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【編集マツコの 週末には、映画を。Vol.75】「マティアス&マキシム」

2020.09.17


こんにちは。ふだんは雑誌『オレンジページ』で料理ページを担当している編集マツコです。
大学生のとき、映画の授業でレポートを書く課題があり、確か「映画における2人組」という内容で出した気がします。タイトルだけ聞くとなんだか大層な内容に感じますが、作品のセレクトも書く内容も映画通の先輩にほとんどアイディアをもらったような……T先輩ありがとう。
有名なボニー&クライド、テルマ&ルイーズなど、映画における名コンビは数多く存在しますね。今回の『マティアス&マキシム』はどうでしょう。幼なじみの2人が、ある出来事をきっかけにお互いの想いに気づくというシンプルなストーリーも、グザヴィエ・ドラン監督の手にかかれば魔法のようなきらめきを放ちます。「同性愛」という陳腐な表現を吹き飛ばす、純粋なラブストーリーがそこにはありました。


数年後の「LGBT映画特集」で、この作品はラインナップされるのかな……。マティアス(ガブリエル・ダルメイダ・フレイタス)とマキシム(グザヴィエ・ドラン、監督が自ら出演)は幼なじみ同士の30歳。エリートで結婚を控えているマティアスは公私ともに順風満帆、対して病を抱える母親と折り合いが悪く、オーストラリアで心機一転やり直そうと思っているマキシムは正反対の境遇。それでも2人の間には強い絆が存在するのです。きっかけはある夜の出来事。仲間うちのパーティーで、友人の1人の妹が自主製作の映画のために、男同士の濃厚なキスシーンを演じてほしいと2人に申し出るのです。そのキスをきっかけに2人はお互いを意識し始め……。これだけ聞くと、ティーン向けの青春映画かっと突っ込みたくなりますが、そこはさすがのグザヴィエ・ドラン。2人の切ない気持ちを丁寧に、丁寧に描いています。


「これはセクシュアリティの映画ではない」とドラン監督は語っています。その意味するところとは……?
この作品は、ティモシー・シャラメ主演で話題を呼んだ『君の名前で僕を呼んで』にインスパイアされた部分が大きいそう。この映画も男性同士の恋愛を描いていましたが、観賞後に友人と「けっこう普通だったねー」とまず言い合ったのです。ただ、よくよく考えてみると、「同性間の恋をフツーに描いていることが、この映画の価値ではないかと」という結論に(←エラそう笑)。この『マティアス&マキシム』もそう。同性愛にありがちな「許されぬ恋」というステレオタイプな展開はなく、そこにあるのはあくまで純粋な恋心。2人が結ばれなかったとしても、それは同性だからという理由ではないし、人生を共に歩むことになっても、そこに後ろめたさはないのだと思います。
今まで気づいていなかった相手への想いに戸惑い、苦しみ、葛藤する2人の姿が切なくて……。


いわゆるLGBT映画はダイレクトな性描写が多いように思います。その是非は別として、今作は件のキスシーンも含めてそういった描写はかなり控えめ。ただ1シーンだけ、2人の想いが最高潮に達する場面があって、見どころの一つです。
何気ない風景や選び抜かれた音楽に乗せて人の感情の機微を表現する、ドラン監督のスタイルは今作でも健在。女性の登場人物がやたらかしましい(笑)のも魅力の一つです。



「マティアス&マキシム」 9月25日(金)より、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
配給:ファントム・フィルム
©2019 9375-5809 QUÉBEC INC a subsidiary of SONS OF MANUAL

【編集マツコの 週末には、映画を。】
年間150本以上を観賞する映画好きの料理編集者が、おすすめの映画を毎週1本紹介します。
文/編集部・小松正和 


次回9/25(金)は「ある画家の数奇な運命」です。お楽しみに!

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