「どうも元気が出ない」「心がモヤモヤする」ということは誰しもあるもの。特に女性は、仕事や家庭、地域など複数の場でいろいろな役割を求められ、しんどさから自信をなくしてしまうという人も珍しくありません。
心理カウンセラーの中島輝さんによると、日ごろから自己肯定感を高めておくことが重要なのだそう。そのために役立つテクニックを教えていただきました。
女性は根本的に特有の「生きづらさ」がある
あなたはふだん、自分を思いやり、慈しむことができていますか? 大切なパートナーや親しい友人が落ち込んでいたら、「その気持ち、よくわかるよ」「つらいよね」と寄り添うはずです。
ところが、他人には優しく接することができても、自分には厳しく接してしまう人は意外なほど多いのです。
そもそも日本人はセロトニン(幸福感をもたらし、心のバランスを保つ神経伝達物質)の分泌量が少なく、不安を感じやすい傾向があるといわれています。
さらに、周囲との調和を重んじる「空気を読む文化」により、強く主張することが美徳とされない風潮もあります。
そのため、自分の意見を貫くことにためらいがちで、自己肯定感を低下させやすいのです。

特に女性の場合、「同調圧力」の影響を受け、生きづらさを抱える人が少なくありません。女性は男性に比べて、他人との調和を重視する傾向が強く、周囲に合わせることを求められがちです。
本当は異なる意見を持っていたとしても、「空気を壊したくない」「和を乱したくない」という思いから、自分の考えを抑え込んだり、やりたくないことに付き合ったりすることも多いもの。
その結果、本来の自分がわからなくなり、自己肯定感を高く持ち続けることが難しくなってしまいます。
言葉の力は絶大! 使い方次第で自信を高められる
社会心理学の見地では、愛しい人やモノ、動物などを見るとき、人間は「愛しい」という肯定的側面しか見えないといいます。自分の子どもに対する態度や見方などはその典型でしょう。
一方、嫌いな人やモノ、動物などを見るときは、逆に否定的な側面ばかりに目が向かいます。
ところで、あなたは自分自身をどのように見ていますか?
鏡に映る自分を見て、「なんだか冴えない顔をしているな……」「今日は顔がむくんでいて仕事に行きたくない……」など、嫌なところばかりが目につくときは、自分に対する「愛しい」という気持ち、つまり自己肯定感が下がっていて、自信を失っている状態です。

鏡のなかの自分に催眠術をかけるつもりで、「今日もいい感じ!」とポジティブな言葉をかけてあげましょう。すると、それまでが嘘のように自分のいいところに目が向かうようになります。
これは、自分に肯定的な言葉を投げかけることで潜在意識を肯定的に書き換えるという、脳科学をベースにした「アファメーション」と呼ばれるテクニックを活用したものです。
「今日もいい感じ!」に限らず、「わたしって運がいい!」「朝からいい笑顔!」「今日はなんでもうまくいく!」など、ポジティブな言葉を鏡のなかの自分にたくさんかけるとより効果的です。
簡単な実験でよくわかる、アファメーションのすごさ
言葉の力は、身体的な行動を伴うと、より実感しやすいかもしれません。「わたしは体が柔らかい」といいながら、前屈をしてみてください。
このエクササイズは、わたしが行っている自己肯定感を高める講座のブレイクタイムによくやっているのですが、参加者のほぼ全員が、ふだんよりも深く体を曲げることができます。
面白いのは、逆もまた然りということ。「わたしは体が固い」といいながらやってみると、いつもより深く前屈ができなくなるのです。

また、このエクササイズは、ストレッチによって血行がよくなり、気分をリフレッシュさせるという効果も期待できます。ぜひ試してみてください。
教えてくれたのは……
中島輝先生
心理カウンセラー。一般社団法人自己肯定感学会代表理事。自己肯定感アカデミー代表。困難な家庭環境で育ち、多くの疾患を抱えたことを機に、各種セラピー、カウンセリング、コーチングを研究。心理学や脳科学、NLPなどの手法を用いた独自のメソッドを構築する。『何があっても「大丈夫。」と思えるようになる 自己肯定感の教科書』(SBクリエイティブ)ほか著書多数。