高い熱や寝込むほどではないのにだらだら続くやっかいな咳、悩んでいませんか?ひと口に「長引く咳」といっても、原因によって治療法はさまざま。まずは自分の咳がどれにあたるか、チェックするのが大切です。
そこで、呼吸器専門医の大谷義夫先生に教えていただいた、長引く咳の主な症状と原因、受診すべき医療機関をご紹介します。
【咳ぜんそく】長引く咳でもっとも多く、ホコリや寒暖差が原因
- 症状:乾いた咳のみが続く。たんが出ることは少ない。
- 原因:気道が炎症によって過敏になり、咳が出やすくなる。
- 医療機関:呼吸器科、内科
気道の粘膜が炎症を起こし、ホコリやダニ、寒暖差、花粉、ストレスなどさまざまな刺激に反応して咳が出る症状。アレルギー体質の人が発症しやすい傾向ですが、風邪やインフルエンザをきっかけになる人も。副鼻腔炎を併発しているケースもあります。治療は呼吸器科、内科で吸入ステロイド薬を処方してもらうのが一般的。
【副鼻腔炎】鼻みずがのどに落ちて起こる慢性的な咳
- 症状:慢性的に黄色い鼻みずや咳が出る。のどにたんがからむ。
- 原因:副鼻腔の炎症によって鼻みずがのどに流れ落ちて咳込む。
- 医療機関:耳鼻咽喉科、内科
鼻の近くの空洞(副鼻腔)が細菌やウイルスに感染して炎症を起こし、膿がたまる症状。大量の鼻みずが出て、一部がのどに流れ落ちることで咳が出るように。抗生物質で炎症を鎮め、鼻みずを減らすことで改善します。薬は内科でも処方できますが、専門は耳鼻咽喉科です。
【逆流性食道炎】逆流した胃酸が気道を刺激し咳を誘発
- 症状:えずくほどの咳や胸やけ、ゲップなど。高齢者に多い。
- 原因:逆流した胃酸が気道を刺激することで起こる。
- 医療機関:呼吸器科、内科
酸っぱいものがこみ上げるイメージの強い逆流性食道炎ですが、逆流した胃酸が気道を刺激することで慢性的な咳の原因にもなります。呼吸器科や内科で処方される胃酸の分泌を抑制する薬で治療します。
2週間以上咳が続いたら医療機関へ
発熱や頭痛などの症状がないのに咳だけ2週間以上止まらないときは、迷わず受診を。「長引く咳は正確な診断と治療が必要です。また、結核や肺炎、肺がんなどの重い病気が隠れていることも。放置すると治療が遅れて悪化したり、感染症の場合は周囲にうつしてしまうこともあります」(大谷先生)。
咳ぜんそくが悪化すると約3割が気管支ぜんそくになるというデータもあるので、早めの治療が大切。悩んでいる人は、医療機関を受診するときの参考にして。
教えてくれたのは……大谷義夫先生
日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本アレルギー学会専門医。池袋大谷クリニック院長。呼吸器内科のスペシャリストとして、さまざまなメディアに出演。著書に『絶対に休めない医師がやっている最強の体調管理 コロナ対応版』(日本経済新聞出版)など多数。