2019.09.19
こんにちは。ふだんは雑誌『オレンジページ』で料理ページを担当している編集マツコです。
若者の映画離れ、雑誌離れ(泣)が叫ばれて久しいですが、若者向けの青春映画はヒットしているとか。
おかしいなー、マツコもけっこう青春映画を見るのですが、若者に会いません。
そりゃそうか。彼らが好んで見るのは、ティーン及び20代前半の輝きが詰まったキラキラした映画。
僕が見ているのは、同じ青春ものでも、その光よりも影の部分にスポットを当てた作品たち。
今回紹介する『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』は当然(?)後者。
SNSを使って周囲の注目を集めようとする中学生の姿は、現代的で、痛々しい。
でも決して主人公を否定的には描いてはおらず、共感し、一緒に悩み、応援したくなる、そんな映画でした。
ティーンの女の子が主人公の映画は多いですが、タイプはさまざまです。
例えば、以前紹介した『さよなら、退屈なレオニー』の主人公は、周りのクラスメイトより大人びていて、早く成長したい、退屈な町を抜け出したい一匹狼系女子。
一方、この映画の主人公ケイラ(エルシー・フィッシャー)は真逆で、クラスメイトと仲良くなろうともがくも、なかなかうまくいかない不器用系女子。
中学生生活も残すところあと一週間、ケイラは不名誉にも「学年で1番無口な子」に選ばれてしまうのです。
こういう、上位になっても嬉しくないランキングを作るのは日米共通なのか……。
マツコは小学生のときに学級委員をするような子供だったので、「将来総理大臣になりそうな人」に堂々選ばれていました。
できれば「芸能人になりそう」「早く結婚しそう」枠などで選ばれたかったのですが。
ケイラはぱっと見、そこまでさえないようには見えませんが、アメリカのティーン女子の間でなんとなくイケてないのは分かります。
ニキビ肌で、ちょっとぽっちゃり型で、こういう女の子クラスにいたなあ(懐)。
彼女に対してそこまで大人しい印象を持たないのは、SNS上ではものすごく饒舌だからかもしれません。
ケイラはYouTubeで自分の動画を配信しているのです。
「自分らしくいるにはどうすればいい?」「自信を持つための方法」など、内容は悩める同世代のためのケイラ's lesson。
でもね、レッスンの内容はすべてケイラ自身が克服したい内容で、だからアドバイスが抽象的でよく分からないのです。
その空回り感に、見ているこちらがやきもきしてしまい、いたたまれなくなる。
タイトルにもありますが、とにかく「クール」であることが大事! 何回言うんだろって思うくらい(笑)、ケイラだけでなくみーんな使ってます。日本語なら「チョーやばい」かな?
へーと思ったのが、ケイラたち中学生が高校生活にすぐなじめるように、高校生と1人ずつペアを組んで交流?する一日体験システム。
小学生のときこういうのあったような……2年生と5年生、1年生と6年生みたいなペアを組んで行事に参加するんです。
相手から「あーあ、コイツかよ」な雰囲気を感じると、とっても辛いんですよね。ケイラは運よく、親切なお姉さんのオリヴィア(エミリー・ロビンソン)とペアになります。
この人がスーパーポジティブというかやたらとハイテンション。ケイラのことを「超クール! なんていい子なの!」というノリで、ちょっと怖かった(笑)。
これ絶対どんでん返しがある……とドキドキしながら見ていましたが、ただの優しいお姉さんで良かった。
オリヴィアと知り合ったことで彼女の周りの高校生とも知り合いになり、そこでケイラを待っているのはちょっぴり苦い経験でした。
ここ、ケイラの一歩踏み出したい気持ちと、子ども時代に留まっていたい気持ちのせめぎ合いがすごく伝わってきて、すごくいい場面なんです。
大人になってから知り合った人と、中学生頃のことをお互い話すと、たいていの人が「自分はイケてなかった」と言う気がします。
分かりやすい上位グループの子たちだって、皆何かしらコンプレックスを抱えているのかもしれません。
とはいえ、「大人になって思い返せば、どんなことでも良い経験だよね」とかは絶対に言いたくない。
痛々しくも必死なケイラを見ていると、一緒に悩み、一緒に傷つきたくなる。
そう思わせる優しい目線がこの映画にはあります。シングルファーザーとしてケイラのことを絶えず気にかけている父のマーク(ジョシュ・ハミルトン)もそう。
SNS、「いいね!」の数、承認欲求。こういうキーワードだけを拾って、現代の若者を一方的に批判したりはしない。そこにこの映画の誠実さがあります。
不器用ながらも、ラストには小さな小さな一歩を踏み出すケイラ。
3年(4年?)後、高校卒業目前の彼女はどんな女の子になっているんでしょうね。
「エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ」 9月20日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、シネクイント他全国ロードショー
© 2018 A24 DISTRIBUTION, LLC
【編集マツコの 週末には、映画を。】
年間150本以上を観賞する映画好きの料理編集者が、おすすめの映画を毎週1本紹介します。
文/編集部・小松正和
次回9/27(金)は「帰ってきたムッソリーニ」です。お楽しみに!
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