ菌を生やしたもの。いわば糀甘酒の種です。こうじ菌を使った発酵食品作りは、およそ1000年前から始まっていたことが奈良時代の文献からわかっています。

 

「こうじ菌はカビの仲間。本来カビには毒を持つ種類が多いのですが、昔の日本人は今のような科学も技術もない時代に、こうじ菌が<毒を持たずに安全>で、なおかつ<甘味を生み出す発酵パワーを持つ>ことを生活のなかで知りました。

 

日本酒、みそ、しょうゆなど、いろいろな日本の伝統食品がこうじ菌を使って作られているんですよ」

 


 

◆栄養成分が作られるのは発酵パワーがあればこそ

 

では、こうじ菌はどのようなプロセスを経て発酵し、糀甘酒はどのようにして作られるのでしょうか。


こうじ菌は強力な酵素を出して米のでんぷんを分解し、旨みや甘みを含んださまざまな栄養成分を作り出しています。これは、こうじ菌自身が栄養を吸収しやすくするために行っていること。このプロセスが〈発酵〉です。

 

私たちは、こうじ菌が自分のために作った栄養成分を横取りしているわけです。こうして、発酵の力で米のでんぷんが分解されたものが糀甘酒です」

 

糀甘酒に含まれる主な成分は、旨み成分のアミノ酸(たんぱく質)、甘み成分のオリゴ糖ブドウ糖ビタミンB群ミネラル食物繊維など。これらは加熱しても壊れることがなく、豊富な栄養分が含まれていることから、「飲む点滴」とも呼ばれるほどです。

 


 

 ◆糀甘酒は、どのように腸活に効くの!?

 

甘酒の栄養成分のなかで、腸活に効果があるのはオリゴ糖と食物繊維です

 

オリゴ糖と食物繊維が腸内細菌(乳酸菌やビフィズス菌など)のエサとなり、乳酸や短鎖脂肪酸と呼ばれる体によい〈酸〉を産生し、腸内環境を整えるのに役立ちます。

「こうじ菌そのものではなく、発酵パワーで作られたオリゴ糖と水溶性食物繊維が腸内細菌のエサになります。その結果、悪玉菌の増殖を防ぎ、善玉菌優位の腸内フローラ(腸内細菌叢)になるように助けてくれるのです」

 

また、米こうじのつぶつぶには不溶性食物繊維が豊富に含まれ、腸内細菌のエサになるほか、便の量を増やして大腸を刺激するなど、便通をよくする効果も期待できます。


「最近の研究で、糀甘酒に含まれるオリゴ糖や食物繊維が腸内細菌を元気にして、〈腸のバリア〉を保つ効果があることもわかってきました。〈腸のバリア〉がしっかりしていると、腸粘膜を有害物質や病原菌から守ることができます。糀甘酒は免疫力アップにも役立つのです」

 

<糀甘酒の腸活効果>
1 腸内細菌のエサになるオリゴ糖、食物繊維がたっぷり
2 便のかさを増やして便通をよくする
3 腸のバリアを保って、免疫力をアップ

 


 
◆もっと知りたい! 甘酒Q&A

 

Q. 糀甘酒と酒粕甘酒はどう違うの?

A.  砂糖を加えていないのに甘いのが糀甘酒、砂糖で甘みをつけて、アルコール成分を含んでいるのが酒粕甘酒です。

糀甘酒は、米、米こうじ、水のみが原料。発酵によって甘み成分のオリゴ糖やブドウ糖が作られるため、砂糖は一切含まれていません。また、「酒」という名前がついていながら、アルコール成分はO%です。


一方の酒粕甘酒は、日本酒を製造する過程で残った酒粕が原料。酒粕甘酒も食物繊維やレジスタントプロテインという健康やダイエットにも効果的な成分を豊富に含んでいますが、糀甘酒にはビフィズス菌のエサとなるオリゴ糖が食物繊維とともに豊富に含まれているので、より腸活におすすめです。

 

Q. こうじ菌は生きたまま腸に届いて、腸に働きかけるの? 

A. 答えはNO。糀甘酒に含まれるこうじ菌は60℃以上の加熱によって死んでしまうため、生きたこうじ菌は含まれていません。そもそも、口から入った微生物がすべて生きたまま腸に届いて増殖したら、大変なことになってしまいます。大切なのは、こうじ菌の発酵パワーによって作られたオリゴ糖と食物繊維が腸に届いて、腸内細菌のエサになること。


ヨーグルトが「生きて腸に届く●●菌」とうたっているため、生きて腸に届かないとよくないイメージを持ってしまいがちですが、実は乳酸菌とビフィズス菌の働きのほうが特殊なのです。

 

Q. 市販の糀甘酒はどれくらい日持ちするの?

A. 容器に記載された消費期限は開封前に限ります。未開封であれば冷暗所で常温保存できますが、開封後は冷蔵庫(10℃以下)で保存して、3日くらいで飲みきるのが基本。もしも日数がたって酸味が感じられたときは、雑菌が入り込んでしまったサインなので、飲まないようにしてください。

「量が多くて飲みきれない」という場合は、冷凍保存がおすすめ。冷凍しても栄養成分が壊れることはなく、1カ月くらいの保存が可能です。

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