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【編集マツコの、週末には映画を。Vol.108】『ベル・エポックでもう一度』

2021.06.04


こんにちは。ふだんは雑誌『オレンジページ』で料理ページを担当している編集マツコです。この記事を明日アップしなければならないので、焦りながら書いています。3日前、いやせめて昨日に戻れたら……。こんなちっぽけな話に限らず、誰でも「あのときに戻れたら」と思うことがあるはず。その「もしも」が実現してしまうのが、今回ご紹介する『ベル・エポックでもう一度』。過去にしがみつくのではなく、過去を振り返ることで今という時間の大切さに改めて気が付ける、とっても前向きなメッセージが伝わってくる作品です。


ネット配信などのデジタルを徹底的に嫌う、かつては売れっ子のイラストレーターだった主人公のヴィクトル(ダニエル・オートゥイユ)。頑ななその姿勢に、身近な人を思い浮かべたり、自分自身を重ね合わせる人もいるかもしれません。こういう人はいますよね。時代遅れの夫に嫌気がさし、ついには家から追い出してしまう妻のマリアンヌ(ファニー・アルダン)。そんな状況に一石を投じたのは、息子のマキシム(ミカエル・コーエン)が父親に贈った〈タイムトラベルサービス〉でした。といってもこのサービス、本当にタイムスリップするわけではなく、リクエストした時代を完璧に再現してくれるのです。ヴィクトルが選んだのは、「1974年5月16日、リヨン」というとても具体的なもの。なぜなら、その日はマリアンヌに初めて出会った日だから……。


この映画を見て、誰もが「自分ならどの時代に戻るかな」と一瞬頭によぎることでしょう。学生時代、仕事で成功した日、子どもが生まれた日……。「戻りたいとき」がある人は、また人生で輝けるのではないでしょうか。生きることの素晴らしさを知っているのですから。
さて、このタイムトラベルサービスの質がとにかく高いわけで。完成したセットはまさに1974年のリヨン。ヴィクトルが泊まったホテルやマリアンヌと出会ったカフェも完全再現され、彼が資料として提出したスケッチを元に、妻との出会いをもう一度体験することに。
ヴィクトルとマリアンヌ夫婦だけでなく、このサービスの現場監督を務めるアントワーヌ(ギョーム・カネ)と、恋人でありマリアンヌを演じる女優のマルゴ(ドリア・ティリエ)の関係もストーリーのよいスパイスとなっているのです。


フィクションと知りながらも、自身の輝かしい時代の再現に興奮を隠せないヴィクトル。過去に拘泥していくのかなと思いきや、本人も気づかぬうちにいつの間にか輝きを取り戻し、今と向き合っていく展開は明るい気持ちにさせてくれます。
それにしても、フランスの70年代。ややレトロ感はあっても今とそんなに変わらないなあと思いました。日本の70年代って、昔の映像を見るとほぼ別の国ですもんね。日本で〈タイムトラベルサービス〉を運営したら、相当大変そう……。

『ベル・エポックでもう一度』6月12日(土)、シネスイッチ銀座ほか公開
配給・宣伝:キノフィルムズ
©2019 - LES FILMS DU KIOSQUE - PATHÉ FILMS - ORANGE STUDIO - FRANCE 2 CINÉMA - HUGAR PROD – FILS - UMEDIA

【編集マツコの 週末には、映画を。】
年間150本以上を観賞する映画好きの料理編集者が、おすすめの映画を毎週1本紹介します。

文/編集部・小松正和

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